第2話


舞桜たちが学校に着くと、同級生の男の子コウタが裏で煙草を吸っているのが見えた。


「キホマオ!久しぶりだな!元気してたか?」


「キホたちは元気だよ~コウタは相変わらずあほそうだね!」


「うるせぇよ(笑)あ、そうだ!この人A高のツヨシ先輩!」


コウタの目線の先には、適当に伸ばしたロングヘアーを金色に染めた静かそうな男の人。


「どうも…」


そう呟いた低く乾いた声に、なんとなく不気味さを感じて、舞桜はペコッと会釈だけして目線をコウタに戻した。


「オレ昨日さ、駅前で今野さんたちと揉めちゃったんだよね。で、今日呼び出されてるからツヨシ先輩たちに助けてもらおうと思ってさ!」


「え~!コウタ大丈夫なの?」


「大丈夫、大丈夫!ツヨシ先輩たちが助けてくれるってさ。まあいいじゃん、お前らも一本吸ってけよ。」



舞桜はあまり吸ったことなかった煙草に火を付け、いわゆる【吹かし】をして、肺には入れずに吸ったフリをしていた。



「ツヨシ先輩、20人も集めてくれたらしいし俺ほんと命拾いしたわ~」


「あいつら調子のってるでしょ。俺らは逆にOBの先輩たちにやってこいって言われてたんだよね。ちょうどよかったわ」


煙草の火を地面にぐりぐり押し付けながら、ツヨシ先輩はゆっくり立ち上がるとキホに向かって



「今日、見においでよ」






そう言った。










この一言が全ての始まりだった。





この日から舞桜の平凡な人生は終わりを告げた。


たくさん泣いたし、たくさん憎んだ。

たくさん傷付いたし、たくさん傷付けた。




今でもまだ良い思い出には出来ていない。





それでも、これを書こうと思ったのはある人の自死がきっかけだった。


少しずつ少しずつ話していくことにします。

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