第21話 人喰い鬼編④

俺様は海翔が呑み込まれた壁を見て思った。

「あいつ、紛れもねぇバカだな」

この任務は亜種1匹殺して終わるはずなのに、

あいつのせいで任務手こずってねぇか?

まぁ、あたりまえか。

あいつにとっては初任務だし

しょうがねぇと言えばしょうがねぇけど―

ドンドンドンドンドンドンドンドンドン―

「あ?何だこの音?!」

音がする方の壁を向いて俺は構える。

大技は放たない方がいいな。

もしも相手を逆上させたらまずいし、

そもそも場所を教えるのは得策じゃねぇ。

だから目立つ技はやめ―

「リィリィース!」

とか思ってたら、目の前の壁をぶち破って

海翔が飛び出してきた、、、

、、、、、ガシッ

「え?え?リリス?!

なんで俺の首を掴んでッ―」

俺様は海翔の首を掴むと、

天井に向かってぶん投げた。

「バカァァァッ!!!」

「なんでぇぇぇ!!」

海翔がぶつかった天井は廃病院なだけあって、ボロかったのか崩れ落ちた。

「なんで俺の事投げんだよリリス!」

「たった今、静かに動こうと思ったのにお前何枚

壁ぶち抜いたんだよ!!」

海翔の出てきた壁を見ると、その壁の向こうの壁もその向こうも、全部全部に直径2mぐらいの穴が空いていた。

こいつやっぱバカだな、脳筋の。

海翔の上の電気がチカチカ光る

目が痛てぇわ。

ん?海翔のいる上の階、何か違和感が―

「おい、お前の部屋だけなんで電気がついてんっ」

「リリスゥッ!」

海翔の部屋から、黄色い閃光がいくつか伸びたかと思うと、海翔を避けて俺様に向かって飛んでくる。

「くっ!焔の障壁【フレアウォール】」

俺様は自身を囲うように炎の薄いバリアをはる。

「リリス!大丈夫か?!」

海翔が俺を見下ろして叫ぶ。

「あぁ、大丈夫だ。

それより、お前も気づいたか?」

まぁ、ここまでこれば海翔でも―

「なんか分かったのか?リリス!」

ダメだったか、、、


「今の攻撃がお前を避けて、俺様に来たってこと

は亜種の狙いは、俺様の殺害か、お前の確保だろ

うな」


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