初めての魔法の練習
『天におわす父なる神よ、地におわす母なる神よ、我に大いなる力を分け与えたまえ。ファイアーボール!』
王妃に報告したり、
息子の
『とりあえず、初心者は、「天におわす父なる神よ、地におわす母なる神よ、我に大いなる力を分け与えたまえ」って言って、魔法名を唱えるの。本当は効率とか効果を考えると頼む神様は違ってくるんだけど、天の神と地の神はオールマイティーだから♪』
そんないい加減でいいのか魔法というものは!
まぁ、こんなファンタジーな経験、日本じゃできないから、好奇心半分でとりあえずやってみよう!
『ファイアーボール!』
おぉー!火の玉が出た!。当たったら熱そう。
『アイシクルボール!』
今度は氷の玉が出た!当たったら痛そう。
『ファイアーアロー!』
火の矢に、
『アイシクルアロー!』
氷の矢に、
『サンダーボルト!』
落雷。これの上位版がビッグゴスゴリルを倒したんだな。
皆でポンポン攻撃魔法をぶっ放していると、
「何だか疲れてきたー」
「あらあら、ちょっと待って。『フーエル・レムナント』。うん、魔力切れね。ちょっと休んでいようか」
「やだ!まだ遊ぶの!」
「まだ遊びたいの?じゃぁ、ちょっと待ってね」
「フウ君、これを飲んで疲れが取れたらまた遊んでもいいからね。味は悪いけど飲むのよ」
「うん、分った」
「まずー、にがー」
「じゃぁ、あそこで休憩していてね」
「私も疲れたー」
今度は
後で聞いた話だが、魔力は自分で減ったと感じる程使って、足りないと感じると、体の魔力がちょっとずつ増えるのだそうな。いくつかある最大MPの増やし方の一つだそうだ。
「残量いくらかな?『フーエル・レムナント』。!?」
ん?何?その表情?何だか不安になるんだが…
「あなた、魔力結構あるのね。これくらいの強度の魔法じゃぁ、魔力切れはなさそうね。いっぱい練習してね♪」
俺たち家族組とは別に、点々バラバラ、離れたところで練習しているのが他のパーティーメンバー。何でも、強力魔法を使うので、結構離れていないと危険だそうで、それに、それだけの強度でなければ練習にならないのだそうな。
…二人とも、がんばれ。
意外だったのは剣士のカーライルだ。てっきり肉体労働専門だと思っていたが、ちゃんと魔法も使えるようだ。
…さすがにアンリエッタやメンドローサの魔法には及ばないけどね。
…時計、使えたんだよ。1日の時間、地球とこの星、ピッタリだったんだ。くせで腕時計、付けっ放しで昨日、それに気づいたんだ。気づくの遅いよ!俺!
『おーい、ここらへんじゃぁ、
『そうねぇ、移動しなきゃならないわね』
『じゃぁ、今日はこの辺りで切り上げて、泊まる場所の確保と料理をしましょうか』
パーティーメンバー全員を集めて、これ以上ここに
俺は運転していて気付いた。
『キャンピングカーの燃料、もう半分使ったな。後ろのタンクの燃料を入れれば満タンになるが、早めに補給先、探さないとな』
『そうね。揚げ物したときじゃなきゃ油なんて出ないし、あなたの言うとおり、補給先は大事よね』
結局、燃料探しにベースの場所探しではなく、王都に引き返すことになった。
向かった先は、バーンクリット家。
…いつもいつも王城に行ってられないしね。何だか図々しい気がするし。
『お嬢様とご家族の皆様、お帰りなさいませ。パーティーメンバーの皆様いらっしゃいませ』
門番とそんなやり取りをし、俺は車を玄関に回し、
『まぁまぁ早速おいで下さいましたのね!心より歓迎致しますわ!』
出迎えてくれたのは、
『一旦城下町を出たんだが、車の燃料の補給先を探さないといけないことに気付いてね。いきなりで悪いけれども今日はお世話になっていいかな?』
『もちろんですとも!泊まっていって下さいな』
「立ち話も何ですし」と言われて、応接室に通された。お菓子とお茶を振る舞われて、
『まぁ、使った油で車?というのが動きますの?馬車のように移動に使いますの?面白いですわね』
『何なら一度、乗ってみます?』
『あら?お姉様、いいの?では一度乗せて下さいませ。ちょっとセバテベス』
アヴァリンお嬢様はセバテベスと話し、残り油があれば取っておくように伝え、セバテベスはゆっくりと部屋を出た。
しばらく話していると、セバテベスが戻って来て、
『旦那様とお坊ちゃまがお戻りになりました』
そして、玄関ホールでお出迎えすることになった。シンロブモントさんも
『ふぅー。とんだ無駄足だったな。お出迎え、ご苦労 …ん?』
『本当ですよ、お父様。まさか討伐された後だったとは。 …ん?』
『お父様、お兄様、お帰りなさいませ …ん?』
…そこは真似しなくてもいいからアヴァリンお嬢様。
紫のローブを着た60才くらいの男性と、同じく、紫のローブを着た俺と同い年くらいの中年男性が入ってきた。
『お父様、お兄様、お久しゅうございます』
『そ、そなた、エリアリアーナか!』
『そうですわ』
『おぉ、昨日手紙で知ったが、すれ違いになると思っていたぞ!こんなに早くに会えるとは!』
『よくぞ!よくぞ戻って来た!今日は泊まって行きなさい』
『はい。そうしますわ』
そして、お父様とお兄様も一緒に、応接室へ戻った。
『ふむ。そんなことになっておったか。でもしかし、生きておってくれたことが嬉しいぞ!』
『そうだとも。それに、こちらで過ごすのであれば、ちょくちょく家に寄って顔を見せに来なさい』
『ありがとうございますお父様、お兄様』
お言葉に甘えて、その日はバーンクリット家に泊まるのであった。
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