[ホラー] 風呂場の青白い顔
これは私が大学生の頃の体験した恐怖の出来事なのだが…。
私は都内の大学に進学することを機に一人暮らしをすることとなった。私は家賃が安いことが決め手となり、とあるアパートの一室に住むことにした。
都内はどこも家賃が高いので苦学生の私にはとってはとても助かる。最初はそう思っていた…。
ある日、私はお風呂場で頭を洗っていた。そんな時にふと子供の頃に流行っていた都市伝説思い出した。
「頭を洗っている時にダルマさんが転んだを思い浮かべると幽霊が出るんだよー」
という子ども騙しのような噂だ。私は風呂場でそのことを思い出してから、その都市伝説が頭から離れなくなってしまった。
頭の中でずっとダルマさんが転んだを何度も唱えてしまう。まあこんなのただの子供だましの都市伝説に決まっている。私はそう思った。そんな時だった。
「ううう…」
という男の人の唸り声がお風呂場に鳴り響いたような気がした。私はとても怖くなって、お風呂からすぐに出ることにした。
確かに低い男の唸り声が聞こえた気がするんだけど…。もしかしたらただの聞き間違いなのかもしれないだったのかもしれないと私はそう思った。
夜も更けてきて寝る前に歯を磨こうと思い、洗面台の前に立って歯を磨いていた。
私の家の洗面所は鏡がお風呂場が映し出されるような位置になっている。私は換気のために風呂場のドアを開けておいた。
すると洗面台の鏡に反射して映る風呂場に白い顔のようなものが見えた気がした。私は目をこすってもう一度見ると何もなかった。
やはり私の気のせいなのかもしれない。引っ越してきたばかりで今日はものすごく疲れているに違いないのだ。なので私はすぐに寝ることにした。
次の日、バイトの面接から帰ってきてものすごく疲れていたので、すくにお風呂場に直行することにした。
私は昨日のことをさっぱりと忘れていたので普通に頭を洗っていた。すると忘れていたあの声が聞こえてくる。
「ううう…」
と言う低いうなり声が聞こえてきた。うなり声が聞こえた途端にお風呂場の電球がチカチカと点いたり消えたりして最後には消えてしまった。そして洗面台の電気だけが点いている状態となった。
風呂場の入り口はすりガラス越しに洗面台の電気に照らされる形となり、風呂場がほんの少しだけ見える感じとなっていた。
「え…? もうなんなのよ…」
私は恐怖でお風呂場から動けなくなってしまった。風呂場の鏡を見て自分の背後を確認した。すると私の背後には何かがいた。
「え…」
私は恐怖で青ざめて声も出なかった…。白い顔が鏡越しに私を睨み付けていた。そして、私の恐怖に歪んだ顔を見るとニターっとした顔で笑っていたのだ。
ここが「事故物件」だからなのか、はたまた「ダルマさんが転んだ」が呼び寄せた原因なのかは分からないが、私は1ヶ月も経たずにこのアパートから、すぐ引っ越すことにした。
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