第69話 2度あることは……2

 大学前駅に着いた俺はスマホを取り出し。長宮さんへと電話をかけた。


「……」

「あっ、松尾君着いた?」


 俺が電話をかけると長宮さんはすぐに出てくれた。多分待っていたのだろう。


「ああ、今駅着いたところ。で、どこ行ったらいいんだ?カラオケ……っていくつかあるんだけど……」

「えっとね。バス停の方に歩いて」

「了解」

「そして……」


 俺は駅から長宮さんと話しつつ歩き。数分で駅前のビル。というかちょっと離れたから駅前とは言わないかもだが。とりあえず駅に近い建物の前に居た。


 居酒屋などと同じビルに結崎と長宮さんが居るカラオケ店が入っているらしく。見上げるとちゃんとカラオケの文字があった。


 建物の前はそこそこの人が居たが俺はそこをすり抜けていきエレベーターに乗り上の階へと移動した。


 ちなみに、エレベーターのボタンにお店の名前が書かれているのは、初めての俺には大変ありがたかった。この方法は素晴らしい。とか俺はちょっと思いつつ。エレベーターを降りるとすぐにカラオケ店の受付フロアだったため。


「いらっしゃいませ!」


 元気な声が受付の方から聞こえてきた。お姉さんが良いスマイルしているよ。

 って、俺は歌いに来たわけではないので、ってここからどうしたらいいんだ?長宮さんとは電話をビルの前で切ったが。再度かけた方がいいかな?


「松尾君。こっちこっち」


 すると、長宮さんの声が聞こえて来た。


「うん?ああ、長宮さん。って結崎はボロボロか」


 長宮さんと結崎が……多分個室?の方から受付の方へと歩いてきていた。

 余計な情報かもしれないが2人とも当たり前だが今は私服だ。制服のままということはなかった。多分2人とも家には帰っているというか。結崎は何故また出て来た。何故休んでないんだよ。だが……現状を簡単に紹介しておくと。


 長宮さんは……活発少女的な。長宮さんらしく似合ってるってか。派手……うん。派手でいいか。なんというか肌の露出多めだった。ダンスでもするのかという感じだったな。前もこんな感じだったかな?


 そして結崎の方は、先ほどは制服だったが。今は涼しげな服装。こちらは今日は大人しめか。そんな感じに2人は学校から帰った後だからか変化していた。

 再度言っておくが。何故に結崎は休んでないのかである。何度でも言ってやるがな。


 っか服装なんかより。結崎はなんだろう?また怪しい雰囲気というか。かなり辛そうな感じで長宮さんの横を歩いてこちらに向かってきた。


「……結崎—―生きてる?」


 俺がやって来た結崎に聞くと長宮さんが先に答えた。


「微妙。さっきまで横になってたけどね。今も歩ける言ってこれだからね。ホント松尾君が来てくれてよかった。松尾君捕まらなかったら……他の男子呼ぶしかなかったからね」

「ははは……っか。ホントなにしてるんだか」

「あっ、支払いしてくるから待ってて。ゆえをお願い」

「ああ、わかった。結崎?マジで大丈夫か?」


 俺は長宮さんからパスを受けるように、結崎に肩をかした。

 俺と結崎が受付近くにあった椅子に向かうと長宮さんが受付へと支払いへと行った。俺は結崎を椅子に座らせながら。


「何してるんだよ。休んでろよ。体調悪かったんだから」


 結崎に俺は言った。


「……ごめん」

「今日はよく謝ってるな」

「早く誤解は……解いた方が。って、思って、落ち着いたと……はぁ……ら思ったんだけどね。場所がダメ……だったかなぁ。なんか音がね。ガンガン頭に響いて……ふぅ……」

「はぁ……結崎無理に話さなくていいから。っか、なんというか。まあ、音かもだし。すぐに暑い中また動いたからだろ」

「……はい」


 今日何度目かの小さくなった結崎だったすると……。


「おまたせ。支払い終わったよー。ってゆえ生きてる?」

「……奈都もごめん。呼び出しといて」

「まあまあ、ってか、ゆえ体調悪かったの?確かに会った時からちょっと疲れてる?って感じはしたけど……」


 長宮さんが俺に聞いてきた。今の俺の声が聞こえたんだろうな。と俺は思いつつ。


「ああ、学校から帰る時からだな。まあ今更かと思うが、長宮さんが電話してきたときは結崎を家に送り届けた時だ。ぶっ倒れる直前だったし」

「なるほど、の割には……私が電話した時元気そうだったけど?」

「まあ……あの時はちょっと休んだあとだったからな」


 タイミングが悪いというか。長宮さんが電話をかけてきた時は結崎はちょっと落ち着いた時だったんだよな。


「まあそういうことにしといてあげるよ。私もフラフラの友達をいじる気はないからね……って、ゆえ?大丈夫?ゆえ?」

「うん?」


 長宮さんがふと俺から視線を外し、椅子に座っている結崎を見た。なので俺も見ると……。


「はぁ……はぁ……」


 結崎は頭を抱えて……というか。顔を下にしてぶっ倒れる寸前という形にいつの間にかなっていた。


「結崎?」


 俺は結崎の前にしゃがみ声をかけた。


「だ……大丈夫」


 これは大丈夫じゃない時の返事だな。と俺が思っていると。長宮さんも何かを感じ取ったのか。心配そうに……。


「松尾君。これゆえ、やばくない?」

「……早く帰った方がいいな」


 俺が言うと長宮さんも結崎の横に移動した。


「ゆえ。行こう」


 そして結崎に手を貸した長宮さん。すると。


「……うん」


 長宮さんに声をかけられなんとか立ち上がる結崎だが……立つだけでも、かなりきつそうだった。これら歩くのもやばいのでは?と俺は思いつつ。


「もうホントボロボロじゃん」

「……松尾君が来て、ゆえ安心した?」


 隣で長宮さんがそんなことを言っていたが。


「……」


 もう結崎には答える元気もなかったらしく。座っていたのに息切れ?みたいな状態で立っているのがやっとという状況だった。

俺はそんな結崎を見つつ。


「安心したなら普通落ち着かないか?明らかに……これは倒れる直前だろ。結崎?大丈夫か?おい」

「だい……じょうぶ」


 そう言いながらこちらを結崎は見ていた顔色は最悪。笑顔を作っている感じだったがもう無理しているのが丸わかりだった。

 そして建物は涼しいはずだが。結崎の首筋などには汗がだった。これは……ダメだな。ってことで。


「結崎乗れ。運ぶから」

「……えっ?」


 俺は結崎の前にしゃがんだのだった。

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