#30 力押しで全て打ち勝てる程甘い相手では無いよね
-85-
「で・・・今作るのかよ・・・舞台・・・」
このの大事件は、各国の参加した騎士達を通して重臣や王族らに知れ渡る事になってしまい。ハッキリ言って連中の感覚は既にぶっ壊れている。
前日の事件後、「安心せい!!武戦大会決勝戦は予定通り取り仕切る!!」と万獣皇自ら宣言し。黒騎士と俺は、おケツを引っ叩かれる様にコロシアム内の選手待機室にほっぽり込まれた。
その晩。
ぶっ壊れたコロシアムは、獣人とギルドからの作業員らが夜通しの中で突貫修復作業に応急処置をやっており。俺の部屋には騒音は来ないように外部から防音障壁を掛けられていた。
最大の問題点である・・・・塵芥となった壇上舞台は・・・万獣皇様、自ら巨大な岩をスライスして持って下さった。
現在、朝方。
万獣皇様が魔法力で石のスライスを浮かせて持ってきたのはビックリだわ・・・。
「あの舞台は、儂のいる浮遊大陸から切って持ってきたのだ・・・そこな魔導師、さくっと精密に削り落としてくれたまえ!」
「了解です・・・任せなさい・・・
ギョリギョリリリリ・・・ギョッリーーーーーーーン!!
黒騎士の連れである黒魔導師が、俺の『螺閃輪』・・・と言うより母さんの
仕上げに舞台を丁寧に下す。年季が無く少々寂しいものだが・・・。
「コレで思う存分・・・この祭事の終結出来よう・・・今回の決勝戦は儂も自ら観戦させてもらう・・・」
まるでさも嬉しそうな声上げる万獣皇。
コロシアム内には俺のクランメンバーと、黒騎士の連れの魔導師。ラヴィラ様やネージュ様、各国の予選から決勝まで参加した参加者達がごぞって観客席に並ぶ。
あのガボネ・ガボンネ伯爵は離れた所で屈強な騎士に板挟みで居座らされ。
一般観客たちは投影魔法をこなす。魔導師達によって観戦する形で、この祭りごと結末を見届ける
-86-
「黒騎士!!・・・・レージ・スレイヤー!!両者前へ!!」
前世で言う10時に該当する、半鐘刻が鳴った。黒騎士と俺が向き合う、主審副審の5人。
「万獣皇様からの今回特別ルールを設ける!!この一戦に置いて『飛行魔法』の使用は禁止とする!!『身体強化魔法』等は不問!!『飛行魔法』のみ使用禁止である!!レージ・スレイヤー気を付けされたし!!」
「はっ!!」
理由は簡単だ、所謂場外負けが無くなるのが問題だ。それでは意味が無い当然と言えば当然か・・・。
忠告の一言から、主審が腕を振り上げ・・・・。
「はじめぃ!!」
ガッギィイイイイン!!
開始の声とほぼ同等に鋭い音が響いた。
-87-
なにぃ?
流石に驚いた、奴は恐ろしい速さであの1.7mの両刃の長剣を抜刀。打ち込んだ・・・はえぇええ・・・あのジョーの奇襲剣撃より速いと断言出来る。
「ほぉ?」
左手の逆手持ちの十手鉤爪が遮っている、黒騎士の白い魔剣の刀身が食いついており。とぼけた声を上げる黒騎士は目が笑った・・・気がした。
「やるねぇ・・・」
俺は無詠唱の「マジックブラスター」の連続攻撃・・・かーらーの・・・。
「灼焔閃!・・・雹刃衝!!」
炎と氷の牽制連撃・・・しかし・・・
ギュォオオ・・・ギュグゥオオオオオオ!!!
奴は着弾直前に全身が魔力の残滓を伴って移動する、それはあたかもその場面が早送りになったかの様な・・・。質の悪いビデオのコマ送りにも見えた。
「え?!」
「あああ・・・なんだぁああ!?」
「なに!?」
得体の知れない動きに声を上げる、観戦している参加者達。俺も思わず「うぉお?」と驚きの声を上げる。黒騎士がゆらぁと歩み寄る様は酷くスローモーに見え、恐ろしい程の鈍く見える。
「おいおい・・・お前・・・魔獣ばっかり相手しているからそうなるんだぜ?」
「?!?」
のろまな黒騎士が、急加速する。間合いを詰め、そこから白銀の大剣が剣閃を光らせる。
ギュォオオッ・・ヒュン・・・ヒュ・・・!!
踏み込みからの袈裟切り・・・そして右薙ぎによる胴斬りの剣閃が俺を襲う。
一太刀目は流石に見切れたが・・・二太刀目は一太刀目よりも明らかに速かった・・・。
「ぐっ!!」
ガッギィイ・・・ィイインン・・・
二太刀目を、抜刀し受け・・・流す・・・二太刀目の速さに反応できず俺は後方に下がったのだ・・・が。それは奴も先刻承知・・・あからさまに下がった分の間合いから、死角へ踏み込み身を屈め・・・。
「どうした?」
ヒュッゴッ!!
鈍い音を衝撃が、脇腹へ柄尻の一撃から発する。それはネイア姫の使う、『順手柄撃ち』に踏み込みチャージを組んだ合わせ技・・・。
「いくぜ・・・」
ゴッ・・・ヒュガ!!・・・・バッギィイイ・・・ン
チャージからの西方の膝蹴り『虎牙』からの、首根っこへの蹴り落とし『撃虎爪』。屈んだ裏首への『順手柄撃ち』・・・この三連は魔脈を組んだ『反動連武』・・・。
オッゴ・・クッ・・・重ぉ!!
黒騎士の技は一撃一撃が重い・・・重すぎる、あの緩急のついた動きもあって読みにくい上。適確に適材適所の技を繰り出す・・・。
出鱈目に剣をぶん回しても意味は無い、ハッキリ言って対人戦闘にかけては段違いに経験値の差が現れていた。
攻撃のタイミングとこっちの防御や回避に対して揺さぶりをかけ続けるのだ。
その上からの魔法力タップリふんだんに含めた一撃があった。幸いそっちはこっちの魔脈からの防護魔法によって軽減されており・・・。
「立っていられるのは・・・・魔法力のお陰だな・・・おい?」
やっべぇ・・・これマズいわ・・・。
流石にここまでフルスロットルでしかけられるとは思わなかった・・・。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます