　世の中には人々を恐怖に陥れる乗り物があるのだ。皆様はその乗り物をご存知だろうか？そう、電車だ。そして今まさに私はその電車に乗っているのだ。とてもとても怖い。

　え、なになに？　「ただの電車に何を怖がっているんだ」だって？　電車を悪魔の乗り物と言わずに何と呼ぶのだろうか？

　あれは人を不幸にする乗り物なのだ。大人の人ならみんな分かるはずだ。もちろんただ電車が人を不幸にするはずがない。

　じゃあどうなると電車は人を不幸にするのか。電車はとある状態になるとみんなをニコニコする便利な乗り物から顔面蒼白レベルになるぐらいに魂を吸い取る乗り物に変貌するのだ。

　そう、それは満員電車の状態だ。電車は電車内に人がいっぱいになると悪魔の乗り物に変貌するのだ。

「人間の魂美味しい」

「ぎょええええ！！！」

　実際に魂を吸われているシーン。

　満員電車に乗っている人は魂が吸い取られるが如く疲れ果ててしまう。まさに今、私は魂を吸い取られている。

　満員電車の中でぎゅうぎゅう詰めで周りの人達と押しつ押されつの状態でもう疲れて疲れてしょうがない…

　ちょっとずつ魂が吸い取られているように感じる。満員電車の上体がたった１日だけならいいが、私は毎日学校に通学する度にこの満員電車の状態で学校まで行かなくてはいけないのだ

　ということは満員電車から絶対に逃れられない運命なのだ。毎日スポーツをすることでちょっとずつ疲労が溜まっていくように満員電車を毎日乗ることでちょっとずつ疲労が溜まっていくのだ。

　私は本当に電車に乗ると考えただけで吐き気がするぐらいに拒絶反応が出てしまっている。これが満員電車の恐ろしいところだ。

　スポーツの疲労は良い疲労なのだが、満員電車の疲労は悪い疲労なのだ。この疲労の違いはストレスがあるかどうかの違いだ。

　適度なスポーツはストレスの解消になるが、満員電車は本当にストレスでしかない。満員電車のストレスは私はハゲそうだ。

　私は満員電車の疲労のせいで休日も思うように楽しめない。満員電車で魂を吸われきった状態で迎えた土日では私はもぬけの殻となり何も行動する気が起きないのだ。

　逆に満員電車を毎日乗ってて土日も普通に楽しめる人って一体何者なのだろうか？　きっと人間じゃないんだ！

　満員電車は本当に恐ろしい。満員電車が原因で仕事を辞める人が世の中にいるぐらいなのだからどれだけ恐ろしいかが分かる。

　正直、私は満員電車のせいで楽しいはずの学校に行くのがつらい。こんなのに毎日乗っていたら本当に気が狂ってしまう。

学校に行くことなく途中の駅で降りて私は電車のホームにあるベンチに腰かけた。

　そもそもなぜ毎日満員電車が起きる！？　満員電車が毎回起きているのはきっと陰謀に違いない！　どこかの悪い組織が意図的に電車を満員電車にしているに違いない。

　そうすることによって人々の魂を削っているに違いないのだ。ずっと満員電車が解消されないのがその証拠だ！

　私は確信したぞ。満員電車に乗った人の魂を削ることによって誰かが喜んでいるに違いないんだ。

　一体誰が喜んでいるのだろうか？　私はそいつら決して許さないぞ。私は決して悪にはくじけない。

　この陰謀を打ち砕いてみせる。もうこれ以上満員電車で魂を奪わせやしない。待ってろ悪党ども！

　こうして私は引きこもることを決意した。私は学校を半年で中退してしまった。そしてそれ以来電車に乗ることはなかった…

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