第114話 夏休みが――消える?

 朝7時。俺は今日も夏休み中の学校へと向かうために準備をしていた。大切な事なので2回言っておく。夏休み中の学校へだ。何故こんなことになっている。


 いや、起きるのは問題なかった。いつもと変わらないためだ。じいちゃんばあちゃんに合わせて生活していると――と、いうやつである。

 にしても高校に入ったら急に忙しいというか。とくに最近は巻き込まれることが多い。昨日も普段の学校より結局帰りは遅かったからな。俺めっちゃ動いているよ。


 そんなこんなで朝から俺は何をしているのだろうか。と思いつつものんびりしていると石見先輩に何か言われる。または連絡。電話とかがかかってきそうだったため。とりあえず準備を終えると俺は家を出たのだった。


 外は、今日もめっちゃ暑い。朝から蝉の大合唱である。あと太陽は元気すぎる。この時間ですでにジリジリしていた。ここ最近は毎日思うことだが、駅へと向かうだけで汗が――ヤバい。という感じだった。木の陰を通ってもやっぱり暑いものは暑いだった。

 制服を着ているから、少しはマシなのかもしれないが。上はカッターシャツだけなのでね。でもズボンは暑い。制服は長ズボンしかないのでね。一応夏用なのだが――何が違うのか今のところ俺にはわかっていない。

 ちょっと生地が薄いのかもしれないが――最近の暑さではね。効果なしである。


 暑い中駅へと行き。俺はいつも通り1人しかお客の居ない電車に乗り。高校前駅へと向かったのだった。


 ちなみにさすが夏休み。もちろん学生以外の人が公民館前からは少し乗ってきたが。でも学生が少ない。ほとんどいないため。電車の中はいつもより空いているし。高校前駅に到着しても人が少なかった。って、これ昨日も同じことを思ったような――いや、暑くてもう記憶が混乱中。ということにしておこう。

 それに、いろいろ昨日も会ったからね。情報量が多すぎるというやつである。


 高校前駅から俺は1人で学校の校舎を目指す。

 途中駅から学校の敷地までは数人の学生が歩いていたが。建物の方へと行く学生は居なかったらしく。この時間に来るのって――運動部くらいだよな。俺がそんなことを思っていると、グラウンドと体育館の方へと他の学生は消えていった。


 8時前。俺は学校へと到着した。暑かったので、俺は足早に日陰。建物内へと向かうと。下駄箱近くには、すでに石見先輩が居たのだった。早い。この先輩――寝坊キャラ。というのはないらしい。


 俺は、石見先輩と早々と遭遇したのだった。


「おっ、後輩くん発見!」

「——早いな」


 俺がちょっと驚いていると、石見先輩が俺の方へと寄ってきた。

 ちなみに本日の先輩。俺と同じ制服である。なんかめっちゃスカートを短くしているのは、触れなくていいか。多分石見先輩、家から歩いてきて暑かったのだろう。確か昨日の話している時に、家はこの近く――みたいな事言っていたからな。

 ってか、結崎が一緒に居るものだと俺は思っていたのだが。いや、結崎昨日は石見先輩の家へと言ったのでね。その流れで居るのかと勝手に思っていたが――今のところ姿はなかった。


「おはよー。後輩くん」

「おはようございます。ってマジで早いですね。もしかして待ってました?」

「大丈夫大丈夫。来たのちょっと前だから。あっ、その顔はゆえちゃん探してるみたいだけどー」


 バレていただと……。俺そんなにあからさまに顔に出ていた?まさか、偶然だよな?こういう時は平常心平常心。特に何も考えないが一番である。


「ゆえちゃんね。朝一で家に着替えに帰ったから。今はいないよ。なんかね。私の服着て学校は嫌なんだってさー。お真面目さんなんだから。休みだから別に私服でもいいよね?多分だけど」


