俺、城兵だけど無双する〜「出てけ無能!」と勇者パーティーを解雇された俺だが、実は【闘神の力】が使えてしまう。なに、俺の実力に気がついた? 戻ってきて欲しい? ……断るッ!!〜
第36話 無事解決 【ウットイ兵士長ざまぁ回】
第36話 無事解決 【ウットイ兵士長ざまぁ回】
〜〜タケル視点に戻ります〜〜
ーーワカツ平原ーー
ジェネラルワーウルフを一撃で倒した俺は、他に残っているノーマルのワーウルフも倒すことにした。
ここまでくればついでだし、力を隠していたこともバレたからいいだろう。
「20体程度か……。まぁ、5秒もあれば余裕だな」
俺の打撃音が辺り一面に共鳴する。
パン! パパパパン!! ダン! ズドン!! ドドドン!!
兵士達は口をポカンと開けて、その様子をただ見ているだけだった。
◇◇◇◇
俺がバルバ伍長の前に立った時、そこには全てのワーウルフ達が地に伏していた。
伍長は、全てが理解できたように俺を賞賛する。
「タケル、全てお前の力だったのだな! キャプテンの甲冑を粉砕したのもお前だろう!」
俺の答えは笑うだけだった。
さて、被害はどうだったのだろうか?
こういう事は兵士長の仕事だな。
「ウットイ兵士長。状況はどうだったのですか?」
彼は、俺と目を合わすのが気不味い様子。
「は!? え? えーーと、状況って??」
「被害状況ですよ。怪我人は出たのですか? 重傷者の手当てはどうなっています?」
彼は、目をキョロキョロと泳がせて汗を飛散させた。
「う……う、うむ。ふ、負傷者は複数だが、ほ、骨を折った程度で、し、死亡者はゼロだな。うん」
「そうか……。良かった」
兵士達は俺を取り囲んだ。
口々に賞賛する。
「すげーぞタケル! ありがとう!」
「お前強すぎだろ! びっくりした!」
「命の恩人だ! マジ感謝!!」
ロジャースは俺の手を握って喜んだ。
「タケル、この勝利はお前のおかげだ! そして、ありがとう。命を助けてくれて。これでまた家族に会えるよ!!」
「まぁ、大した事はしてないさ」
「おま……。ははは! お前は本当に凄い奴だな!」
ロジャースは兵士達に大声を張り上げる。
「お前達! 今後、タケルの事をラッキーボーイだなんて言った奴はこのロジャースが許さないからな!」
それを受けてみんなは笑った。
「んなこたぁ絶対言わねぇよ! タケルは俺達の英雄なんだぞ!」
「そうだ!そうだ!」
「こりゃ、スタット城始まって以来の大ニュースだぞ!」
やれやれ……。ちょっと面倒くさいことになってしまったな。
ロジャースは再び俺の手を握る。
「タケル。お前はお茶を飲むのが大好きなんだろ? うちの嫁は異国のお茶が好きなんだ。玉露って知ってるか? 緑色のお茶なんだぞ。今度家に遊びに来い! ぜひご馳走したい!」
ほう……。緑色のお茶とはめずらしい。
俺が関心していると他の兵士達も俺に詰め寄った。
「俺の家にもお茶しに来いよ!」
「俺もお前とお茶飲みたいぜ!」
「なんだてめぇ、この前までお茶は女のするもんだ!って馬鹿にしてたじゃねーーか!」
「ばーーか、タケルは特別なんだよ!」
「んじゃあよぉ、みんなでタケルを囲んでお茶会と洒落込もうぜ!」
やれやれ。お茶ってのは、ゆっくりと落ち着いて楽しむものなんだがなぁ。
こいつらと飲んだら宴会になりそうな勢いだ。
城兵達は飛び跳ねて喜んでいた。
うーーむ。かなり騒がしくなってきたぞ。
そんな傍、バルバ伍長は血相を変えてウットイ兵士長と話していた。
バルバ伍長は指を使って数える。
「翼竜のプテラ討伐。獣人タイガーマン討伐。巨人サイクロプス討伐。それから、あれも、これも……」
ウットイ兵士長は血の気が引いて真っ青な顔。
伍長は俺に詰め寄った。
「わ、私の小隊が圧倒的成果を上げている時、必ずタケルがいた! おま……お前まさか……。今までずっと……」
「ま、俺は大したことはしていません。全て伍長の実力ですよ」
「いやいや、待て待て。私も何かおかしいとは薄々思っていたんだ! ウットイ兵士長にそんな力は絶対ないし……」
「バルバ伍長!! ううっ……」
ウットイ兵士長は泣きそうになってうつむく。
さて、長居はしてられない。
行かなくては。
グレン達が心配だ。
しかし、バルバ伍長はグイグイと俺に顔を寄せ付けていた。
「タケル! わ、私はお前になんの礼もできていないではないか! ど、どうすれば良いのだ! これでは私の気がすまんぞ!」
伍長があまりにも俺に身体を密着させるので、場は騒然と化した。
「あ、あの気位が高くて有名な伍長が……」
「貴族のプロポーズを断りまくっている伍長が……」
「スタット王国きっての美人が……」
いつもならウットイ兵士長が間に入ってくるはずなのだが、彼は何も言えず、ただ下唇を噛んで悔しがるだけだった。
「伍長があんなに密着して……羨まし過ぎるぞタケル!」
「タケル……マジかよ……」
「伍長が……お、俺の伍長が……」
「オッパイの密着度がヤバイ!!」
やれやれ。収拾がつかんな。
「じゃあ。俺が城に帰ったら、みんなでお茶を飲もう。それで勘弁してくれ!」
兵士達は威勢のいい返事を返す。
「「「 おおおおーーーーーー!! 」」」
そんな中、バルバ伍長は俺の耳元でささやいた。
「私とは2人きりだぞ♡」
やれやれ。……もう行こう。
みんなに向けて一言。
「じゃあ、また。城で会おう!」
俺はスキル
去っていく俺に、スタット王国第二兵団小隊の一同はいつまでも温かく手を振ってくれたのだった。
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