第167話 本人不在でも話は続く
現在大学前駅の近くにあった喫茶店で遅めのお昼ご飯を食べていた俺と結崎。するとそこで蓮花寺さんと会って――話していると。
あっ、そうそう触れてなかったが。今は休みバージョンの蓮華寺さんだ。
「ってか、松尾松尾。ちょうど良かった。ちょっと聞きたいことあったんだよ。実は奈都が松尾大好き!は、ほんと?」
そして、とりあえず突然そんな会話が始まったところである。
「いや、この前電話してきたんだけどさ。ずっと松尾についてだったんだけどー。なんかあった?」
「はい?」
いやいや突然何?なのだが。
「だから奈都は松尾ラブかと」
「それ――本人が言ったの?」
いやいやないでしょ。俺がいつも遊ばれてる。いじられているような人なんですが。
「言ってない。でもウザいくらい松尾と居た話だったから、松尾ラブ認定を勝手にした」
今勝手にって蓮花寺さん言ったんだが。長宮さん勝手に何か言われてますがいいんですか?もしかしたら石見先輩の次は長宮さんがくしゃみ連発かもしれない。
「……ちなみに内容ってか――何を長宮さんは語ったのでしょうか?」
「ずぶ濡れ事件から――って、その時は私も居た。なんだけどね。まあでもなんか語りだして――図書室。さらに松尾の家まで語ってた。イチャイチャだったんでしょ?」
「長宮さんを何を語ってるのか――ちなみにイチャイチャではない」
「そうなの?」
「奈都……」
「あっ、妻がキレた?」
結崎の反応にすぐ蓮華寺が気がつく。
「蓮華寺さん。本人不在中に変に話すのは――ってのと。結崎まで暴走させないで。対処できない」
「まあ、私は関係なし。松尾は便利屋だから」
「便利屋もなかなかなんだが……」
「まあ、私は部屋でだらだらだから――夏休みに松尾は呼ばな……いや、わかんな。もしかしたら何かで呼ぶかも。飲み物買ってきてとか」
「呼ばないで止めてくれよ。って、できたら便利屋では呼ばないで――って、それ単なるパシリ」
俺が話していると蓮華寺さんの頼んだ飲み物が来た。蓮花寺さんは飲み物を少し飲んでから。
「っか松尾」
「うん?妻なんとかして?」
「は?」
またすぐに意味のわからないことを言ってきたのだった。って、妻ってなんだ妻って。すると蓮花寺さんが何故か結崎と自分との間を指差しつつ。
「さっきから人の太ももつねってくるんだけど」
そんなことを言い出した。ちなみに俺の視線からは机があり見えない。
「……見えないところでなんかしてたのか」
「——だって、澪が適当なこと言うから」
どうやら結崎の反応からして、実際に行われているらしい。ってら蓮花寺さんショートパンツだったから。身掴まれてない?って――その割には普通ってか。結崎が手加減してるのか?
「ゆえ。顔真っ赤。あと、私の太ももも一部真っ赤なんですけど―」
「なっ……そんなこと。って、澪なんで痛がらないの?」
訂正。どうやら結崎的には結構本気でつねっているらしい。が――蓮花寺さんは全く反応なしという感じだった。それどころか。
「鏡見る?ゆえ」
笑顔でそんなことを言っていたのだった。うん。結崎――敗北状況だった。
「い、いらない。ってこっちの話聞いてよ」
「相変わらずで、ってか、松尾」
「はい?」
「あとで、ゆえに友達つねったお仕置きでもしといて、そこそこの事していいから。うん」
「ちょ、澪」
そう言いながら飲み物を飲み干す蓮花寺さん。
「なんで俺が?」
「松尾泣かせても良し。ゆえが泣いたら写真送って」
「澪」
「にひひー。まあ、とりあえずこのまま居るとゆえに次は刺されそうだから。飲み物飲んだし私行くから」
「刺されそうなことしか言ってませんからね」
俺がつぶやくと。蓮華寺さんは立ち上がり。自分の飲み物代を置いて、手を振りつつお店を出て行ったのだった。
かっこいいな。ってか、帰る時はさっと帰った蓮花寺さんだった。
ちなみに蓮花寺さんの左足太ももになんか赤くなったところがあったような気がした俺だった。うチラッとたまたま見えたんです。
「自由だな」
蓮花寺さんの後ろ姿を見送りつつつぶやく。
「……う、うん。ホントもう――」
「ってか、結崎」
「えっ?」
「人をつねらないように」
「だ、だって……松尾君居なかったら叩いとくけど――松尾の前だから」
「……」
マジで結崎がかわいいのどうしたらいいですかね?もじもじがかわいいんですが……って、それはちょっと置いといて。
「……まあ、結崎、別に俺の前とかで遠慮ってかそんなのしなくても、普通でいいかと」
「いや、暴力……女みたいじゃん」
「少し前までお派手さんが何を言うか」
「なっ、ちょ、松尾君も」
「ごめんごめん。でも、ほんと普通でいいぞ?そんな気にしなくても」
「……うん。ありがと――ってか。松尾君。奈都と何あった?」
「ないない」
話が戻ったってか、蓮華寺さん余計な話だけ置いてったよなぁ。
「ほんと?確かに、ふと考えると奈都と松尾君って、前より仲良くなった気はしてるんだよね」
「そうか?」
「うん。なんか……奈都。松尾には甘えてる気がする」
「いや……遊ばれてる。いじられているだけかと」
「でも、クラスの男の子とかと接するのと、松尾は違うと思う」
「……それはわからんが」
俺あまりクラスの輪にいっる長宮さんは知らないんだよな。俺が輪に入ることがないから。
「まあ松尾君話しやすいからかもだけど」
「とにかく。さっきのは……蓮華寺さんが盛った話かもだし」
「じゃ、じゃ松尾」
「うん?」
「その――私も泊まりに行く」
「……なんの勝負ってか……え?泊まりに?」
「私は……だめ?いろは先輩――泊ったじゃん。2人っきり――」
すみません。すみません。ここお店。なんか――変な空気。結崎がおかしいよ?かわいいよ?なにこれ?俺そのうち死ぬの?なんか今がピークの感じがするんだが……ってか、早く返事。という感じで結崎が見てきたので――。
「いや……まあ、うん。いいけど――」
「じゃ、そのうち行く」
はい。笑顔になりました。何だろうな。そりゃ嬉しいというか。大丈夫だろうか?というのがあるが――ってそうか。結崎別に泊まったことあるか。よくよく考えてみると。結崎も結構前から俺の家居るというね。だから何も起こらない。大丈夫だ俺。
それからしばらく俺と結崎はいろいろ雑談をしつつ。お店を後にしたのだった。
いや、涼しくてね。それに何故か泊まりに行く。遊びに行くという話になってから結崎が楽しそうに話してましてね。まあ話が弾んだというか。しばらくお店に居た俺達だった。
ちなみに、この時俺も結崎も忘れてたのだが――蓮花寺さんが来る時に結崎が話そうとしていたこと。
あの話がこの時出ることはなかった。
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