後悔せずに毎日を生きるために…④
あとは課題をやらなかったということとおじいちゃんが残っている。そうなのだ、実はおじいちゃんは今年で死んでしまうのだ。
自分はおじいちゃんのためにもっとやれることがあったんじゃないかと何度も後悔していたのだ。
どうすれば後悔せずに見送ることが出来るだろうか? そればかりを考えていた。
「クソ! とにかく今はたくさん会うしかねぇだろ!」
とにかくおじいちゃんに何度も会ってたくさん思い出を作ろうと思った。
「おじいちゃん会いに来たよ!」
「たかし最近はよく会いに来てくれるなぁ…」
「何かしてほしいこととかあったら何でも言ってよ!」
「ホホホ…」
おじいちゃんも喜んでいた。おじいちゃんのために何かできないかと自分は必死に考えるが何も思いつかない。
そんなことを考えているとおじいちゃんはこう言ってきた。
「おじいちゃんはね、たかしに会えるだけで十分に嬉しいよ」
「そ、そっか」
とりあえず会うことが大事なんだな、そう思った矢先だった。
「でもなたかし、おじいちゃんに無理してたくさん会いに来ることはないんだぞ」
「そ、そんなことないって! 無理してなんてないよ!」
「そうか? おじいちゃんから見たらたかしはとても無理して会いに来ている気がするぞ。もしかして、たかしはあの事に気付いているのか?」
「な、何のことかサッパリ分からないよ!」
おじいちゃんの勘は鋭かった。そうなのだ、おじいちゃんの死期はかなり近いのである。
「この際たかしが気付いてようが気付いていまいがどうでもいい。ただな、これだけは言っておく。たかしよ、よく聞け」
「え…?」
「おじいちゃんにとって一番幸せなことはな、たかしが元気で幸せに生きていることなんだよ。だからどんどん楽しいことをやって、たかしが幸せになってくれればそれでいいんだよ」
「おじいちゃん…」
「おじいちゃんはたかしの悲しそうな姿じゃなくて嬉しそうな姿が見たいんだ」
そうか、自分は間違っていた。自分がおじいちゃんを心配しすぎたあまりに、自分自身のことで変におじいちゃんを心配させていたのか。
そしておじいちゃんを心配しすぎるあまりに自分が不幸になっていたのかもしれない。
だったらもっと自分は幸せになってやろうと思った。
それからというもの、色んなことに挑戦してみることにした。とりあえずやりたいことは全てやってみた。
新しいことに挑戦すると今まで気づけなかったことにも気付けて楽しいなと思った。
やっぱり人生でチャレンジすることは良いことだと思った。
そして、しばらくしてからおじいちゃんは死んでしまった。でも自分はおじいちゃんに言われた言葉でこれからはあまり後悔せずに幸せに生きていこうと思った。
それにおじいちゃんが一番幸せなことがたかしの幸せだと言っていたので、自分はおじいちゃんの分まで幸せに生きていくぞ!という決意に変わったのだった。
おじいちゃん、天国から見ててくれよ。絶対に幸せになってみせるから! もう二度と心配させないぞ!
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