決戦! 〜自爆! 自爆! 自爆!〜

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 スキル【即死回避】が発動しました!


 スキル【究極背水】が発動しました!


 スキル【被虐体質】が発動しました!


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「くたばれトカゲやろぉぉぉぉぉぉぉっ!!」



 ――ドガガガガガガガッ!!



 すっぽんぽんの私の身体から溢れ出したおびただしい黒い光が周囲の敵を飲み込む。――と同時に身体を駆け巡る痛みは、いつもよりも半減していた。でも気持ちいいには気持ちいいわけで……うぅ、これあと何発撃てるかな?


「はぁ……はぁ……」



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 スキル【殺戮者】が発動しました! HPが回復しました!


 スキル【魔力精製】が発動しました! MPが回復しました! 次回唱える魔法の詠唱時間が69秒短縮されました!


『ダーク・リザード』を46体撃破しました!


 ココアはレベル72になりました!


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 うぅ……世界が回る……。

 ジャイアントスイングをかけられた時の目眩はまだ完全には治っていないらしい。

 とはいえこのままぼーっとしていると、トカゲの生き残りにやられてしまうので、無理をしながら周りを見渡すと、私の周囲50メートルくらいの敵が全て消し飛んでおり、生き残ったトカゲたちが私を遠巻きにしながら固まっていた。


 どうやら私が自爆で倒したトカゲたちはかなりの高レベルモンスターだったらしく、私のレベル上昇がえげつないことになっている!? 慌ててステータスを確認してみると……。


 やっぱり! HPとMPは【殺戮者】と【魔力精製】のおかげで全快している! そして詠唱時間が短縮された【ディストラクション+】はすぐにでも発動可能!


 見ると、私が消し飛ばした範囲のすぐ外で、アンラマンユが腰を抜かしている。多分自爆から必死に逃げたのだろう。が、さすがは魔王の部下。アンラマンユはすぐに立ち上がるとこちらに歩み寄ってくる。


「ふぅ……危ねぇ危ねぇ。自爆魔法とは肝が冷えたが、流石に連射はできないだろ? 我が眷属の9割以上は未だに無傷。貴様に引導を渡してやろう!」



「やれるもんならやってみ――ちょっと待ってそれ以上近づかないで!」


 だって……だって私、すっぽんぽんなんですよ!? 大事なところは謎の光で隠されているとはいえ! あと相手はモンスターとはいえ! 恥ずかしいには恥ずかしい!

 あと、まだふらつくので立ち上がれない。地面にペタンと座り込んだまま動けない。――でも魔法は唱えられる!


「え、まあいい。やれ、我が眷属よ!」


 またしてもアンラマンユの合図でトカゲどもが私に向かって殺到してくる。

 私は敵を十分に引き付けてから詠唱時間が0秒になっている【ディストラクション+】を発動してやった。



「――【ディストラクション】ッ!!」



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 スキル【即死回避】が発動しました!


 スキル【究極背水】が発動しました!


 スキル【被虐体質】が発動しました!


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 ――ドガガガガガガガッ!!!!



 例によって例のごとく。私の身体から放たれた黒い光が辺りを包み込む。



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 スキル【殺戮者】が発動しました! HPが回復しました!


 スキル【魔力精製】が発動しました! MPが回復しました! 次回唱える魔法の詠唱時間が67秒短縮されました!


『ダーク・リザード』を44体撃破しました!


 ココアはレベル91になりました!


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「はぁ……はぁ……まだやる? トカゲさんたち!」


「なん……だと……なぜ自爆魔法がクールタイムなしで連射できる!? ――ええい、だが無限に撃てるわけではあるまい! 押し潰せ! 我が眷属よ!」


 またしても命からがら爆発範囲から逃れたアンラマンユは完全に余裕をなくして冷静さを失っている。それでいい。



 ――全部飲み込んでやる!!


 ――身体のもつかぎりは!!



「【ディストラクション】!!」



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 スキル【即死回避】が発動しました!


 スキル【究極背水】が発動しました!


 スキル【被虐体質】が発動しました!


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 ――ドガガガガガガガッ!!!!



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 スキル【殺戮者】が発動しました! HPが回復しました!


 スキル【魔力精製】が発動しました! MPが回復しました! 次回唱える魔法の詠唱時間が75秒短縮されました!


『ダーク・リザード』を50体撃破しました!


 ココアはレベル103になりました!


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「ふぅ……ふぅ……」


「くそっ! ホムンクルス風情が生意気な! ――やれっ!」



「――【ディストラクション】!」




 ――ドガガガガガガガッ!!!!




「まだだっ! やれ!」




「で、【ディストラクション】」




 ――ドガガガガガガガッ!!





「やれ!」





「……っ、【ディストラクション】」



 ――私は



「【ディストラクション】っ!」



 ――私は


 ――



「【ディストラクション】!」



 魔法を唱える度に身体を駆け巡る痛みが徐々に意識を奪っていく。もう気持ちいいというかそれ以前に辛い。――苦しい。



「はぁ……はぁ……【ディストラクション】!!」



 ――たすけて


 ――お兄ちゃん



「【ディストラクション】……」



 何度目だろうか。私は【ディストラクション+】を唱えた途端に地面に突っ伏してしまった。身体中が痛い。内部から引き裂かれたような感覚だ。本来連射することは想定されていない【ディストラクション+】は、【ペインリデュース】によって苦痛を軽減しているとはいってもかなり身体に負荷を与えていたようだ。これはちょっと……というかだいぶ辛い。敵があとどれくらい残っているのかも……わからない。



「――あはははっ! やはり無限に撃てるわけではなかったようだな! もう弾切れか! 眷属たちは失ってしまったが、城に戻れば召喚できるしまあいいだろう。このアンラマンユ様を手こずらせたこと、誇りに思うがいい!」


 頭の上で誰かの話し声が聞こえる。けど、私の身体はもう少しも動かすことができなかった。HPは少しも減っていないのに! どうして! 私はまだ戦わないといけないのに!


 思いとは裏腹に、私の視界は戻ってこなかった。私、これで死んじゃうのかな?


「せいぜい安らかに眠れよ。ホムンクルスの娘――」


「おらぁぁぁぁぁしねぇぇぇぇっ!」



 ――この声は



 ホムラちゃん?



 ――ガァァンッ!



 金属と金属が激しくぶつかり合う音がした。



「こいつには指一本触れさせねぇよド変態トカゲが!」


「――ほう、そういえば貴様がいたか。魔導族とはいえマイハニーに比べればいささか――」



「うるせぇぇぇぇぇぇっっっ!!!!」


 怒号と共に私の近くで炎が爆ぜた――。

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