第90話 信玄の元に
マサムネにやられ、戻った板垣信憲は・・・
「申し訳ありません、土御門の奴の邪魔にあい馬場の首級を上げることが出来ませんでした。」
「なんだと!それでおめおめと逃げ帰って来たのか!」
「しかし、奴は我等に1万からの兵を向けました、我等も奮戦致しましたが多勢に無勢、逃げるしかなく・・・申し訳ない。」
信憲は武田義信に数を水増しして伝え、自分に罪のないようにする。
「くっ、1万も向けたのか?奴は既に我等を敵と見ておるのか?」
「はっ、奴等は我等が引いて来るのを待っている恐れがあります。
さもなくば、1万の軍勢が急に出てくる筈がございません。」
「ぬうぅぅぅ!あの裏切り者がぁ!父に使者を出せ、裏切り者を挟み撃ちに致す!」
「はっ!」
信憲は命令を伝えに外に出ようとするが・・・
「お待ちを、誠にヒロユキが裏切ったのですか?」
三枝昌貞は信じる事が出来なかった。
以前に話した時の感じだと、裏切るような人物に見えず、信繁を立てる忠義者に見えていた。
そして、本当に裏切ったのなら、今の自分達の場所は死地ではないのか?
そんな考えが頭に巡る。
「裏切ったに決まっておる、奴のような下賎の輩は信用おけんからな!
織田を落とせんのも奴の策略に違いない!」
「しかし!」
「うるさい!皆に告げる、これより我が軍は全軍を上げ、ヒロユキを討つ!」
怒りのあまりに義信は周囲が全く見えていなかった!
折角落とした鳴海城を放棄して、全軍を上げて岡崎を目指す。
後方から迫る、織田軍に気付かずに・・・
義信の軍勢が岡崎に進軍する寸前に今川館にいる信玄に義信の使者がつく。
「義信から何の使者だ?」
信玄は急使が持ってきた書状を読む。
「・・・なっ!義信は何を考えているんだ!」
信玄の顔が青くなる。
「あいつはどれだけ愚かなのだ・・・そういえば、馬場からも手紙が来ておったな、」
急使がつく手前に届いた馬場信春からの手紙も読むが・・・
「あの馬鹿者が!信春を疑ってどうする、しかも、引き上げる信春を追撃するとは・・・
くそっ!何故ヒロユキを其処まで恨む!
軍を起こせ、ヒロユキの救援に向かう。
信繁を呼ぶのだ!」
事態は既に跡継ぎどうとかの話では無くなっていた。
此処まで来てしまった以上、義信かヒロユキどちらかを選ばねば武田は割れるであろう。
そして、ヒロユキは既に独立しかねんぐらいに準備が出来ていると報告が来ている。
急がねばヒロユキは武田を見限るであろう。
信玄は急ぎ兵を集めようとするが、
しかし、兵の多くは義信に与えていた為に集まらない。
信繁も北信濃の海津城にいるためにすぐに動く事が出来ない。
その間にも義信とヒロユキの戦が始まろうとしていた。
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