第66話 第5次川中島の戦い

武田の先陣は小幡昌盛であった。

彼は武田家でも猛将と鳴らしており、信繁は先陣を任していたが・・・


「どけ!雑魚がぁ!」

上杉の先陣、上杉随一の猛将柿崎景家の前では、その武勇も多少の時間を稼ぐだけであった。

小幡昌盛は儚くも散ることとなる。


「くっ!虎胤、柿崎の側面を突き勢いを止めよう!」

信繁が老将原虎胤に指示をだす。

虎胤も指示に従い側面を突く事で勢いを止めた。

上杉は柿崎が止められた事を見るとすぐに第2陣の攻撃が始まる。

上杉の将は斎藤朝信、彼もまた卓越した軍略で武名を鳴らす男であった。


「幸隆、矢を射かけて斎藤の足を止めよ!」


先陣が敗れ勢いをとられた武田軍は防戦状態となる。

元々倍の兵力差がある。それに加え、信繁率いる軍勢は集められたばかりの兵が多く、精強の上杉軍相手に勢いを削がれた後は徐々に兵力を失っていくばかりであった。


真田幸隆は信繁に退却するように進言する。


「信繁様、此処は一旦お引きください。」

「・・・仕方あるまい、だが、簡単には逃げれんぞ。」

「虎胤殿が殿を引き受けてくれるそうでございます、長くは持たないと言っておりますからお急ぎを!」

「虎胤、すまん!」

信繁は本隊を率いて退却に入ろうとするが・・・


物見がかけてくる。

「信繁様、援軍にございます。敵の後方にお味方が攻撃を仕掛けております!」

「なに?何処の軍だ!」

「ヒロユキ様が、ヒロユキ様が援軍に参られました。」

「退却は中止だ、これより反撃に出る、皆、上杉に挟撃を仕掛けるぞ!」

上野での活躍は武田家に広く広まっていた。

その為、援軍がヒロユキと言うことを聞いた兵の士気は上がる!


反面、上杉に動揺が走る、ヒロユキの武名は上杉にも届いていた。

英雄とも呼べるその戦果の男が背後をついて来ている。

その動揺は計り知れないものがあった。


そして、ヒロユキもその武名に恥じない?攻撃を開始する。


ヒロユキは三河からの道中、猪を集めて来ていた。

それを一気に上杉に突撃させる!


後ろから襲いかかる猪に上杉軍は混乱をきたす。

そして、そこを信繁が攻撃を加える。

上杉に傾いていた戦況は一気に武田に傾いた。


「景虎様、此処は危険にございます。一度お引きくださいませ!」

側近、小島貞興が撤退を促して来るが、

「ならん。

あれが神の使いを詐称するものか?確かに面妖な術を使いおるわ。

だが、毘沙門天の加護がある我には効かん。

貞興よ、供廻りを集めよ、我自ら敵を討ち滅ぼさん。」


景虎は本陣の兵士千を集め、自ら先頭に立って激を飛ばす!


「皆、よく聞け、死地の先に勝利はある!

我に続け!」

軍神、上杉景虎がヒロユキがいる部隊に向かい突撃を開始した!


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