無職狩り
無職同士で公園で集まっていた。みんなで廃棄食品を貪りながら、ワイワイと楽しく無職パーティーをやっていた。
すると、それを見た歩行者がひそひそと話し始める。
「あいつらニートじゃん」
「全く死ねばいいのにね」
「あんなゴミ達が昼間の公園からいるとか最悪」
「もう子どもにはこの公園で遊ばせられないわ」
社会は無職に対して風当たりが強かった。 最近薄々そう感じ始めている。 最近は景気も悪いせいかニートへの反発心はどんどん高まっていくばかりだ。
「一度きりの人生なんだから自由に生きたっていいじゃないか!」
と自分はそう思う訳だ。そんな時だった。
「お前らは社会の敵でクズだ!うんこを製造するだけのクズ人間め!この非国民が! 」
白昼の真っ只中でスーツを着た男に堂々と罵られた。こんな酷い言葉を浴びせられたさすがに自分も黙っちゃいられなかった。
俺は心に思ったものを罵ってきたやつに全てぶつけてやることにした。
「ふざけんな、俺らだって必死に生きてんんだよ!俺達同じ人間だろ!それにニートの何が悪い!俺は労働者のお前らの自由と余裕が無いのが可哀想で仕方がないね!俺達はお前らよりも自由なんだよ!金に縛られた資本主義の犬どもが、せいぜいお前らはこれからも頑張って働きやがれこのクソが!」
言いたいことを言えたので自分はすっきりした。
「ぐぬぬ…」
スーツを着た男はコンビニ弁当をそそくさと食べて仕事へと戻っていた。自分は勝ったような気がした。
だかしかし、これをきっかけに無職への風当たりはさらに悪化する一方だった。
自分達の集会場である無職ハウスへ戻ると…
「なんだよ、これ…」
自分達の住処が完膚なきまでに破壊されていた。もう雨風は凌げない。
「おい!まずいぞ!財布もなくなってるぞ!それに、平蔵のおっちゃんが無職ハウスの下敷きになって意識不明の重体だ!」
そしてみんなの財布も盗まれた。そして平蔵のおっちゃんも襲撃で重体となった。
「こんなこと、人間がしていいことなのかよ!」
俺は泣いた。だが不幸はまだまだ続く。無職の仲間の1人が路上を歩いていたところ大人数に囲まれて殺された。
無職狩りなるものが流行るようになったのだ。 どうやら我々は公園であまりにも社会のの反発 を買いすぎて狩られる対象となったようだ。
どうやら自分がスーツの男に言いたいことをぶちまけた時に、誰かが動画を撮っていたらしくそれがネットにあげたらものすごくバズってしまったらしい。
その動画が全国で反響を呼んでいるというのだ。俺達無職は本当の自由を手にいれるために戦うことを決意した。
だがあまりにも労働者との力の差が違いすぎた。俺たちは時間があるが何よりも金がない。それに対して彼らは我々ニートと 比べて金がたんまりとある。
金があるということは簡単に早く武器を手に入れることができる。 たくさんの仲間ニート、無職が犠牲になった。
「うわぁーーー!」
そして最後は自分も狩られてしまう。
「お前ら底辺の最後にはこれがお似合いだな!忙しいこの俺に殺されたことを感謝しやがれ!ぺっ!」
死体に唾を吐き捨てられた。
俺たちの自由は働いている人がいるから出来たことだった。結局は散々嫌いだった社会に生かされていただけだったのもかしれない。
そして調子に乗って社会の逆鱗に触れて殺された。俺たちは結局安全な鳥籠の中で自由ごっこ遊びをしていたに過ぎないのかもしれない。
本当の自由ってなんなんだろう? この世に本当の自由ってあるのだろうか?
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