 なるほど。結崎はそれでか。っか、朝から結崎も大変だな。昨日というかこの数日ポンコツやらやら言われまくって疲れてるだろうに。さらに先輩と再会してしまったのは――ある意味ハズレか。タイミングが悪かった。というやつかな。


「——まあ学校に私服では。ですからね。まあ休みだし。学校の雰囲気からして何も言われないとは思うけど」


 そういえば昨日私服の人数人居た気がする。そして被害を受けている人も居たな。ってか、そういえば今日来るとか言っていたな。まさかだけど、まあまだ来ないよな。

 俺は一応あたりを見て――自分と石見先輩しかいないことを確認した。


「どうしたの?後輩くんキョロキョロして?あっ。もしかして美人な先輩と2人っきり。っていうスクープを他人に見られないようにチェック?別に見せつけていいよ?」

「いろいろ言いたいことはあるのですが。言いだすと大変なことになるかもしれないので――はい。特に何もないです」

「えー、まあいいけど。でね。ゆえちゃんが帰った理由なんだけど」

「それ続くんですか?」

「まあまあ、朝の雑談だよ。でね、聞いてよ。一番の理由はサイズらしくてね。苦しいとか言いよったよ。あの娘。あの小娘。くそー。勝手に成長して……縮んでぺったんこになればいいのに……くそっ」

「……」


 あれ?いきなり石見先輩がちょっとお怒りモード――って朝から結崎と何かあったのか。いや、もしかしたら昨日の夜の時点とかで何かあったのか

 とりあえず石見先輩と結崎は仲良さそうあから。喧嘩とかにはなってないと思うけど――。

 ちなみに俺がパッと見た感じで言っておくと、確かに石見先輩の服を結崎が着るとちょっと問題があるかもしれない。いや、着れないということはないと思うが。小さく感じるだろうな。


「後輩くん?失礼な事考えてない?」

「全く」


 めっちゃ考えてました。ごめんなさい。


「——怪しいな」

「何もです。単に賑やかそうな再会を楽しんでいたんだなーと」

「まあ確かに盛り上がったよ。ってか後輩くん移動しようか?」

「あー、ですね」

「じゃ、今日も昨日みたいに頑張ろう」


 そういうと石見先輩は室内へと歩き出したのだった。俺は急いで靴を下駄箱に入れて、石見先輩を追いかけた。ってか。今の石見先輩の言葉に対して俺は。


「そういえば石見先輩。昨日進みましたっけ?」

「私頑張った頑張った!」

「まあ――確かに。って、なんやかんやあって後半は進んでなかったような……」

「いやいや、私今までになく頑張ってたよ。うん」

「おかしいな。なんか記憶が違うような――」

「うん。やるぞー!」


 ……再度いろいろ言いたいことがあった俺だったが。今のところ石見先輩は、やる気はあるみたいだし。ご機嫌も――ちょっと怪しい感じが一瞬だけあったが。今のところ問題無さそうだったので、俺はそのまま石見先輩の話し相手をしつつ図書室へと向かったのだった。


 ちなみに、何度でも言うが今日は夏休みだ。朝は学校内は――信じられないくらい静かだった。誰も居ない。今のところ俺と石見先輩しか居ないような感じだった。


 にしても、暑いな。廊下の窓が閉まっているからか。既に空気が暑いなどと思いつつ。ちょっと廊下の窓から外を見ると――運動部が建物の周りを走っているのだが。校舎内はホント静かだった。多分そのうち運動部の掛け声がはっきり聞こえてきそうだ。今でも少し聞こえてきているのでね。だが。運動部の掛け声より。俺の隣を歩く先輩の方が話のネタが多いらしく。


「そうそう聞いてよ後輩くん。昨日ゆえちゃんとお風呂入ったわけ。あれからもたくさん話したんだよ!」


 ついさっきまでは『作業を頑張る』『どんなの書こうかな?』みたいなことを言っていたが――ここにきて急にそんなことを言いだしたのだった。この先輩。大丈夫かな?ホント。心配しかない。

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