#4 異世界にも近代化の波が押し寄せていてもしかたがないよね


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ネイア姫は首を横にふった、私も知りません。それが顔に描いてあるほどに驚いた様子だ。

成す事もなく、揺れる馬車の中。『重鎧士』を俺達は、聞くことにした。


「あぁ・・・ざっと・・・俺たち以上にデカイ鎧でな・・・なんっていうのかなぁ・・・」


「鎧の巨人・・・かぁ・・?」


「そうそう・・・でもその鎧に人が入ってな・・・動かすんだってよ・・・」


彼らの言葉は・・・何っていうか連想ゲームだな・・・埒が明かない。

俺は木板に紙に敷いて、彼らの言葉をスケッチする。


パッと思った感じは、ロボットみたいなものだろうか・・・?

とりあえず、ざっと基準の人型を描いて・・・頂点はどれ位だろうか・・・それを定めないと把握でき無い俺は聞いてみた。


「緑蟻獣?それとも弩豪牛の様な大型ですか・・・?」

「そうだなぁ・・・にーちゃんの描いた人の大きさより、一回り二回り・・・大型魔獣だな・・・う~ん・・これ位?」


おっちゃんがわざわざ、目分量で示してくれた。

フムフム・・ざっと・・2.5~3mぐらいか・・・と頂点の線を描くとそれ位と答えてくれた。


「鎧の巨人だったなぁ・・・・」


とざっと、異世界もののロボットデザインをパッと描き上げる。鎧やプレートの類は『アマチ』の一件で『サーヴェランス』の着ていた騎士の鎧をパクった。


「そうそうそう!!そんな感じ!!でさ!でっけぇ斧とか武器とか担いでなぁ・・・」


イメージしやすくなったお陰か、彼らが饒舌に語り出したお陰でスケッチがすいすい進んでいった。


「これは一体・・・」


ネイア姫が、初めてみるかのように驚いて声を漏らす。


絵という形で何枚かのイメージスケッチを描いているといつの間にか目的の旅籠街に到着した・・・。


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その日の旅籠街に到着した頃は夕暮れ時だった。

同伴冒険者達と、俺らクランとは別々の宿に泊まる事になったが。お互い、気楽に過ごせることが良しとしているのか快く快諾してくれた。


その宿屋は酒場との兼ね合いを設けた、寄り合い所の一つとして機能している。俺達は食堂の一角で夕食を終えてから、数枚のスケッチを広げた。


そこには同伴冒険者の一同から聞いた、『重鎧士』のイメージが出来上がった。

大きさはざっと見て2.5~3m程の巨体を有した歪な人型を模した、動く鎧だと言う。そして俺はその特徴を口に出した。


「中に人が入るっていう事は・・・動力は魔力の類・・魔力だとしても・・」

「ええ・・・恐ろしいものです・・・中の人の魔力を利用して動くと言う事です・・。」


ネイア姫、率直な感想を言う。

ヴィラがそれに反応する、それは彼女。獣人側の意見だ。


「この様なものがあるなら、獣人を戦闘に駆り立てる必要は無いのでは?」

「一時的に、利用するとか?」


ハルーラがヴィラの意見を参考に推測を立てる。

推測から推測を立てる事には危険が大きく、安直だとも言えた。

そんな議論の中で、根幹的な指摘を突きつける。


「っていうか・・・コレは誰が作っただスか?」


ダルダがもっともらしい意見を述べる。一旦それを聞いて「あつ」という顔になり、忘れていたと言わんばかりに、皆お互いで忘れていたなという表情を浮かべる。


「・・・・」


肝心要な部分を失念しつつも、流石に其処を議論できない事に唸ってしまう。

正直に言えば、これ以上の議論は難しい・・・俺はそんな事をふと思い始めた頃だ。


嫌な空気が流れた、そういう気配や勘っていうのは気を張り詰めていると分かるものだ。


「・・・!!・・・レージ殿」

「ああ・・・」


俺たちクランの面々は獲物を腰にかけて、一目散に出入り口のドアに足早に進む。周りの村人や旅人たちが俺達の行動を驚いる。


「・・・ま・・まじゅうが・・・・!!」


俺が扉に手にかけようとする直前に、バァン!!と勢いよく開いた。突っ伏す中年男性が肩で息をして、ゼイゼイと息を切らして危険を知らせる。


「大型の魔獣・・・黒熊獣っていう奴の・・集まりが・・・ぁ・・!!」


その言葉に皆どよめいた。

駆けこんだ中年の村人から、俺らに伝える様に駈け込んで来たらしい。


現場は旅籠街の関所近隣で、数人の村人と旅人が襲われ。事態は混乱に呈していた。兵士が応戦しているのも、戦力不足で事態を知ったベテラン冒険者が出張る。

そんな彼らから俺らの事を伝える様に言われてきたのだ。


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俺達も現場に駆け出す、そんな中で相手の戦力に疑念があった。


「しかし、黒熊獣とは・・・・」


ヴィラが驚く、黒熊獣というのは高度の高い山や高山の森にすむ・・・。有名なのは北方にある森林帯にはよく出没していた。


旅の最中で何度もやり合った個体、想像には難しくなかった。

しかし、レイグローリーより離れた中原の土地で黒熊獣というのは珍しいと言う。彼女の意見に俺は同意した。


「確かに珍しいな・・・」


俺の記憶でも中原で遭遇する魔獣っていう個体は、どっちかというと小型のオオカミの様な類が主だと言う印象が強かった。


夜の暮れが深くなっていた頃合い。

旅籠街には防壁用の壁幕を囲っており、出入りの関所に各国から派遣された兵士が管理している。襲撃されるとしたら、その関所間際の攻防が主だ。


俺達が駆け付けた頃には、例のベテラン冒険者達が応戦していた。・・・が如何にも旗色が悪い。


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襲ってきた魔獣の群れというのは、黒熊獣と機動力の高い灰狼獣という複合の群れ・・・。牽制力の高い灰狼獣は彼らをかく乱させていた・・・。

ベテラン勢は彼らの機動力に翻弄され、本来の闘い方が出来なかった様子だった。


「クソ・・・」


大きく回り込み、深い叢に身を沈めてからの飛び上がりのからの奇襲は読み切れない様だった。無論それは彼らからの視点だ。


頂点から降下する灰狼獣に閃光で打ち飛ばされる。こっちからは丸見えだ・・思わず声を上げる。


「流れは変える!!仕留めろ!!」


その声に流石にベテラン勢は咄嗟のコンビネーションの掛け合いが見事だ。


「疾風剣!!」


軽業師の様な剣士が誰よりも早く一体に切り込んでいく。

刹那の動き。逆手で佩刀による斬り込み、相手の動きを牽制する。


「業火よ・・・唸れ・・・フレイムバーン!!」


その後ろにいた魔導師の魔法は。

立ち直ろうとした、黒熊獣を火炙りにし更に動きに制限を掛けた

その鈍った一体に、リーダー格の剣士が北方の戦技で仕留めていく。


「断豪閃!!」


袈裟斬りの踏み込みの一閃が黑い毛皮を一気に真っ赤に染まっていく。

メキメキと音を立てて崩れる、黒熊獣の一体。

流石ベテランだ、コンビネーションと年季が断然違う。



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