薫の帰省
妻の
『今日はあなたに頼み事があるから私が運転するね』
と、
『なりません、公爵家令嬢に
『
ひどい言われ様だな!俺。
俺は何か用事があって運転できないらしい。俺の他に運転できるとしたら、
俺は仕方なく助け船を出す。
『
こちら出身のパーティーメンバーは、ぐうの音も出なかった。渋々
片付けも終わり、出発しようとしたとき、
『じゃぁ、あなたは百貨店に寄って手土産を買ってきてね♪。あっちのお菓子はこっちでは珍しくておいしいから適当に
と、言われ、俺は日本に飛ばされるのであった。
/*
その頃、飛ばされた二郎は?
*/
気付くと俺は、百貨店の目の前に飛ばされていた。
「クッキーにロールケーキにゴーフルにおかき類に和菓子。多分、数が多い方がいいよな。よし!クッキーにしよう!」
お徳用クッキーを二箱買って、のしの描かれた紙を貼ってもらう。
「宛名はどう
「どちらもバーンクリット公爵様へ、でお願いします」
「お名前はカタカナでよろしいですか?」
「うん。カタカナでお願い」
「かしこまりました」
どうせあちらはのしの文化なんて無いし、手渡しで渡される贈り物に宛名が書かれる文化もない。だから気持ちの問題だ。あちらが分らなくても問題ない。
お会計を済ませ、クッキーを受け取って百貨店の外に出ると、また、あの黄色い光に包まれる。
/*
その頃他のパーティーメンバーは?
*/
『うふふん、ふふーん♪』
私、
『
『そうよー♪』
ルームミラーをチラリ。こちら出身のパーティーメンバーは、
『そんなに
『『『え?』』』
『さすがに
よほど今の状況が今後、何度もあると、胃が保たないと思ったのか、
『『『是非!お願いします!』』』
4人の声がハモった。
/*
合流
*/
『かの者を召喚したまえ』
呪文を唱え、俺はパーティーメンバーと合流した。
『私は、エリアリアーナ・バーンクリットと申します。公爵にお目通りをお願いします』
『少々お待ちくださいませ』
門番は、呆れともくだらないともつかぬ表情で、渋々取り次ぐ。
『どうぞお入りください』
しばし待たされ、
『よろしいでしょうか?』
『はいどうぞ』
執事のように人が入ってきた。
『セバテベス、まだこのお屋敷に勤めていたのですね。お懐かしい!』
『どうぞこちらにお触れください』
『あぁ、簡易検査ね』
『左様に御座います』
その様子を見たセバテベスは、落ち着いた風を装って、
『こちらも準備がございます。もう少々お待ち下さい』
震える足で、セバテベスは部屋を後にした。
またしばらく待って、
『おじさま、お久しぶりです』
と、
『そ、そなた、本当にエリアリアーナなのか?』
『はい』
『いや、先に検査をさせてもらうぞ!』
『はい』
おじさまはそう言うと、セバテベスに指示を出し、セバテベスは器を出した。儀式のときに酒を飲むときの杯に似ているが、
それに、ポットから液体を注ぐ。それにおじさまは小型のナイフで指を切り、杯に一滴垂らす。
『ほ、本当にエリアリアーナなのだな』
『はい。本当です』
おじさまは驚きのあまり腰を抜かして尻餅をついた。セバテベスは震えている。
セバテベスは魔術具を片付けて、また戻ってくる。すると、復活したおじさまは、
『会いたかったぞ!エリアリアーナ!この日が来ることをどれほど待ち望んだことか!』
『お久しぶりですおじさま』
おじさまは
ひとしきり
『して、そちらの方々は?』
『そなたも苦労したのだな』
『はい。小さい頃は確かに苦労しましたが、夫に恵まれ、子供たちにも恵まれ、今は幸せな日々を暮らしております』
『うん、今が幸せならそれでいい、それでいい』
『それで、その、つまらぬものですが…』
そして、やっと俺が買って来たクッキーをおじさまに渡す。
『手土産か、ありがとう』
おじさまはそれをセバテベスに渡すと、セバテベスはハッと気付いたようにクッキーの入った箱を持って退出し、しばらくして、今渡したクッキーとこちらのお菓子だろうか?食べ物と、お茶を人数分振る舞われた。
『父上は留守なのですか?』
『あぁ、間の悪いことに留守なのだ。お前の兄弟も、仕事に出かけていて留守なのだ』
そう、申し訳ないように話した。
『名残惜しゅうございます』
『本当に、もう、行ってしまうのか?』
『はい。これから王族に私の素性を明かし、記憶が戻ったことをお伝えせねばなりませんから』
『そうか。それは大事だな。それでは行ってきなさい。いつでも戻っておいで』
『はい。それではしばしお別れです』
そう言い、俺たちは報告のため、王城へ向かうのであった。
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