第27話 王様ゲーム②

「その相手に選ばれた、者は、いったい、男なのか!女なのか!


さあ、17番、その正体はいかに!!




そして、その17番を後ろからハグする人物とは、いったい誰だーーーー?」



山口一の、熱い実況の中、17番のくじを引いたのは.......。


.......。俺だった.......。


「すみません。私ですね。」

俺は、おずおずと、手を挙げた。




「使用人さん!!?」

まさか、クラスメイト30人が当たる確率を上回ってしまうとは。



数学の理論も、あてにならない。

皆も、ここで、俺が当たるとは思いもよらず、場が一瞬静まった。





だが、周囲からは、安堵の声が漏れる。

「良かったー。使用人さんなら、安心だね。」

「そうそう。下心が無いというか。」

「うん。そこら辺の男子と違う感じ。」




「まあ、クラスの奴に抜け駆けされるよりましだな。」

「ちぇ、残念。でも、これから、高校始まるのに、白い目で見られるなんて、耐えられないから、使用人さんで、妥協しよう。」




男子も女子も皆、色々言ってくれる。





おそらく、ドラマやアニメで登場するお仕え者や執事、メイドなんかは、清楚で規律を守るなんて設定が多いのだろう。


そのためか、いざそういう人に出会うと、自分の知っている人格を当てはめがちだ。



先入観が、見た目より先に、人を支配してしまう。



思い込みが、実際を左右することはよくある。





例えば、



道で、駐車違反の取り締まりをしていた警察官が運転手のいない車を見つけた。

違反切符を取ろうと、車に近付くと、運転手がいないのに、かってに、その車は動き出した。



なぜ?





外車で左ハンドルだから?

違います。



ヒントは.......。

そして、維持の悪いことに、この話しは、現代の日本という設定もされていない。

つまり、問題者が、空想で描いた世界なのかも知れないのだ。

だから、車は車でも、馬車や牛車だ。

つまり、人間でない、別の生き物が駆動源になる車。



少し、インチキに聞こえるかも知れないが、誰も、車=自動車とは言ってない。



これは、安易に話を鵜呑みするなという教訓になったりもする。

たまに起きる、会話のズレも、大半はそれぞれ同じ言葉から連想したものが違うってことが多い。





他にも、


修二君のお父さんには、8人の子供がいる。

長男の名前は、一郎。

次男の名前は、二郎。

三男の名前は、三郎。

四男の名前は、四郎。

五男の名前は、五郎。

六男の名前は、六郎。

七男の名前は、七郎である。

では、八男の名前は何?





法則性を見つけ出し、八郎と、思った人もいるかも知れない。

ハズレだ。

ただ、この家族が絶対に、法則を守るとは書いていない。



答えは、簡単だ。

もう、書いてあるのだから。







そんな感じで、人は、自分の持つ印象を相手にトレースしやすい。

身近な者や、既に、知っている者ならば、なおさらだ。




だから、俺は、使用人になれたのだし、今、こう言う状況でも、叩かれることはなかった。



「無難な、人選を突いてきましたねー!!

では、晴れて、使用人さんをバックハグするのは.......?」



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る