第159話 朝の訪問者

 トントン。


「「えっ?」」


 石見先輩と、どうでもいいやりとりをしていると、突然ドアがノックされた俺の部屋だった。分かること。ばあちゃんとかではない。最近はスマホ連絡ばかりなのでね。って……マジで誰?


「——えっと、松尾君。起きてる?」

「……マジか」


 まさかだよ。外から聞こえてきた声は結崎だった。


「うそー、まだ7時前だよ?ゆえちゃん……それはやばいよ。後輩君のこと気になりすぎだよ。疑ってくださいレベルじゃん」

「まだ7時前だったかって、結崎は結崎で始発で来たのかよ。ホントマジかよ」


 ちなみに俺は結崎を呼んではないので。これは結崎が自分から来たである。


「えっと?起きてる……よね?声するし――」


 俺と石見先輩が驚いていると、ドアの向こうからは戸惑いの声が聞こえてきた。すると岩見先輩は悪い顔をして、何か良からぬことを思いついたらしい。


「ゆえちゃん。待ってー、今開けたら大変なことにー」


 ほら。ダメだこの先輩である。


「はい?」


 結崎は結崎で突然何言ってるの?という感じの返事が外から聞こえてきた。


「結崎。開けてもいいから。勝手に石見先輩が言ってるだけ。暑いだろ?外」

「うん。暑い。じゃ、失礼します」


 ガチャ。


 ドアが開くと……本当に結崎登場だった。偽物ではない。


「なー、なんで、ゆえちゃん後輩くんの事はすぐ信じるのさー」

「えっと――おはよう?」


 ドアを開けた結崎はちょっと戸惑っている様子なのは、あっ、俺たちが寝起きの雰囲気だからか。ちなみに結崎は完璧だ。涼しそうな上着。Tシャツに、ショートパンツ姿。うん。肌露出多いが似合ってるし。涼しそうだ。って、結崎を見ていてもなので。


「ああ、おはよう結崎。えっと、ナイスタイミング。ってか朝早くから頼むことではない気がするが……悪い石見先輩を早速受け渡したい」

「あはは……予感はあったんだけど――松尾君寝れなかった?」

「いや、寝れたが朝からしんどい」


 俺が言うと――結崎はなんとなく理解してくれたのか。呆れた表情をしつつ石見先輩に近づいた。


「はぁ……いろは先輩。迷惑になってますから帰りますよ」

「いやだー、休みだし。まだ後輩くんに乗っかっただけー」


 駄々っ子が居た。ってか。石見先輩、にやっとしつつ。余計な言葉入れたし。


「乗っかった?」


 もちろんだが石見先輩の言葉に反応する結崎。ここで俺が慌てたりごまかしたりするとややこしくなるのかもしれないが。俺はなんとなく石見先輩の行動を予想というか。理解してきたのか?落ち着いて反応出来た。


「デジャブだよ。昨日と同じ」

「合体しちゃった。てへっ」

「はぁ……朝から何してるんだが。ちょっと起きてたのはびっくりだったんだけど、そういうこと」


 石見先輩の声は無視して、俺の言葉に頷く結崎。


「ってか。結崎早くから起きたんだな」

「いろは先輩が何かしてそうで――」


 盛大なため息の結崎。もちろん石見先輩の罠には引っかからず。ちゃんと俺の言葉で理解してくれたらしい。石見先輩の 『合体しちゃった。てへっ』は完全にスルーしている。


「まあ結崎の予想通りだったかと思う」

「いろは先輩。ほんと何してるんですか。松尾君男の子なんですから……その、そのような行動はしないように。あと、松尾君ちょっと嬉しそうなんだけど」

「いやいや、あのな」


 いや、そりゃね。ちょっとはちょっとは――ってそんなことないから。呆れてたんだよ。


「まあ……松尾君なら大丈夫だろうけど」

「私の意見は無視されてる?されてるよね!?私いじめにあってるよ?2人に無視されてる!」


 石見先輩が何やら騒いでいたがその後の事をいうと、何故かばあちゃんが結崎の分まで朝ごはんを作っていたためみんなで朝ごはんとなりましたとさ。

 そう、びっくりだよ。結崎や石見先輩と話していると、ばあちゃんからの朝ごはん連絡。さらに結崎の分ある。だならな。結崎も驚いてたし。

 ちなみに早朝だったから結崎は直接俺の部屋に、だったらしいが。じいちゃんばあちゃんも早いからな。どこかで見られていたのだろう。


 そんなことがあり。その後2人は夕方帰って行きましたとさ。そう夕方。夕方だったな。


 朝から賑やかだった松尾家。ってか俺の部屋だけか。朝から岩見先輩がハイテンション。俺が疲れていたらそこに結崎のヘルプが入り。と、なんやかんや朝からあり。朝ご飯後2人が帰った。と、言うことはなく。その後も結局2人は俺の部屋で過ごしていたというね。

 それに石見先輩が完全に帰る気なしだったからね。朝ご飯食べたら満腹で動かないし。しばらくは結崎が頑張ってくれたがな。やっぱり石見先輩全く動かずで、なんやかんやとしていたら気が付いたら太陽は高い位置に、そんな時間に2人を帰らすのは、暑い。危険ということで、夕方まで結局俺の部屋に居たんだよな。

 つまり、駄々っ子石見先輩勝利だな。


 ちなみに2人が帰ったらやっと俺はくつろぐ、って、1日終わったよ。やっと1人ー。という時間が短かったのだった。俺の夏休みおかしいよな?子守ばかりとかじゃないよな?

 そうそうその後次に俺が結崎とあったのは数日後学校でだった。 

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