眠り姫の幸せな夢とその弊害

どこかふわふわとした印象を抱かせる、温かい光がたくさんの人を包んでいた。

その真ん中にいるのは、白い鮮やかなウエディングドレスに包まれた叶。その隣にいるのは、タキシードに身を包んだ颯だ。


動きにくいその服と少し慣れない化粧に違和感を感じながら、彼を見上げる。

覚えているときよりも身長が高い颯は、柔らかい笑みを浮かべていた。


「綺麗だよ、叶」


彼の優しい瞳が真直ぐ私を見つめていて、心臓が暴れんばかりに高鳴っている。頬に熱が集まっていくのが自分でもわかるほど、恥ずかしさが身を焦がしていた。


自分も何か言わなきゃと焦って、口は開くものの何も出てこない。それを見て、颯は一層、優し気な笑みを深めた。その様子を見て、一気に身近な颯が戻ってきた気がして安堵感のような感情が溢れてきた。


「ゆーまも、かっこいい」

「ありがとう。………有間ゆうま、って久しぶりに呼ばれた気がするな」

「そう?」


叶がそう聞き返すと、颯は怪訝な顔をした。


「……何言ってんだよ。俺が告白した時に名前呼びにするって話だっただろ」


少し拗ねた顔の彼でさえも、愛おしい。


「そうだったかも……。は、颯」

「なんだ?」


颯の方向をまっすぐ向いて、その柔らかで深い双眸を見つめる。深く息を吸い込んで、唇を震わせる。


自分を見つめる颯は、本当にかっこよかった。ずっと、ずっと好きだった彼の姿がそこにあるのだ。一番幸せな形で。


「………颯、大好き」

「ああ、俺も。愛してる」


嬉しくて、颯に抱き着く。そのまま見上げると、彼は困ったように笑っていた。そのまま、優しく抱き返してくれる。


彼の心臓の音、温かさがすべて伝わってくる。

おずおずと、叶の整った髪の毛に颯が手を伸ばした。本当は撫でたいのに、崩してしまいそうで撫でられないと顔に書いてあった。

嬉しくて、笑いながら頭を擦り付ける。手を離そうとするたびに、その手を求めて抱き着く。そうすると、また優しく撫でてくれるのだった。




いつまでそうしていただろうか。

不意に、颯の温かさが離れていった。手を伸ばすも、困ったように微笑みを浮かべたまま、その顔に届くことはない。


胸に穴が開いたかのような寂しさが心を巣食った。






対して、里奈は困惑していた。


「待って、ねえ………。ゆーま……」


彼女は寝ているときに嬉しそうな笑いが零れていたから、幸せな夢でも見ているのだろうと思ったのだが。

颯が居なくなった途端にこの調子だ。一気に機嫌が急落し、もう泣きそうな顔に見える。


「んー、どうしたの」


里奈が問うと、叶が小さく瞼を開く。ただその表情は眠気に蕩けたままで、いまだ正常な思考ができていないことが伺えた。


「……ゆーまが、行っちゃった」


きゅう、と縮こまったままそう言う。

さっきの沈んだ状態のまま、悲し気な瞳で深く息をいている。いかにも恋する乙女というような表情で、それが向けられているわけでもない里奈をも恋愛的な気分にさせる表情だった。


思わず守ってあげたくなるようなその表情を湛えたまま、彼女はソファに体育座りをする。


「ゆーまがぁ………」


もう甘える相手は里奈でもいいようで、抱き着いてきた。

その頭を優しく撫でていると、その手が颯でないことが不満らしく、なおさら悲しい表情をする。


ててて、と離れていったのを少し寂しくなりながら見送り、おとなしく颯が来るのを待った。颯が戻ってきたときの叶の表情の変化は、それはそれは見ものだった。


………本当に、いつ結婚するんだろうか。






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話が少し短かったので、評価の催促をしようと思いました。

ので、叶を使います。


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叶は、少しだぼだぼのパジャマのまま、上目遣いでこちらを見つめていた。恥ずかしそうに頬を染めて、ごまかすように髪をいじっている。


何かを決意したように、それでもどこか恥ずかしそうに小さく頷いた後、その柔らかな髪がかかるほどに顔を近づけてきた。甘い匂いがふわりと漂って、心臓が高鳴るのが分かった。


「……わたし、星とか、……応援コメントとか、欲しいな……?」


彼女の真っ赤に染まった耳が髪の下からちらりと覗く。

思っていたよりも顔が近くにあって、それにどうしようもないほどの気恥ずかしさを抱く。


「おねがい、欲しいの……」


息が詰まった。



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やり切りました(どやぁ)(もちろん颯視点です)(やりたかったんです、すいません)。


星は多分最新話に行って押せばいけます。

応援コメントはいつでも喜んで受け付けてます。

めんどくさいんだったら大丈夫です。

作者は、読者モードのときはいつも面倒で評価とかしないタイプです。

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