夢日記が消えた
僕の趣味は夢日記を書くことだ。毎日これを楽しみに生きていると言っても過言ではない。
ちなみに夢日記を書く媒体はスマホだ。なぜスマホかと言うと、起きた瞬間にすぐ手に取れるからだ。
ノートだと、視界がぼやけていて目があんまり見えないので書きづらい。
でもスマホのフリック入力なら脳みそで手の動きをインプットしてあるので、だいたい目が見えていなくても文字を書ける。
まあそんなこんなで今日も夢日記を書いていた。
「やっぱり夢日記を書くのは楽しいね! だってこの非現実感が味わえるんからね! まるで遠い世界に旅行に行った気分になれるんだ」
今日もメモアプリに日課の夢日記を書き終えた。
「さてと、今までの夢日記を振り返って見てみるかな」
この時、自分はスマホのメモ帳を見て血の気が引いたのだったり
「え、どうして…?」
なんとそこには夢日記がすっぽりと抜け落ちていてを書かれていなかったのだ。
「ちょっとちょっと、どうなってんのこれ…。何かの悪い冗談だよね…。これって夢だよね!? 夢なら目が覚めてよ!?」
ほっぺをつねってみた。
「痛い!」
どうやら夢じゃないようだ。
「嘘でしょ…」
自分は激しく動揺してめちゃくちゃ冷や汗がダラダラと出ていた。
「そうだ! 多分どっかに間違って保存しちゃったんだな! うん、そうに違いないんだ!」
自分は一生懸命スマホの中に記録してあるデータなどを振り返ってみた。
だがしかし…。
「嘘だ…」
どこにも夢日記が見当たらない。自分は激しい絶望感と脱力感に襲われる。
「ちょっと待って…。本当に嘘でしょ…。 夢日記を何日分書いてきたと思ってんの…。1年以上は書いてるよ…」
自分は今すぐにでも泣き出しそうになっていた。
「ほんと、自分の人生の楽しみなんて夢日記ぐらいしかないんだから…」
不安とショックのあまりに泣き始めてしまった。
自分が今まで積み上げてきたものが、たった一瞬の間に壊れてしまったんだから当然だ。
こんなのは泣きたくもなる。今まで自分がやってきたことが一瞬で全て無駄になったと思うと、もう泣くしかなかった。
「う、うあ…ううっ…」
とにかくもうどうしようもなくて泣いて泣いて後悔の念が押し寄せてくる。
自分は一体どの段階で夢日記を消してしまったんだろうか?
考えられるとしたら間違いなく朝に目を瞑りながら夢日記を書いている時だろう。
自分はほとんど目が開いていないのだ。どうにも朝は弱くてパッチリ目を開けてスマホ見るって言うのが苦手だったのだ。
「もー、こんなことだったら今日の朝に夢日記を書くんじゃなかったよー!!! 自分の馬鹿野郎! クソ…! クソ…!」
自分はとにかく頭を何度も何度も床に叩きつける。
額から血が出てしまうんじゃないかってくらい何度も何度も頭を床に叩きつける。
「もう、自分のバカ! 本当にバカになってしまえ! このクソ野郎が!」
すると、次の瞬間には自分は布団の中で眠っていたのだった。
そして目を覚ました。
「え、どういうこと?」
とにかくスマホの中身を確認しなきゃと思った。
そしてスマホのメモ帳を見てみると、そこには…。
「嘘だ…! 夢日記がちゃんとあるよ…!」
自分はまた泣き出してしまった。どうやらさっきのは悪い夢だったようだ。
でもほっぺたをつねって目が覚めなかったのは何でなんだろう?
頭をゴンゴンと叩きつけたおかげでどうにか目が覚めたらしい。
「こういうの本当に心臓に悪いからやめてくよぉ…」
本当に胸糞悪い夢だった。でも本当に夢でよかったよ。
これが夢じゃなかったら、取り返しのつかないことになっていた。
自分にとって夢日記というのは命と同等の価値だと思っている。
夢日記がなくなるということは自分の命がなくなるに等しいということだ。
「これからはちゃんと気をつけて夢日記を書こうかな。胸糞悪い夢みたいに寝ぼけて夢日記を消したら大変だからな」
夢で学んだことも教訓にして現実で活かすのが夢日記の良いところだ。
夢からは学べることがたくさんあるので、夢はなかなか良いものだ 。
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