後悔せずに毎日を生きるために…⑤

 これで一年間に達成すべきことのほとんどを達成できた。残り一つは課題をやらなかったということだけだ。

 これは単純に年を越す前に終わらせないといけない課題をやっていなかったのだ。まあ正確には年を越してからやってもいいのだが、やり残したことがある状態で年を越すのは心にモヤモヤが残ってちょっと気持ちが悪いのだ。


 だがしかし、自分はこの課題がどうしても分からなかった。なぜなら自分はあまり頭の良い方ではないからだ。

でも今は全然違う。自分で出来ないことがあるんだったら誰かに助けを求めればいいじゃないか!

 ということで彼女のアヤカちゃんに頭を下げて助けてもらうことにした。


「ごめんアヤカちゃん! 自分本当にバカで課題の問題をまったく解けない!」

「そんなことないよ! たかし君はとっても頑張ってるよ。数か月間、私が一番近くでたかし君のことを見てきたからよく分かるよ」

「な、なんか照れるね。ハハハ」

「それにたかし君が私を頼ってくれて嬉しいな。たかし君が困ってる時はいつでも私が手助けするからね」

「ありがとう!」

 ああ、なんて最高の彼女なのだろう。本当に仲良くなって良かった。


「それにね、出来ないことっていうのはそんなに恥ずかしいことじゃないよ。だって最初は誰だって何もできないんだから。自転車も最初は誰だって乗れないでしょ。そして何度も乗ることによってペダルを漕げるようになるの」

「ふむふむ」

「勉強も自転車と同じで何度も反復することでいつか出来るようになるの」

「なるほど」

「たかし君、もしも自転車に乗れないのなら私が手取り足取り教えてあげるよ」

「いや、自転車にはさすがにのれるよ!」

 自分はアヤカちゃんに色々と励まされてしまったのだった。アヤカちゃん、本当にありがとう。


「課題、一生懸命頑張るよ!」

「そっか、頑張って!」

 横でアヤカちゃんがニコニコとしながら自分が課題をやっているところをじっと見られていたのだった。


「あ、そこ間違ってる!」

「本当だ! 気をつけなくちゃ」

 そしてアヤカちゃんに手伝ってもらいながら、なんとか冬休みの課題も年を明ける前に終わらせることが出来たのだった。


「もう今年はやり残したことないよな!? 今度こそ本当に頼むぞ! 新しい一年よ、来い!」

 そしていよいよ年を越す時が来た。テレビもカウントダウンを始める。


「それではカウントダウンです! 10! 9!」

「本当に頼む…!」

 自分はひたすら年が明けることを願うのだった。


「8! 7! 6! 5!」

「もうこれ以上はやり残したことはないぞ! 本当に年が明けてくれ!」

 なんて言うか、まだやり残したことがあるんじゃないかと不安になる。そしてカウントダウンは残りわずかだ。


「4! 3! 2! 1!」

「本当にどうなるんだ?」

 心臓バックバクだった。


「0!」

「あー!」

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