#12 目的達成のためとはいえ条件を満たすとこうなっちゃうよね


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『サーヴェランス』には『錬金ギルド』というギルドが存在する、基本的な目的は生活用品の生成など主に執り行っている。

その『錬金』技術の軍事転用の末に『重鎧士』を生み出していた。その事からわかる様に、『サーヴェランス』特有のギルドと言っても過言ではない。


『ヴォルガング』にも特有のギルド組織と言うものが存在する。


それを知る前に、『獣人諸島国家ヴォルガング』の事を知らなければならない・・・。

諸島国家と銘打っており大小25の島々が連なっており。本島ヴォルガングを中心に生活ネットワークが出来上がっている。


赤道直下の島々は完全に南国のそれで、観光明媚で何よりも今の時期は『武戦大会』もあって書き入れ時となっている。


本島に上がって見てみれば、一般的な観光客にまじって腕っぷしに自身がありそうな屈強な野郎衆が目についた。


俺から言えば、ハッキリ言って、異常な光景だ。


その特有の文化背景である『武戦大会』を基盤となり、『ヴォルガング』にはこの国独自の『ギルド』。


『バトリング・ギルド』・・・要は掛けバトルを基盤としたバトリングと言えばいいだろう。


前世で言えば、競馬や競輪と言う賭け事をボクシングや空手でしているようなものだ。


国が定めた法規則にのっとった会場施設、ルールに基づいて行われ。国公認で定めたレギュレーションで取り仕切っている。


自称、野蛮人な獣人達から言えば『珍しく、ルールありきで執り行う闘争』と自嘲する。


『武戦大会』を基盤にしているのは、ある意味統一的なレギュとして色々都合が良く。大小ある『バドリング・ギルド』の数はざっと12と、数は意外と少ないのだ。


ただ非合法の「バトリング」ではその限りでは無いが・・・。


そして、本島並びに『武戦大会』といえば『ヴォルガング』国内の全種族。国外の人種も注目をする、数ある名誉ある大会ともいえる。


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「ぬぅうううううん!!」

「うぬるぁああああ!!」


獣人同士の怒号と咆哮が会場に響いている。此処は会場の中でも予選会場の一つだ。


うぉぉおおおお!!!

いけーーーー!!

やっちまえーーー!!


周辺を取り囲むのは観客と化し、熱気に狂う獣人と人間達。目の前の暑苦しい激突を皆狂喜乱舞し発狂怒号の声援を繰り返す。


控室では目の前の持つ獲物は、血を吸って居そうなヤバ気な色合いをしている。


本島に到着し一週間、実を言うと俺自身お国絡みの背景を抱えている為に特別出場枠と言う訳にはいかない。


なんせ山派貴族の監視から逃れる為に、渡来し。一般選手選抜大会に出場と言う地味な所から入っていく。この大会で、優秀な成績と圧倒的な強さを見せる事で本戦に上がれるのだ。


(うっへぇ・・・)


勿論、海派貴族のバックアップなんて全くない。


アッシュさん曰く。連中は俺の名前は知っていても、特徴や、様相・細かい情報はあまり知られていないと聞き入っている。そもそも無所属の俺達がそんな斡旋を受けては示しがつかない。

との事・・納得せざるを得ないし。


「海派の行動も山派の連中に睨まれているから・・・無理!!っていうか流石に他国の催事の斡旋は不可侵だしねぇ・・・」


と、ニッコリ笑顔で言われる。それに続いて。


「大丈夫です!!レージ様なら本戦出場枠に入れます!!」

と励ましてくれるネイア姫を始め。


「あぁ~・・・でもちょっと大穴にしてくれない?そうすればガッポガッポよ!!」

「いやぁ・・・コレ貼って、うちの宣伝してほしいダス!!」

「この大会で優勝したら・・・その・・・バカンスとか楽しみましょう!!」


博打で大穴ぶっこむ計画を打ち立てて居るハルーラ、俺の服に自分の店の名前をくっ付けようとして宣伝をかけるダルダ。

さらに、俺が負けると言う事もこれっぽっちも考えない。はしゃぐミスティア。


ネイア姫以外は、ものの見事にこの『ヴォルガング』と言うバカンス国家の空気に毒されている様子だった。


(こういう時にヴィラがいればそう突っ込みなんだが・・・。)


ヴィラは、やはり血縁上接点があるがゆえに暫く距離を置くと言う旨を知ったのは。他でもないヴィラの手紙だった。


『ヴォルガング』国内と今回の一件に関してはバックアップに務める為、わざわざ息の掛かった逗留施設を用意してくれたのだ。


しかも、そこは上級階級御用達の宿泊領域・・・。豪勢なコテージを用意してくれて有難い・・・と言えば良いがルイーン邸宅とはベクトルの違う贅の方向性に戸惑った。


ただ、俺の感覚も完全に麻痺しているのか慣れるのが早くなっていく自分に別の意味で精神的な贅肉が付きそうな気分だった。


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「893っ!!893!!」


さて、俺の出番だ・・・一般出場枠は名前で呼ばれない。コレが狙いだ。俺の対戦相手は既に舞台に立っていた。この大会で圧倒すれば本戦は目の前だ・・・が。


出入り口付近にいた獣人の観客が、俺に教えてくれた。

「マズいぜ・・アイツは監獄都市帰りのガメラス・・・人間嫌いで有名な奴だぜ・・・この大会に出てはワザとらしく人間を半殺しにしている・・・マジでヤベー奴なんだよ・・・。それに亀族でも鼻摘みでな・・・で・・」


「要は棄権しろっていうのかい?」


俺は解釈の言葉に彼は頷く・・・が。


「忠告有難う、じゃ・・・亀族も少しは安心するだろうな・・・」


俺の言葉を理解できない、獣人観客はガチで顔を真っ青にしていた。


入学試験時に執り行った。『決闘堂』のような施設と酷似した会場が広がり。舞台の上、中心に。対戦相手の亀族の大男が、鎖付きの鉄球をゴムマリの様に転がしている。


「げっへっへ・・・最後は人間かよ!!ぶっ殺してやるぜ!!」

「・・・しかし初めてみたわ・・・亀の獣人って・・・」


目の前には2m以上の亀の様な面長で如何にも厚い胸板とやや前傾気味の姿勢が印象深い。スキンヘッドのオッサンだ。


だが、亀と言う割には頭に血が昇りやすくキレっぽい性格。亀の獣人と言うと温和な印象に捉えていたがそれは俺の思い込みの様だった。


兎人の審判が試合開始の合図を叫んだ。

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