第44話 お電話
俺と蓮花寺さんが話している時にその場に居ます!という大アピールをしてしまった結崎。あれからは――もう大変。ホント大変だった。謝り続ける結崎を止めるのがね。
「ごめんなさい。ホントごめんなさい」
ペコペコ頭を下げている結崎。
「いやいや、そんな謝ることではないかと。ちゃんと後で言えばだから」
「ごめん。ホント」
こんな感じで結崎が謝りまくるという謎な状況に陥りまして――。
結局結崎は予定していた電車に乗り遅れるというね。なので、俺の部屋に居る時間が長くなったという。
そしてほぼ夜。というかあと数本で最終という状況になりまして、さすがに、遅い時間という事だったので俺は結崎を家まで送って田園駅へとやってくる最終の2つ前の電車で家に戻ってきたのだが。
ホント移動中も結崎はペコペコで――これはこれで体調を崩してしまうのではないかと心配になるくらいだった。
いやまあ俺は結崎とご飯を一緒にや、ちょっと部屋に居たことを必死に隠したかったとかそんなわけではないのだが。
「松尾君に迷惑かからないようにするから」
結崎は家の前でもそんなことを言っていたが。何というか。必死過ぎてというか。マジでちょっとあの様子は心配になった。ということもあり――。
一応俺は家に帰った後メッセージ。いや時間的にどうかな。と思っていたのだが。
「えっと…こんばんは。先ほどの事ですが。ちょっとうちのばあちゃんと結崎がまあ仲良しでして。それでちょっとさっきたまたま家に居たということでして、いろいろ間違った情報を拡散しないようにと――」
どのように書いたらいいかわからないので、なんか思いつくままいろいろ書いて送ったので、不審なメッセージが来た!とか言われるかもとか思っていたのだが。蓮花寺さんに連絡。
♪♪
「松尾からも連絡来たよ。ホント同じことするね」
すると、そんな返事がすぐに来た。
俺からもということは――結崎が先に連絡していたみたいだ。そして続けて。
♪♪~
2度目の蓮花寺さんからの電話が来た。
「——はい」
「あっ松尾。さっきはごめんねー。お邪魔して」
蓮花寺さんまだ楽しそうだ。
「えっと、その件ですが……」
「大丈夫大丈夫。ついさっきゆえからも電話あってめっちゃ言われた」
「えっと――どのように?」
「あれなんでしょ?体調崩した時に来てくれた人が松尾のおばあちゃんなんでしょ?」
「まあそういうことですね」
「いろいろ松尾のところのおばあちゃんが料理とか助けてくれてて、今日もちょっと呼ばれてたまたま帰る直前に私が電話してきたって」
「そういうことです」
「にしても、超仲良しじゃん」
「いや、ばあちゃんと結崎は――だよ」
「いやいや。ゆえも松尾に迷惑かからないように。って連呼してたし。まあ私も鬼じゃないから。泣かすようなことはしないけど」
蓮花寺さんが話していると。
「あー、またゆえと電話?」
「——うん!?」
蓮花寺さんの電話口で別の人の声が、って、今の長宮さんだよね?と俺が思っていると。声が変わった。
「やっほやっほー、ゆえといういい子が居ながら他の女の子と何コソコソしてるのかなー。松尾君?」
「——そちらに長宮さんも居たのね」
はい。長宮さん登場。
「居たんだよねー、今日は遊びにきててねー。まあ私はちゃんと声我慢していたからね。気が付かなかったでしょ?」
「——つまりいろいろ知っていると」
「イエス!」
こちらも夜中なのに元気な声だ。近所迷惑にならないように。
「……」
「あっ。松尾君大丈夫だよ?ネタにするくらいだから」
「いやいやそれを――やめていただきたく」
「ふふふっ、大丈夫だって。他の子には言わないし。ゆえなんて隠しているようでバレバレだし。だから松尾君ゆえ見ててあげてねー。あっ私も見ててほしいかなー」
「——えっ?」
なんか今変な言葉は言ってなかった?とか思っていたら長宮さんは俺の返事の前にまた話しだした。
「まあまあだって松尾君もゆえの事が気になったから根回し?してるんでしょ?」
「いや――まあ誤情報が広がりますと……なのでね」
「優しいー。ほんと私も相手してほしくなっちゃう」
「——えっ?」
ほらまた変な話になってるよ。とか思って次こそ返事をと思っていると。
「うそー。あっ半分くらいホントかな?」
「え?」
やっぱ長宮さんが何を言っているか。わかんないや。
「ちょっと、奈都。人のスマホ持っていって、何さっきから変な事言ってるの。って奈都も松尾君狙い?」
「まさかー。お荷物運びに欲しいなー。って」
「長宮さん聞こえてます。全部聞こえてます」
そういう事か。俺また目を付けられていたらしい。便利屋は勘弁である。自由な時間っが減るからね。
「あれれー。おかしいな。で……ぱ……が――おか……し――」
「もういいですから」
長宮さんの電波が悪い状況の演技は触れず。俺がそのまま話を進めると向こうで音がし。
「ごめんごめん。奈都の事はほっといていいから」
またチェンジした。
「——まあ、うん。ってかホント誤情報は」
「大丈夫だって。もし奈都がばらすようなら。奈都の恥ずかしい写真でもばらまいてあげるから」
「ちょっと。澪?今なんて言った?」
「さあ?じゃ、松尾また学校で」
「えっ、あ、うん」
なんか最後向こうで騒ぐ声が聞こえたが。気にしなくていいだろう。って、いろいろ大丈夫かな。とか思いつつ。俺は、結崎にもメッセージを送っておいた。
一応蓮花寺さんにこっちからもちゃんと話しておいたから。まあどうなるか――。だけど。という感じで。
するとすぐに「ごめん、ありがと。こっちからもちゃんとまた言うから」と結崎からは返事が来た。
まあ後——数日か。数日すれば高校は面談期間だし。その後は夏休み。長宮さん蓮花寺さんが、まあ楽しんで広げることはないだろうと思いつつ。大丈夫なはず。ちょっと心配だが。とりあえず大掃除の日はこれが終わった。
っていろいろなことがあったな。マジで疲れたよ。体力的にも精神的にも。おやすみなさいだな。あっ。風呂風呂――。
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