[恋愛小説]雲の上から花火を見た

「今日は待ちに待った彼女と地元の夏祭りで花火を見に行く日だ。やったー!」

僕は前からずっとこの日を楽しみにしていた。


「祐一くん待った?」

彼女が来た。そして祐一とは僕の名前だ。


「多佳子ちゃん!ぜんぜん待ってないよ!今来たところだから。」

僕の彼女の名前が多佳子ちゃんだ。ちなみに僕は楽しみすぎて、集合時間よりも2時間早く来てしまいかなり待った。


「そうだ、花火 まで まだ時間があるから屋台でも見て回ろっか! 」

多佳子ちゃんの笑顔が可愛い。


「そ、そうだね!」

こうして花火の時間まで多佳子ちゃんと見て回ることになった。


「私喉乾いちゃったからラムネでも飲もうかな。」


「僕も! 」

2人でラムネを買ってゴクゴクぷはーした。


「ラムネ美味しかったね、そうだ!私食べたいものがいっぱいあるんだった。焼きそばでしょ!かき氷にたこ焼きも食べたい!チョコバナナも!」


「そ、そんなに食べるんだね…」


「花火を見る時のために元気をつけとかないとね。」


「なるほどね。」

なんてことを話ながら2人で歩いていた。


「それにさしてもほのびらのしうぃられ(花火楽しみだね)」

モグモグ

気が付いたら、多佳子ちゃんは手にたくさんの食べ物を持っていた。


「多佳子ちゃんは良く食べるね…お、美味しい…!?」


「ほいひいよ。」

モグモグ


「喉詰まらせないように注意してね…ってあれ?」

パラパラザァーーーー!

突然に悲劇が訪れた。急に雨が降ってきたのだ。


「多佳子ちゃん!早く雨宿りしなきゃ!」


「ふん!」

モグモグ

雨宿り出来るところを目指して走った。


「はぁ…これは間違いなく花火大会は中止だな。けっこう楽しみにしてたのに。」

今神社で雨宿りをしていた。


「そうだね、このままだと花火大会は中止だね。それに私神社に走ってくるときに足を擦りむいちゃったみたいで、歩くのも大変かも。楽しみにしてたけど、今回はしょうがないよ。諦めて来年また見に来ようよ。はむ。祐一くんもたこ焼き食べる?」

モグモグ

多佳子ちゃんは相変わらず屋台の食べ物を食べていた。


「ありがとう、もらうよ…」

たこ焼き一個もらった。


「美味しいね、祐一くん。」


「………………。」

僕は花火をまだ諦め切れなかった。僕は小銭全部をお賽銭箱に入れた。


「祐一くんどうしたの!?」


「神様お願いだ!この子に花火を見させてあげたい!せめて今だけでも晴れてくれ。」

とにかく晴れることを祈った。


「ゆ、祐一くん!お願いごとの声が聞こえちゃってるよ!」


「さ、さすがに晴れないよな。」

もちろん晴れることは無かった。しかし、その代わりに僕の隣にもくもくと分厚い雲が現れた。


「祐一くん!何か雲が出てきたよ!」

多佳子ちゃんは驚いていた。


「この雲乗れってことか!ありがとう神社の神様!」

雲に乗ってみると無事に乗れた。


「ほ、本当に乗れちゃったんだね…!」


「多佳子ちゃんも乗って!」

僕は手を伸ばした。


「え!?あ、うん!」


「よし、行くよ!」

神様が用意してくれた雲に乗って空の雲を突き抜けた。


「祐一くん!行くってどこに行くの!?」


「雲に乗って、雨の降っていない別の花火会場へ飛んでいくんだよ!今日花火をやっているのは何も地元だけじゃないからね。」

雲で急いで飛んでいった。


「な、なるほど!それにしても速いね!」

あっという間に別の花火大会の会場に着いた。


「カウントダウン!5、4、3、2、1、0!!!!」

ヒューーーーー……バーン!!!!

今ちょうど花火が始まったところだった。


「私、空の上から花火を見るなんて初めて!わぁー花火キレイ…!」

多佳子ちゃんの嬉しそうな顔を見れて良かった。


「多佳子ちゃんの方がキレイだよ!あっ………何言ってるんだ僕は…!」


「もう!祐一くんったら///」

多佳子ちゃんは顔を真っ赤にしていた。


2人で10分程の花火大会を楽しんだ。


「いやー、花火楽しかったね!」

多佳子ちゃんは満足した顔をしていた。


「うん、そうだね。」

僕も満足だ。


「それにしても随分と遠くまで来ちゃったね。」


「大丈夫、雲で家までひとっ飛びだ!ってあれ?」

雲は元気を無くして僕たちを地上に降ろして消えてしまった。


「祐一くん、どうやって帰るの…!?」


「しょ、しょうがないから今日は泊まって行こっか。」

幸か不幸か来たところが田舎ということもあり、今日はもう帰る手段が無さそうだったので泊まることにした。


「そ、そうだね。」

そのあとは、2人一緒に仲良くお泊まりして仲を深めたとか深めてないとか。

あと宿泊代と帰りの交通費は男の子持ちとなりましたとさ。

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