ドッペルゲンガー!?
今日は友達のイチローくんと一緒に帰っていた。
「この後一緒に遊ぼうぜ!」
「いいよ!」
そんな時だった。ある異変を感じたのだ。前方にとっても一郎くんに似た顔の人がこっちへ向かっていた。
ちなみに僕の視力は6.0ぐらいあるから遠くの人間の顔まではっきり見える。ここから少し離れたところの先に一郎くんに瓜二つの人間がこちらへ歩いて向かってきた。
もしかしてこれはドッペルゲンガーというやつではなかろうか!? 本人がドッペルゲンガーにあったら死んでしまうかもしれないと思った。
「一郎くん、もしかして兄弟とかいたりするの…?」
「俺は兄弟なんていないけど、ずっと一人っ子だけど」
絶対これドッペルゲンガーだわ。もう決まりだわ。このままだと一郎くんが死んでしまう…!
いや、ちょっと待てよ。果たして僕の隣で歩いている一郎くんは本当に一郎くんなのだろうか?
本当は向こうに歩いている人間が一郎くんではなかろうか? いやそれも違うかもしれない。
もしかして僕が本物の一郎くんなのではなかろうか…!?
「ねぇ、一郎くん」
「なんだよ」
「僕が本当の一郎くんだよ」
「お前何言ってんの? お前の名前はたかしだろ。バカか、頭でも打ったか? 病院行った方がいいぜ」
このままではまずい…! 3人の一郎くんが出会ってしまう…! 一体どうすりゃいいんだ…!
向こうからどんどん一郎くんに瓜二つな人間がこちらに向かってくる。
「一郎くん、とにかく今日は別の道から帰ろうよ」
「いやいや、このままこの道を歩いて帰ろうぜ。この道の方が早く家に着くっつーの」
うわーもうだめだ。これ絶対終わったわ。一郎くん、今までありがとう。これで君とは今生の別れだよ。
そう思いながらアワアワしてたら、とうとう一郎くんとドッペルゲンガーは出会ってしまった。
「嘘、ちょっと待て。俺、ドッペルゲンガーに会っちゃったよ。何俺今日で死んじゃうの!?」
「だから僕はこの道をやめようと言ったんだよ!」
一郎くんはまさに鳩が豆鉄砲を食ったような感じでビックリしていた。
「お前が一郎か」
一郎くんに瓜二つの人間はそう言った。
「なぜ俺の名前を知っている!?」
「なぜかって? それは兄弟だからさ」
「俺に兄弟なんていないぞ!」
「そうだ!そうだ!」
「お前は何も聞かされてないんだな。俺とお前は生き別れた兄弟だ…! 一郎、俺はお前の兄貴だ。兄貴の二郎だ」
衝撃の事実が次々に発覚して頭が追いつかなかった。
「おい、ちょっと待てよ。おかしくないか? お前が兄貴ならなんで二郎なんだよ」
「そうだ!そうだ!」
「それは親が兄と弟を戦わせるために付けたからさ。今から戦って勝った方が真の一郎だ。つまり俺がお前を倒せば俺が一郎になれるという訳さ!」
「やっぱり一郎くんのドッペルゲンガーみたいなものじゃないか!? 一郎くん、ここは戦って勝たないと!」
「そ、そうだな。この勝負に生き残って俺は仮の一郎から本当の一郎になるんだ!」
「さぁ、始めようぜ! 一郎!」
「二郎、望むところだ!」
2人は戦った。そして相打ちに終わった。そして、2人が倒れている傍らに1人ほくそ笑む人間がいた。
「くっくっくっくっく! 僕が本物一郎だ! 一郎はこの世に3人もいらねえんだよ!これがまさに漁夫の利というやつなのかもしれないな。くっくっくっくっく! はっはっはっはっは!」
かつて、たかしという名前だった男は笑った。すると倒れていた2人が急に起き上がった。
「うるせえ! お前は黙ってろ!お前が出てくると話がややこしくなんだよ!」
「そうだぞ! ふざけんな!」
バカバカバカバカバカと一郎二郎兄弟に僕はボコボコにされた。なんでこんなひどいことをするんだ。まったく人間じゃないぜ。やっぱりドッペルゲンガーじゃないか。
こんなひどいことをするのはドッペルゲンガーに違いない。そしてその場で倒れた。
「はぁ、疲れたぜ」
「どうする?」
「そもそも一郎とか二郎とかどうでもいいよな」
「それな」
一郎と二郎は和解した。そして、たかしはそのまま道の上に置いて行かれた。
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