第113話 帰れると思った?2

 現在俺は長宮さんからのお誘いにより。いやそんな感じではないか。ほぼ強制的な感じで、大学前方面のホームへと長宮さんとともにやって来たところである。

 ちなみに、俺と長宮さんがホームに到着するとほぼ同時に電車の姿が見えてきた。あと、夏休みということと。部活動などが終わる時間でもなかったため。現在の高校前駅の大学前方面のホームは空いていた。


「ってことで、大学前で服買うからちょっと付き合って、で、明日、六石ろっこくにその分払わすらか」


 俺の横では長宮さんがこの後の予定を話している。


「……まあ予定は無かったし。そもそも逃げれそうにないから付いてくけどさ」

「さすが。松尾君。じゃ、行こう。電車もちょうど来たしね」


 そんなこんなで俺は長宮さんと一緒に大学前駅へと行く電車に乗ることになったのだった。ちなみに駅のホームも空いていたが。すでに暗くなりだした時間ということもあるからか。これはそもそもといった方がいいのかは微妙だが――電車の車内もかなり空いていた。


 ちなみに、ばあちゃんにはパパっと先ほど連絡をいれておいた。いや、まだまだ家に向かうまでは時間かかりそうなんでね。


 俺と長宮さんが車内へと入ると、車両の真ん中付近に長宮さんが座ったため。俺も空いていた隣の席へと座った。いつも通りの小さな車内ですからね。先に乗った人は真ん中の方へと自然と行く。というのが長宮さんも染みついている様子。などと俺が思っていると電車は高校前駅を発車した。


 電車が高校前駅を発車してからすぐの事。長宮さんが思い出したかのようにまた俺に話しかけてきた。


「ってか。松尾君松尾君」

「うん?」

「先に謝っておいた方がいい?」

「——何に関してでしょうか?」


 いきなり謝罪?と俺が思いつつ長宮さんの話を聞いていると。


「いやさ。私の汗が体操服に染み付いてたらごめんねー……って、そうか。もしかしてそれはご褒美になっちゃう?」

「唐突にこの方は何を言いだすのか」


 いや、本当にだよ。そもそも俺にそんな趣味ないし。あと洗濯したらー。でしょうが。さっきから俺が思いもしないことというのか。なんかいろいろぶっ飛んだこと言ってくるな。長宮さんめっちゃ楽しそうな表情してるし。俺遊ばれてる?


「うそうそー。ちゃんと洗って返すからさ。ってか、松尾君。冷静に考えるとなんだけど。なんか今の私って、いけないことしてる気がしてきたような――?って感じなんだよね。これってさ、今の私の姿がバレたらやばい子認定されちゃう?っていうか。理由を知らない人がもし見たらー。うん。やばい奴とか言われるのかな?うわー。私すごいことしてるのかもー。ヤバいヤバい」


 ……ヤバいな。なんか長宮さんのスイッチが入っているのか。すべての事に関して面白いことにしてしまおうというのか。ホント、こういう時は大人しくなのでは?またはちょっと恥ずかしがったレアな姿の長宮さんとか見れないの?

 ちなみに現在の長宮さんはなんかいろいろと言っているが。恥ずかしがっている様子はない。恥ずかしがった様子になってないことはないが。学校に居る時だけだったかな?っか。普通男子と2人のこのタイミングの方が恥ずかしそうにするのでは?と思うのは俺だけ?って、全く恥ずかしがってないし。

 あっ。そういえば、先ほど俺に付いて来い。的な事を言った時が唯一のレア光景だったのかもしれない。そうだ。あの時ちょっと恥ずかしがってた?って、あれも演技の可能性があるか。などと俺は思いつつ長宮さんの話を聞いていたのだが。長宮さんですからね。大人しくなるとかは無理か。と、すぐに俺は考え。一瞬だけ思った事。考えたことはすぐに頭の中からどこかへとぶっ飛ばし。


