第11話 とある部屋
「さて、これでいいだろう」
俺は周りを見渡してまた同じルートを駆けて戻って行く。
時間は22時過ぎ。
30秒も経過していなかった。
俺がホテルを出るときに広げた自動ドアがそのままの形で開いている。
それをゆっくりと閉じて部屋に戻った。
「ふぅ・・これで後は明日のニュースででも何か変化があるだろう」
俺は身体を魔法でクリーンアップし、そのままベッドに横になった。
すぐに寝ていたようだ。
・・・
・・
朝5時過ぎ。
俺は目を覚ます。
早速テレビをつけて見る。
ん?
何やら騒がしい雰囲気だ。
ニュースキャスターが忙しそうにしている。
「・・皆さん、私がこんなことを言ってはなんですが、奇跡です。 奇跡を目撃しております。 様々な病院から新型コロナウイルスの患者さんが回復したと報告を受けております。 詳しくはわかりませんが、どの病院からも入院されている感染者の方々から、新型コロナウイルスの反応が消えたという報告を受けました。 新しい情報が入り次第報告いたします・・」
どのチャンネルに合わせてみても同じような内容だ。
なるほど。
どうやら成功したようだな。
俺は、日本だけでも全域をこの神聖術魔法で覆えばいいだろうと思った。
朝食後、早速俺は超加速で移動し、北海道から沖縄までを拠点ごとに魔法で覆って行く。
海の上も魔法で走ることができる。
それに移動は見つかることもない。
俺以外の時間はほとんど動いていないだろうから。
・・・
全部の設置が終わる。
沖縄の空を見上げて、そのまま駆けて帰ってきた。
時間的には1分も経過していないようだ。
ふぅ・・とりあえずはこれでいいだろう。
俺は自分の寝泊まりしている宿泊施設で休息だ。
朝食をもう一度とって、歯磨きをする。
やはり、何か俺の中では爽やかな風が吹いていた。
清々しい気分だ。
◇
<とある部屋>
一人の男がワイングラスを片手に立ち上がる。
「クリストファー君、本当かね」
低い重厚感のある声だ。
「はい、お館様。 間違いないかと思われます。 普通の人には見えないでしょうが」
「私も、君の言葉だから信じるが、魔法とはね・・」
コンコン・・。
部屋の扉をノックする音が聞こえた。
「どうぞ」
お館様と呼ばれる男が答える。
扉が開かれて、メイドだろうか女の人が頭を軽く下げ声をかける。
「お館様、間もなく始まります」
「うむ。 今から行く。 ありがとう」
「はい」
メイドは返事をすると扉を閉める。
「クリストファー君、我々の計画が少し狂ってしまったようだ。 もし、日本へ確認しに行ってくれと言えば、行ってもらえるかね?」
「・・お館様、私などではとうてい及ぶべくもない力です。 ご命令とあれば行きますが、それ以外ではご遠慮したいものです」
クリストファーがお館様と呼ぶ男について歩きながら答える。
「さすがの君が見てもか・・ふむ」
お館様と呼ばれる男とクリストファーはメイドが待つ重そうな扉の中に入って行った。
扉の中は薄暗く、PCが1台設置してあった。
その画面の前にゆったりと座れる椅子がある。
そこにお館様が腰かける。
その横でクリストファーが立っている。
PC画面のモニターに六芒星だろうか、そんな模様が浮かび上がっている。
お館様がモニター横のタッチパネルに手を置く。
PC画面のモニターがどこかの会議室だろうか、そんな部屋を移し出していた。
すぐに声がする。
「おぉ、やっと来たかシュナイダー卿。 これで全員そろったな」
モニターの向こうに、女の人がこちらに向かってお辞儀をしている。
「それでは皆様が御揃いになったところで緊急会議を開催いたしたいと思います。 皆様のところに既に配信されていると思われますが、日本で新型コロナウイルスが駆逐されたという報告がありました。 私のところで把握しているだけでも、確かに完全と言っていいほどウイルスの反応が消失しております」
女の人がそう報告すると、誰かの声がする。
「それは本当かね。 あのウイルスは第2段階のレベルにすら入っていないだろう」
「そのはずだ」
「変異種も想定の範囲内だ」
「我々の管理下にある」
「バッキンダック主席は何をやっているのか!」
・・・
・・
いろんな言葉が飛んでいた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます