偏愛ショコラトール

作者 きさきみな

その偏愛は何を意味する

  • ★★★ Excellent!!!

 今年で十八になるT財閥の御曹司、橘聖一朗は外見は人形のように綺麗な美少年だが、幼少期からの奇行癖と重度の人嫌いで友達もおらず、お見合いも破談になる日々が続いていた。そんな聖一朗が例外的に心を許しているのが、橘家に長く勤める花子で、その花子にも三十を超えた今年、縁談の話が現れ、受け入れようとは思っているのだが、どうしても孤独になる聖一朗のことが気がかりだ……、というのが本作の導入なのですが、
 この作品はとても怖い。ただ後半以降の展開には触れずに語るのは難しいのですが、狂気的な怖さを孕んだ本作は後半意外な方向へと物語が進んでいきます。
 歪。確かにそれは歪なのですが、歪んだ世界の中でどこまでもまっすぐな感情は、強烈な美しさを宿すことがあるのかもしれません。読後、タイトルに使われている、偏愛、という言葉は、何に、あるいは誰に向けられたものか、とあれこれ考えてしまいました。

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