第63話 終業式それは始まり7
セミの大合唱中。
俺と結崎はまだ高校前駅で電車を待って居る。あれからまだ数分なのでね。電車が折り返してくるのは、まだあと数分ほどかかるか。
「はぁ……はぁ……」
そして、俺の横に居るお方。マジで大丈夫だろうか?である。
「結崎?」
「えっ?あっ。なに?」
「いや、大丈夫か?」
「……へっ?」
なんで?という顔をしているが。いやいや今顔を見て気が付いたが。顔色もあまりよくなかった。
「なんか、あれからずっと息切れってか?ちょっと辛そうに見えたから」
「大丈夫大丈夫。急に走ったからかな?奈都には……困ったもんだよ。ふー」
「……」
するとそのタイミングで踏み切りが鳴り出して、空っぽになった電車が高校前駅へと入ってきた。
「ふっ、乗ろう」
電車が到着すると結崎はそう言いながら立ち上がった。
「あ、うん」
俺が返事をすると結崎は電車へと歩き出し乗った。
そしてドアに一番近い座席に座った。
「ふー。暑い」
俺は空いていたので1人分くらい空けて結崎の横に座った。
それと同時くらいに電車は高校前を発車したのだが。予想できたと言えば予想できたか。異変はすぐに起こった。
「……ふぅ……はぁ……」
「……」
「……」
電車が駅を発車してすぐだった。結崎に落ち着きがないというか。なんかお願いだからあまり揺れないで。みたいな祈りというかオーラが出ていた。
あと車内は極寒ではないが。外に比べたらちょっとはマシなのだがら結崎は汗をかいていた。明らかにおかしい。
でも電車はもちろんそんな結崎の事は関係なし。という感じでガッタンガッタン揺れるので。
「……うっ……」
「結崎?」
さすがに、明らかにヤバそうだったので俺が声をかけると、弱弱しい声で。
「……ごめん。きつい……ヤバイ……かも……」
結崎からヘルプの声がやっと聞こえたというか。それと同時くらいに俺は結崎の隣へと移動した。近くに行かないと声を聞き逃しそうだったんでね。
ってかなんで結崎は謝ってきたのか。とか思って……そこで気が付いた。これは2度目かな。と。
「大丈夫か?って大丈夫じゃないか」
「……なんか……クラクラ……してきた。あと……気持ち……悪い……」
結崎は座席にもたれるというか。崩れそうな感じで、そして小さな声でそう言った。
「ちょっと待って、最悪俺ビニール袋が確か……カバンに……あったあった。大丈夫だから。うん。大丈夫」
「……」
俺がそう言いながらカバンからビニール袋を出して見せると。ちょっと安心したのか。結崎が小さく頷いた。
いや、これはたまたまだが。なんでだっけ?なんかコンビニとかで、ビニール袋をもらって。そのままカバンに入れてい置いたのが役になったということだ。
車内で自主規制より。袋があればなんでね。自主規制は自主規制でも変わるだろう。とか俺が思いつつ。再度結崎を。とか思っていたら幸いにも電車にブレーキがかかった。
どうやら公民館前駅に着いたらしい。
「……はぁ……」
電車が止まる直前まで結崎は必死に耐えている感じだった。
そして電車が止まると同時に俺は結崎に肩を貸した。
「結崎。降りるぞ」
「……ごめん」
電車から降りるとまた灼熱……だが。俺はそんな事なことは気にせず。とりあえずそのまま改札を抜けた。
そして幸いというのか。暑いからか。駅の周辺には誰もいなかった。なので周りを気にすることは必要なさそうだったので、俺はまず結崎を駅のベンチに座らせた。
「結崎。気分は?」
「さっきより……はぁ……マシかな?大丈夫」
「もしかして……熱中症?」
「……ちょっとふらふらするだけ……だから」
「いやいや、それ熱中症では?ってか結崎。座らせたけど、このままここじゃ暑すぎるからとにかく結崎の家行こう。って、その前にちょっと首のリボンとか楽にできるところは楽にしたらいいかと。ちょっとは変わると思うから。もう学校じゃないし。ブラウスも出したりして楽にすればいいよ。俺は何も見なかったことにするから」
「……うん」
俺が言うと、結崎は言う通りにリボンを外して……って、なんかいろいろ俺は言っているが、とりあえず気がついたら。いろいろ見ちゃいけない物見てるような。結崎は汗をかいているからまだ透けてるというか。って、そんなことは今はどうでもいいか。俺が気にしなければいいんだ。
そして頭の中から余計な情報を振り落とした後。
「結崎歩けるか?」
「……大丈夫」
そういいながら結崎は立ち上がるが……ちょっと心配。
「結崎。運ぶぞ?暑いし、汗でベタベタになるが……とりあえず早く涼しいところに行った方が良さそうだからな」
「でも……」
「いいから。別に1回されてるから。問題ないぞ?」
「……それ今。言う?」
結崎がちょっと苦笑いをしつつ俺を見た。
顔色はまだよくないが。もしかして今のでちょっと気が緩んだのか。一瞬だが笑顔があった。ってなんで俺は気分が悪いって言っている人に昔のその時の事を思い出させたのか。馬鹿じゃん俺。
「悪い余計な事言った。っか。乗れ」
「……」
俺が結崎の前にしゃがむと。結崎は素直に俺の方に手を置いて……俺の背中に乗って来た。
はじめこそ結崎はなるべく俺にくっつかないようにしていたらしいが。
暑いからな。すぐに結崎はぐったりしてきたため。俺はちょっと頑張り早歩きで結崎の家へと急いだ。
ちなみに、早歩きが逆につらいかもとか思っていたから、多分実際はそこまで早歩きにはなってなかったと思うけどね。
でも少しして、無事に結崎の家。部屋に到着したのだった。
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