どうやら、妹に身バレする運命にあるらしい。

第41話 新入生のレクリエーション

「うわー。空が大きい。」

「んー。空気が澄んでてきもちーい!」

「ええ。人工的な山とは違って、奥ゆかしいです。」




バスを下りた俺たちに待っていたのは、春の心地よい日差しと、若葉の匂いだった。

森林浴でもしに来たのか?と思うほど、新入生レクリエーション日よりとなった。



上下黒に赤のラインが入った体操服。

背中には、伊世早第二高校とアルファベットのロゴが刻まれている。




「おーい。メガネくーん。」



「.............。」




そう。


なぜ、クラスの中心人物であり、学級長である仕田原理子が俺の名前を呼んだのか。



はぁ。


マジで、俺のしょうもないミスのせいだった。

彼女は、良く通る声で、俺に名簿を渡してくる。


「これで、男子の点呼よろしくー。」



「あ、ああ。」



だから、学級委員は、嫌だったんだ。




はぁ。




入学してから、何回ため息をついたのだろう。

やはり、俺には、神様がいないのかもしれない。



そんなことを考えながら、男子の人数をチェックし、全員揃っている旨を望月先生に伝える。




「はい!

ではでは!


始まっちゃいます!

新入生レクリエーション!!」




いつも以上に、張り切っている望月先生。

背中のリュックが本体なのか?と思うほど、リュックが自立している。






新入生レクリエーション。

今日から、4日間、クラスで寝食を共にする。


入学当初の計画では、俺はこの行事、風邪を引いて欠席するつもりだった。




しかし、彼女たちのせいで、その計画は頓挫することになってしまった。

そう。彼女たちのせいで。





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