あなたの小説を読めないなら、わたしは生きてることに未練なんかない
恋と創作が交差するラブコメ。
「――わたしとお付き合いしませんか?」
二人きりの静かな文芸部。
隠坂春(かくれざかはる)が後輩の桜川桜花(さくらがわおうか)から告げられたのは、思いもかけない交際の申し出だった。
それまでは適度な先輩後輩関係でいたはずだった彼女の唐突な告白。
陰キャを拗らせた春は戸惑いながらも押し切られ、交際をスタートさせてしまう。
同じ時間を過ごしていくうちに、評判通りの人懐っこくて優しい一面だけではなく、少し強引だったりいたずら好きだったりする所も知っていき――だんだんと、春は彼女と一緒にいるのが楽しくなっていった。
けれど、だからこそ思うのだった。
君は、どうして僕なんかに告白したの? と。
彼女が胸のうちに秘めた願いと真意を知るとき、止まっていた春の時間が再び動き出す。
これは、互いの欠落を互いでしか埋められない二人が紡ぐ、運命の出会いの物語。