賭け事をしなきゃ良かった

「岬くん!僕と賭け事をしない?」

僕はお小遣いが欲しかったので友達の岬くんに賭け事を持ち掛けた。


「うん良いよ!大川くん。」

勝負の内容は岬くんが鼻からUSB ケーブルを入れて口からUSBケーブルを出せたら僕が負けとなって岬くんに1000円を払うというルールだ。逆に岬くんは 口からUSBケーブルを出せなければ、僕が勝ちということで1000円をもらえるという訳だ。


「さぁ岬くん、このUSBケーブルを使ってくれ。」

僕は岬くんに、ぶっといUSBケーブルを渡した。


「ありがとう大川くん、じゃあUSBケーブルを鼻に入れていくよ!」

岬くんは手に、ぶっといUSBケーブルを持って鼻に入れようとしている。


「うん、岬くん。頑張ってね。」

岬くん、この勝負は僕の勝ちだ…!こんなの絶対に出来っこないさ…!鼻から入れて口から出すなんて痛すぎてやるどころじゃないよ。そんなのやる前から無理って分かることさ。僕は絶対的な勝ちを確信していた。


「痛い!痛いよ大川くん!」

岬くんは鼻に、ぶっといUSBケーブルを突っ込んでいく。かなり痛そうだ。


「み、岬くん。無理なら諦めてもいいんだよ…!?」

このままいけば僕の勝ちだぞ…!むしろ負ける要素があるのか…!?


「うわああああああ!!!!痛いよおおおお!!!!!!!」

岬くんは泣き叫ぶ。この時、岬くんは激痛からなのか、脳裏にある言葉を思い浮かんでいた。

え?ワニが腕に噛みついて離さない?逆に考えるんだ。腕の1本ぐらいあげちゃってもいいさと考えるんだ。


「み、岬くん。もう勝負を降りた方がいいよ。痛すぎて泣いてるじゃないか。」

この勝負はここで決着かな。僕はそう考えていた。


「負けるもんか!例えこの勝負で鼻が無くなったとしても絶対に勝負に勝つんだ!僕はその覚悟をもってこの勝負に臨んでいる!」

岬くんは痛いのにも関わらず鼻の奥におもいっきり、ぶっといUSBケーブルを突っ込んでいた。そして鼻から赤い鮮血が流れる。


「み、岬くん…!?」

僕はここで初めて敗北の2文字が頭によぎった。


「うわああああああ!!!!!!」

岬くんは、鼻から血を吹き出しながらも奥にどんどんと突っ込んでいった。そして口からUSBケーブルの先端が見え始めた。


「なにぃぃぃぃぃぃぃ…!?」

麻酔なしでこんな荒業をやってのけるなんて、岬くんは絶対に人間じゃない!安易に賭け事をするんじゃなかった…

僕は負けを確信した。


「僕の勝ちだあああああああ!!!!!!!」

岬くんは見事に口から、あのぶっといUSBケーブルを出してみせた。


「そ、そんな。」

僕はこうして勝負に負けたのだった。


「はぁ…はぁ…大川くん…僕、勝負に勝ったよ………」

岬くんはそう言って、床にバタンと倒れた。


「岬くん…」

僕は岬くんのあまりのすごさに感動していた。岬くんは本来なら絶対に勝てない勝負に勝ったのだから。僕は倒れてる岬くんのポケットにそっと1000円札を入れてあげた。


このあと岬くんはすぐに病院へ行った。岬くん、僕は君のことを一生忘れないよ。

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