第123話 夏休みが――消える?10
石見先輩はどこに行った?
ということに現在はなってる。そうそう多分やっとと表現した方がいいだろう。本当はもっと早く気が付くべきだったのだろうが。人のせいにするのはだが。いろいろこちらもあってね。やっと気が付いた俺だった。
まさかないとは思うのだが――途中で迷子?いや、無いよな。俺より長くこの学校で生活している先輩が迷子になるは無いよな。無いよな?
他に考えられることは、どこかでぶっ倒れた?暑くてやられたか。壁にでもぶつかったか。などと思いつつ一応廊下を見ようと移動をしてみると――その時だった。
「やっほー!」
「なっ!?」
あー、びっくりした。超びっくりだよ。マジで心臓止まるわ。
「わぁお。後輩くんが目の前。ドキドキの展開?」
突然廊下から飛び出してきた石見先輩とぶつかる寸前で俺は止まった。石見先輩との距離は約30センチほど。ホント目の前にいきなり先輩が現れたのだった。というか。横から突然飛び出してきたのだった。もう少し俺が早く廊下を覗いていたら事故だったな。
「——石見先輩。いきなり飛び出して来ないでください。心臓に悪いです。そして一応聞いておきますが……今までどちらに?」
石見先輩と適切な距離を取ってから、俺は石見先輩に確認をしてみる。
「いやー、2人が歩き出してすぐにゆえっちから連絡があってね」
「ゆえ――っち?」
突然聞き慣れない名前が石見先輩の口から出てきた。
「いや、ゆえちゃんの新しい名前考え中でね。ゆえ。や……ゆえゆえ。あとは――ポンコツ――とかとかいろいろ電話で話している時に提案してみたんだけど。どれも却下されちゃってね。今も考え中」
「……何をしているのか。って最後悪口では?」
「大丈夫大丈夫。最後のはまだ確認してないから」
「——しない方がいいかと思います。まだ――ゆえ――っち?なら通るかもしれないですが――」
「おぉ、そっか。ゆえっち。後輩くんは良いと思ってるんだね。よし。これで次は確認してみよう」
「まあそれはご自由になんですが――」
ってか、そもそも石見先輩はコロコロキャラを変えるので――そのタイミングタイミングで勝手に呼び方変わってそう。と、思う俺だった。
「そうそう今のところ結局はいつも通りゆえちゃんなんだけどねー」
「えっと……その話まだ続きます?」
「終わりまーす」
「——」
この先輩。マジでテンション高いな――などと思いつつ俺が石見先輩を見ていると。
「まあまあ、ってことで、後輩くん。ゆえちゃんから連絡があってさ。私の家に忘れ物したからどうしようって言ってきたわけ」
「えっと――石見先輩。それ俺が聞いても――なのですが。石見先輩と結崎が相談することでは?」
何故にその話を俺に?うん。関係ないよね?俺が関わる必要全くないでしょ。と思っていると。
「だから。私の家の鍵は後輩くんが持ってるから。後輩くんとちゃんと話さないといけないよ?にひひー。って言っておいたから――そのうちここに来るんじゃない?まあゆえちゃん小さな声で『また後日――』みたいなことを言ってたからわからないけどねー。いやー、嫌われてるね。後輩くん。にひひー」
強制的に無理矢理関わらされていた。何をしているのかこの先輩。ちなみに俺は石見先輩の家の鍵など持っていませんので。
「……もう何でもいいというか。結崎も大変だな。いろいろと。あと俺を勝手に使わないように。使用料取りますよ」
「おお、いいよいいよ。何々?何で払えばいい?」
「……なんか石見先輩の変なスイッチが入りかかった気がするので。今の発言は撤回します」
「えー、えー」
俺と石見先輩が美術室の入り口でそんな謎の会話をしていると――そうそう、俺はまだ美術室に居るんだよな。石見先輩と話していると何故かはわからないが。自分が居る場所が一瞬わからなくなっていた。怖いわー。怖い。
「——松尾君?先輩?」
「うん?何々?」
長宮さんが俺達のところへと寄って来た。そしてすぐに反応したのは石見先輩だ。
「いやー、お話のところ申し訳ないんだけど――そろそろお昼ご飯食べない?お腹空いた」
っか、長宮さんも自由だった。
「——まあ確かにお腹は空いたか。って、長宮さんケーキ食べてなかった?」
少し前の出来事と一応俺が確認してみると――違う人が反応した。
「ケーキ?誰が!ちょっと私のは!?どこどこ!ケーキどこ!?」
石見先輩がご乱心――。
「……石見先輩はケーキにいきなり反応しないでください」
「美味しそうな言葉じゃん。どこにあるの!?」
「正確に言うなら長宮さんのお腹の中ですね」
「な――。後輩くん。今すぐ出させて」
「おかしなことをマジで言い出さないでください。って――そうかもう昼か。何も考えてなかったな。昼どうしよう……」
石見先輩の相手をしていると、また話が脱線していくのが目に見えていたので、俺は長宮さんが言ってきたお昼に関して考えることにした。
ちなみに俺は本当になにも考えてなかったので、さてさてどうしましょうか。
すると、何か思い出したのか。石見先輩が閃いた。という表情になり。
「あっ、そういえば後輩くん」
「——はい?なんですか?」
「自動販売機のところにパンの自動販売機出来てたよ」
「「「マジ?」」」
石見先輩の言葉に美術室に居た全員が反応したのだった。そうだ、六石も居たんだな。大丈夫忘れてないぞ。俺達を見ているのは知っていたからな。忘れてないぞ?。一応。
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