十五夜の兎

 丸い月を見上げると、遠い昔を思い出す。今ごろ故郷では兄たちが餅をつき、姉たちが手製の団子をつくっているはずだ。

 みんなで御殿を囲み、団子を食べて呑み、踊るように跳ねたあの夜。部屋では麗しい姫君が、慈愛の瞳で見守っている。

 郷愁に蓋をするように、わたしはスーパーで買った団子を頬張った。

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