「長宮さん」

「うん?」

「元気だねー」

「もちろん!」

「その元気分けてほしいかも」


 呆れつつそんなこと言ったのだが――どうやら長宮さん。俺が何故呆れつつだったのかの理由を勘違いしたらしく。


「あー、松尾君はゆえとくっつけなくて、ぐでーなんだね。ホントポンコツなゆえで悪いね。うんうん。後日ちゃんと指導しとくから。で、付き合ったらすぐ抱けるようにするから。ゆえもやばい子に教育するからさ。今回は許してあげて」

「——話がかみ合ってないというか。長宮さんがマジで絶好調」

「いぇい!」


 車内ではお静かに。


「……大学前に付いたら降りないでそのまま帰ろうかな」

「あー。待って待って。服だけマジで付き合ってください。本当はちょっと恥ずかしいからで、いろいろ話して誤魔化してるのー。お願い付き合って。付き合ってください松尾様」

「様とか言ってる時点で面白がっているような――はぁ……」


 そんな感じで、長宮さんと車内で話していると、電車はあっという間に大学前駅に到着した。


 その後の俺は電車から降りずに折り返しの電車で田園駅へ――という事にはもちろんならず。長宮さんに俺は付いていきまして、なかなか辛い時間。いや、服屋って長宮さん言っていたが。よくよく考えたらまず下着屋?って言うのか?とりあえずそこに行くし。そのあとに向かった服屋も男子が基本いない場所で――それはそれは大変だったよ。

 さらに何故か長宮さんは、俺に服などを選ばそうとしてくるため。店内に引きずり込まれそうになるし。服など。などと言うのはそういうことである。何でそれを選ばそうとした?だったのだが。テンションマックスの長宮さんは完全に俺の反応を見て面白がっていたのだった。マジでちょっとした買い物が――とんでもなく長い長い買い物に思えた俺だった。


 そうそう。ちょっとの時間が長く感じたんでしょ?という場合もあるかと思うが。今回のお買い物時間1時間くらいかかりましたとさ。これは、長いに入るよね?長い買い物だったのにさらに長く感じた俺だった。


 そんなこんなで、長宮さんの買い物は無事に?とりあえず終わったのだった。


 ちなみに履いてないから履いているになったらしい。途中でそんな報告を本人からされた俺だった。って、そんな報告はいいから。


 買い物終了後は大学前駅の方面へと戻り。そこで俺は結局最後までテンションマックスだった長宮さんとやっと別れたのだった。別れることが出来たのだった。買い物も終わり。満足したみたいです。


 いや、1日が長いよ。ホント長い。いろいろ出来事があるしさ。もうビックリというか。大変だった。以上。


 長宮さんに解放され帰りの電車に乗った頃にはクタクタの俺だった。そうそう、そんな姿を楚原さんに見られて田園駅で声をかけられたのは――触れなくていい事か。楚原さんに捕まるのもよくあることなのでね。


 なお、翌日はまた長い長い一日になるのだった。










 ◆

 

 これは長宮さんずぶ濡れ事件?のとある場面である。なお、俺は知らないことだ。誰視点かは――。


 ◆


「松尾君松尾君。こっちこっち」

「ちょっと待って、何で俺を引き込もうとしてる?絶対おかしいよね?ってお店に迷惑でしょ」


 とある下着屋?ランジェリーショップの前で男女のそんなやりとりの声が聞こえてきた。1人は制服。1人は体操服である。どちらもよく知っている制服と体操服だ。そもそも学校から1駅しか離れてないのでね。学生がウロウロしているのはよくあることである。


「彼氏的な雰囲気で入ればいいんじゃない?付き合ってくれたお礼に選ばせてあげよう!」

「おかしなことを言わない。ってそもそもこの場所に男子が居たら嫌でしょ!?」

「——あー。うん。確かに私なら店出るか。入らないかも。なんか男子居たら――嫌だね。うん。嫌だ」

「それそれ。ってことで俺は外に居ます」

「仕方ないなー」

「ホントにもう」

「じゃ、ちょっと待ってて。パパっと選んでくるから」

「とっとと行ってください。はい。別に急がなくていいけど――」


 ちょっと訳ありそうな雰囲気の2人――こういう時はもしかしてがあるので――。


 ――カシャ。カシャ。


 証拠よし!


 ◆


 これはもうすぐ出てくるお方のとある活動日記だ。

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