山火事を小便で消火する男

 今日も山で火事が起こったという情報が入ってきた。山火事を放置するのは非常に危険なので消防隊が山火事を消火しに向かうのであった。


「ほら急げ!」

「うっす!」

「着替えてすぐに現場に向かうぞ!」


 消防車をかっ飛ばして山火事が起こっている場所へと向かったのだった。そしてすぐに目的地に着く。


「今回もひどい山火事だな」

「そうですね」

「でも俺達が何とかするしかねぇだろ!」


 ものすごい大きな炎が猛々しく燃え盛っていた。燃えた木がパリパリと音を立てて崩れ去っていく。


「これ以上火を広げるなよ! 市民の皆の命は俺たちにかかっているからな!」

「えいっす!」


 そしてみんなで一斉に水を放水し出した。しかし火の勢いは弱まらない。


「なんでだクソ! なかなか火が消えねぇぞ!」

「こっちもいくら放水しても駄目です!」

「クソ! どうすればいいんだ!」

「もっと放水のパワーを上げるんだ!」

「了解です!」


 だがしかし炎の勢いは全く衰える様子がなかった。


「頼むから早く消えてくれ!」

「こっちも全然だめです! むしろ火に油を注いでいるみたいな感じでどんどん火の強さが強くなっています!」

「やはり今回も俺たちじゃダメなのか…。もうあの人を呼ぶしかないのかもしれない…。山火事消化のスペシャリストだ…」

「本当にあの人を呼ぶんですか…?」

「仕方ないだろう。もうこの火事はあの人以外にはどうすることも出来ないんだよ…」

「分かりました。ではすぐに応援の要請をします!」


 そして隊員の一人が山火事消化のスペシャリスト携帯電話で呼ぶことにした。


「お願いです! 出来るだけ早く来て下さい! 頼みます」

「あー、わーったわーったってば。そう焦んなって、今準備してっから」

「その、水の方の準備は出来ていますか…?」

「ああ、もちろん準備万端さ。俺はいつでも消火に行けるように準備万端さ。とりあえずすぐ向かうから待ってろ」

「よろしくお願いします!」


 通話がここで終わった。


「どうだった?」

「すぐに来てくれるみたいです!」

「よし、俺たちはこれ以上火事が広がらないように放水を続けるぞ!」

「分かりました!」

「うおおおおお!」


 そうして放水を続けること5分が経過した。上空からヘリコプターの音がする。

上を向くとヘリコプターには山火事消火のスペシャリストが乗っていた。


「やったぞ」

「これでまた山が1つ救われるのですね」

「お前ら! 俺が来たからにはもう大丈夫だぞ!」


 そこには下半身を丸出しにした男がヘリコプターの中で立っていたのであった。


「お前らどいてろ! 俺の放水を浴びたくなかったらなぁ!」

「みんな! 今すぐこの場から離れろ!」


 そう言うと男はヘリコプターから放尿を開始した。山火事目掛けて尿をかけていく。


「めちゃくちゃ水を飲んできたからなぁ。今日もすげぇ出るぜ。ふー気持ち良い! 大自然に放尿するっていうのは爽快感があっていいよなぁ!」

「おおすごい!本当に山火事がみるみる消えていきますよ!」

「だろう。確かに見た目はすげー汚いけど、あの人の実力は確かだからなー。だから頼らざるを得ないんだ」


 そして山火事はたちまち消えていったのだった。


「お前ら、また俺の力が必要になったら呼べよな」


 山火事消火のスペシャリストは、そう言い残すと下半身丸出しのまま去っていった。


「あの人、去り際もかっこいいんですね」

「そうだな、俺達もあんな立派な消防隊になりたいぜ…」


 こうしてまた市民の平和な生活が守られたのであった。

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