第11話 ストーカーをざまぁする①

【今回の学習】

 泳がせときましょう!

—————————————————————

「あの子が豪田茂くんかぁ……」


 今日は1時間目だけで学校は終わりなので、玄関にはたくさんの保護者と子供が帰る頃だった。


「ほらアツ、もっとくっつかないと」


「お、おう……」


 朱莉が俺の腕にギュッと密着してくる。

 授業参観が終わった後、俺はたくさんのマダム集団に質問攻めされた。

 そこで、俺と朱莉が恋人という設定にする事で、婚約を迫るマダム集団からなんとか逃れることに成功した。


「アツ……。あのポッチャリな男の子が豪田茂くんよ……」


「あれがか……」


 人混みの中で朱莉に教えられ豪田茂くんを見つける。

 ポッチャリ坊主でいかにもガキ大将というのが似合っている子だった。


「泳がせるってどうするんだ?」


「今から私たちが家に帰る時、あの子は絶対ついてくる」


 確信したようにそう言う朱莉。過去に事例があるのだろう。


「でね。ゴニョゴニョゴニョゴニョゴ」


「ふむふむ。なるほどな」


 作戦を聞き、理解する。

 これなら確実だ。


「お待たせ朱莉お姉ちゃん、にぃに!」


 向葵ちゃんが来たところで3人で帰ることにした。



  ◇◇◇


「向葵、お昼外で食べて行かない?」


「えっ、いいの〜?」


「うん。今日は参観頑張った記念だからね。お母さんにもお金貰ったし」


「やったー!向葵、パスタ食べたい!」


 朱莉と俺を握っている手をブンブンと振る向葵ちゃん。

 もう可愛いという言葉しか出てこない。


「なんか、子供ができたみたいな感じってこんなに幸せなんだなぁー」


「ふえっ!?」


 ポツリとそう呟くと、朱莉が顔を真っ赤に、動揺し始めた。


「朱莉もそう思うだろ?こうやって手を繋いで、近くの公園に遊びに行ったり……」


「えっ、あっ……アツもそういうのに憧れるんだ〜…」


「もちろん。可愛い奥さんと可愛い子供がいる生活なんて憧れるだろ」


 パラレルワールドで男が少ないといえど、結婚願望はちゃんとある。もちろん、結婚相手は自分が好きになった子がいい。


「向葵は朱莉お姉ちゃんとにぃに、お似合いだと思う〜」


「ひ、向葵!?」


「朱莉が結婚したら俺は向葵ちゃんのお兄さんになるねー。嬉しい?」


「うん!嬉しい!でも向葵もにぃにと結婚したい〜」


「か、可愛い……。じゃあ何年後かして気持ちが変わらなかったら結婚しちゃおっか〜」


「うん!約束〜」


 あー何て可愛らしい存在なんだ。数年後もこのまま純粋無垢な感じでいてほしい。

 もし、グレたり忘れられたりしたら俺は悲しすぎて立ち直れなくなっちゃうな。


「ちょっと!向葵だけズルい!アタシだって……」


「もちろん朱莉お姉ちゃんが一番目の奥さんだよ〜。向葵はにぃいが好き好き言ってくれるなら何番目でもいいから〜」


 向葵ちゃん、しっかりしてる!


「これは向葵ちゃんの将来が楽しみだ」


「ちなみにアツは私と結婚してくれるの?」


急に真面目なトーンで話す朱莉。

 そんなに真面目だとこっちまで緊張する。


「ま、まあ……俺が独身だったら頼むわ。多分、独身だと思うけど」


「そっ、じゃあ独身でいてね?」


「おうよ」


 話もひと段落ついたようだ。


 すると、朱莉が目で「後ろ来てる」と言ってきた。

 

 コソコソと俺たちの後をつけている人物。もちろんターゲットの豪田茂くんもなのだが……。


(マジかよ親子でかよ……)


 もう1人。中年男性も一緒についてきた。

 これは親子揃って復讐ざまぁしないとな。

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