大学の教授を殴って落単の確定演出

 これは自分が大学の教授とパチンコ屋に行った時の話だ。


「まさか太郎教授がパチンコ好きだったなんて知りませんでしたよ」

「僕ね、よくストレス発散のためにパチンコを打ちに行くんだよね」

「実はですね、僕も結構パチンコを打ちに行くんですよね」

 という感じで大学の教授とパチンコの話で花を咲かせた。


「君、本当に面白いね! 良かったらこれから一緒にパチンコに行かないか?」

「ぜひ!」

 こうして大学教授と一緒にパチンコ屋に行くこととなったのだった。


「よし大当たり!」

「ぐぬぬ!」

 ところがパチンコ屋でパチスロをやっていると自分ばかりが大当たりしてしまった。

 それを見ていた教授がブチギレた。


「お前マジでふざけんなよ! なんでお前ばっかりが大当たりしているんだよ!」

「ええ…」

 大学の教授は今にも殴りかかってきそうな勢いだった。ここで自分は大学教授と喧嘩の演出に発展してしていくのだった。


「何でお前だけが当たって、私は当たらねえんだよ!」

「自分が当てられないのを他人のせいにしてんじゃねーよこのハゲ野郎!」

「ハゲとは何だ! お前ふざけんじゃねーぞ!」

 そこから単位落単の確定演出が起こってしまうのだった。自分は大学教授に殴られそうになってとっさに殴り返してしまったのだった。


「死ねぇ!」

「ふん!」

「ぐぬぁ!」

 殴られた大学教授はぴえんぴえんと泣き始めた。


「お前! 大学教授を殴るやつがあるかぁ! お前はもう落単確定だからな! この大馬鹿野郎!」

 こうして自分は無事に落単が確定してしまったのだった。ちなみに自分と教授が打っていた台は演出もそんなにないパチスロのジャグラーだった。


 まあとりあえずこの問題は教授の方もあんまり良くなかったということで自分は特にお咎めなしとなった。

 だが、その教授の授業にはもう二度と受けることはなかった。それ以来、その教授とはもう会うことすらなかったのだった。

 そしていつしか自分は大学を卒業していった。




 大学を卒業した今でも自分はたまにパチンコ屋に行くのだが、そのパチンコ屋で打っていたら大学教授と再会してしまうのだった。


「よ、よう。元気だったか…?」

 大学教授の方から話しかけてきた。


「まあそうですね。ボチボチです」

 心臓がめっちゃバクバクしていた。どんな顔をして話したら良いのか分からなかった。

 気が付いたら隣同士でパチンコを打っていたのだった。とくに会話も長続きすることがなく、そのまま打ち続けていた。


「うーむ…」

 自分はなかなか当たらなくて、もう帰ろうとしていた時だった。


「ちょっとタバコに付き合ってくれないか?」

 大学教授が話しかけてきた。ということで一緒にタバコを吸っていた。教授は急に語り始めた。


「なんだ、そのな。当時は色々とすまなかった…」

 大学の教授から思いがけない言葉が出てきたのだった。


「いや、そんな事もういいですよ。昔の話ですからね」

「そうか、じゃあもう1回スロットでも打ちにいくか」

「そうですね」

そんな感じで流れにつられてわざわざスロットを打つことになった。あの時、ケンカ別れしたジャグラーを一緒に打った。

 肝心な結果なのだが、2人してすぐに大当たりをした。2人とも無事に勝って終わることが出来た。


「なぁ、これから一緒に焼き肉でも食いに行かないか?」

 自分は一旦会話に間を空けて答えた。


「行きましょうか!」

 その後は大学教授と昔話に花を咲かせた。その後、二人とも気分も晴れて帰路に着くのだった。

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