風呂に飛び込んだら異世界に繋がってた

 これはひと夏の冒険だった。


「ヤッホー!」


 自分は家の風呂場に飛び込んだ。


「う、うわー!」


 その瞬間に別の世界へと繋がってしまったようだ。そしてどこかに落っこちた。


「いてて…、ここはどこだ?」


 どうやら別世界に来てしまったようだ。空にはドラゴンが飛んでいた。


「わーすげー!」


 すると遠くから何かが迫ってくる。


「キエエエエエ!」

「うわー!」


 モン◯ター◯ンターのラン◯スみたいたやつが大群でこちらに向かって走ってくる。


「やばい…」


 このままだと間違いなく食べられてしまう。奴らは群れを形成して確実に自分を仕留めようと向かってくる。


「どうしようどうしようどうしようどうしよう…」


 自分はとりあえず元の世界に戻ろうとした。でも戻ることはできなかった。自分が来たお風呂の入り口はそこそこ高い空中にあったのだ。

 この高さだとジャンプをしたって届かないのだ。


「このままだと自分の住んでいる世界に帰れないじゃないか…」


 こうしてる間にも恐竜みたいな大群はやってくる。


「うわー! もうだめだー!」


 すると、どこかからやりが飛んでくる。やりが地面に突き刺さる。すると、自分めがけてやってきた恐竜みたいなやつらが引き返していった。


「た、助かったー」

「君、大丈夫か?」

「え?」


 そこには騎士のような男が立っていた。


「本当に助かりましたよ。危うく死んでいましたよ」

「本当にそうだよ。君はバカなのか! 普通そんな無防備な装備でこんなところに来る奴なんて誰もいないよ!」

「ごめんなさい」


 騎士らしき男に怒られてしまった。


「とにかく早く家に帰りなさい」

「それが帰れないんですよ」

「どうして?」

「僕は家の風呂に飛び込んだら、この世界にやってきたんですよ」

「え?」

「そうなんです」

「プハハ! 君なかなか面白いこと言うね ! まあこんなところにそんな格好で遊びで来る人間はいないんだから、どうやら君を信じるしかなさそうだね」

「そ、そうですか」

「まずここの地帯を知ってるやつはこんなところに装備なしでやってくることはないからね」


 どうやら自分はとんでもないところに来てしまったようだ。


「ところで君はこれからどうするつもりなんだ?」

「そ、そうですね。出来れば1回家に帰りたいです」

「そうか、君はどっから来たんだ?」

「だからその空中のお風呂場からですよ」

「わ、本当だ! 普通になんか水のようなものが浮いているね! 君はここから来たのか!?」

「そ、そうなんです」

「でもさすがに自分の世界にすぐ帰るのはもったいなくないか?」

「え?」

「どうせ俺の力があれば君を世界に帰すことなんて簡単だよ」

「でもぉ…」

「君が他の国から来たって言うんだったら、こんな経験をなかなかできないだろう? だったらもうちょっと残ってこの世界のことを見て回ってもいいんじゃないかなって」

「そうですね。自分も興味あります。こんなゲームみたいな世界を見て回りたいです」

「そのゲームっていうのがよくわからないけどらとりあえずこの世界を体験してってくれよ。ボディーガードの俺が付いていれば安心だからさ」

「はい!」


 そしてその騎士の男にいろんなところに連れて行ってもらえた。ドラゴンの巣穴にも入ったし、宝石だらけの洞窟にも入った。

 そして首長竜の湖にも行った。とにかく数え切れないほどの色んな経験をした。本当に楽しかった。


「じゃあそろそろお家に帰ろうか?」

「そ、そうですね」


 何か名残惜しい感じがした。


「もしかして、まだ帰りたくないのかい?」

「えへへ、実はそうです」

「でもお家に帰りなよ。君のお父さんとお母さんはきっと心配してるよ」

「それもそうですね」

「それに、来たかったらいつでも来てよ。俺達はもう友達だろ」

「友達!?」

「えっ違うの? 俺は友達だと思ってたのに」

「いや、嬉しくてつい。僕は弱いのに友達なんかで良いのかなって」

「友達に弱いも強いもあるもんか! 一緒に楽しい時間を共有したんだからもう友達さ!」

「そうだよね!」

「よし、これで俺達は真の友達だ! それじゃそろそろ帰ろう!」

「うん」

「じゃあ俺が投げ飛ばすよ、行くよ!」

「うわー!」


 自分は空中に浮いている水面めがけて投げ飛ばされたのだった。そして自分は無事に元の世界に帰ることができた。

 ちなみに元の世界に戻って驚いたのは時間が1分も経っていなかったってことだ。どうやらここの世界と向こうの世界では時間の流れが違うらしい。


「あーあ、本当に大変な目にあったよ。………。でも楽しかった! よーし、友達に自慢してやるぞー!」


 あの世界にまた行きたいなと思った。

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