♡方言女子と過ごす第3夜♡

修正されました! 〜ロリ巨乳だってメイドさんは好きです!〜

 ◇ ◆ ◇



 その夜、時刻はいつも通り午後9時。



 ――『トロイメア・オンライン』



「シッシーッ!」


 いつものようにロゴを追い払う私。そしてその後真っ白になった空間にお馴染みの黒猫の姿を見つけると――


「もふもふーっ!」


 遠慮なくモフりにいった。


「うにゃぁぁぁぁぁっっっ!!」


「いった!」


 手を引っ掻かれた私が仕方なくレーヴくんを解放すると、レーヴくんはすかさず人間の姿に変身する。


「出たな! お姉ちゃん!」


「レーヴくーん? 人をモンスターみたいに言わないの! しかも私ド変態じゃないし!」


 気分を害した私は、お返しにレーヴくんの髪の毛をわしゃわしゃとモフってやった。彼はくすぐったそうに、気持ちよさそうにしていた。可愛いやつめ!


「あ、そうだお姉ちゃん。そんなお姉ちゃんにお知らせがあります」


「えっ、なあに? いいお知らせ?」


「どちらかというと悪いお知らせかな?」


 えっ、なにそれ、なんか怖い。



「えっと……聞かせて?」


 レーヴくんは、コクリと頷いて人差し指を立てる。


「一部のスキルが強すぎるっていう苦情がかなり来ていて……修正する事になりました。自爆魔法関係とか」



 ――そ



「そんなぁぁぁぁぁぁっ!!!!」


 私の……私の唯一のアイデンティティの自爆魔法が? 修正?


「大丈夫、自爆魔法そのものには修正が入らないから」


「――というと?」


「スキル【自爆強化】の削除、それからスキル【赤い糸】の削除。これがお姉ちゃんに関係のある修正だよ」


「うぇぇ……」


 ってことは、【ディストラクション】の威力は半分になっちゃったってこと? フレンドの場所も分からなくなっちゃうし……。


「【究極背水】については、他のジョブでも使えるスキルだからそのまま使えるけど……ごめんね。ベータテストでスキルのバランスが上手くできてなくて。なにせジョブの偏りが激しいからこのゲーム……」


「ううん、いいんだよ。むしろやる気出てきた! 私、逆境の方が燃えるタイプだから!」


「それでこそお姉ちゃん! ボク応援してるよ!」


 運営さんだって、ゲームバランスの調整に苦労しているんだ。嘆いてばかりはいられない。前を向いて頑張るしかないよ! レーヴくんのためにもね。


「お姉ちゃんに任せて! 転送よろしくぅ!」


「はーい! それじゃあ――いい夢をトロイメグート!」


 レーヴくんの元気な声に送られて、私はゲームの世界へと旅立った。


 ――そこでどんな辛いことが待っているのか、その時は知る由もなかった。



 ◇ ◆ ◇



 私が転送されたのは、またしても街の噴水広場。周りはプレイヤーやNPCで相変わらず賑わっている。とりあえず、私は早速自分のステータスを確認した。



 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


 名前︰ココア

 性別︰『女』

 種族︰『ホムンクルス』

 ジョブ︰『闇霊使い』


 ステータス

 レベル︰7

 HP︰530

 MP︰60

 STR︰5

 VIT︰7

 INT︰12

 RES︰10

 AGI︰6

 DEX︰8

 RUK︰9


 スキル

【即死回避】 【幻惑】 【自動反撃】 【究極背水】 【初心者の証】 【殺戮者】


 魔法

【完全脱衣】 【ディストラクション】 【看破】


 装備

 武器︰精霊の杖 / 混沌精霊龍・カオスフェアリードラゴン

 頭︰生命のサークレット

 体︰精霊のワンピース

 腕︰生命の腕輪

 足︰生命のアンクレット

 装飾品︰精霊の髪飾り


 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━



 うーん、やっぱりさっき言われたスキル2つは綺麗に削除されてしまっている。他のスキルが無事だっただけでも良しとしよう。特に【幻惑】とか【即死回避】なんかは私の戦術の要だから、無くなったらきっと泣いてしまう。


「ご主人様ー! 待っとったばい!」


「ぶぇっ!?」


 ぼーっとしていたら、私は突然後ろから何者かに抱きつかれた。あ、そういえばいましたね。私の可愛い精霊――ミルクちゃん。ミルクちゃんも修正されなくてよかったよ。私からしてみたら、この子が一番チートだからね!(可愛さ的な意味で)


「どげんしたと? ご主人様?」


「ううん、なんでもないよ? レベル上げ、頑張ろうね!」


「うん! うちもご主人様のお役に立てるごと、頑張るばい!」


 よーし、そんなミルクちゃんには新しい服を買ってあげよう! ずっと『ぬののふく』だと可哀想だしね。



 というわけで私はまず装備屋さんを訪れた。初日にクラウスさんと訪れた場所だ。

 石造りの建物に取り付けられた、木の扉を開けると、私は店のカウンターに立っていたスキンヘッドの大柄なオッサンNPCに話しかけた。


「なんか可愛い装備とかないですか?」


「可愛い……?」


 意外な質問だったのか、オッサンはしばらく考え込むような仕草をしていたが、やがて店の奥から数着の衣装を持ってきた。

 見てみると……これ、装備というかコスプレじゃん!

 メイド服、スクール水着、チャイナ服、ナース服、体操服……etc

 あー、でもコスプレをしたミルクちゃんも可愛いかも! ううん、絶対可愛いよ!


「なんか変なこと想像しとらん?」


 隣でミルクちゃんがジト目で口を尖らせる。

 してない、してないよ? 至って健全なことを考えてますよ?


「こういう服って、着せるとなにか効果あったりするんですか?」


 私はオッサンに尋ねてみた。


「いんや、なにも効果はない。そもそも精霊に着せるのなら装備の効果は反映されないから、効果がないものを選んでも問題ない」


「だ、そうだよミルクちゃん。好きなの選んでみたら?」


 しばし悩むミルクちゃん。やがて、少しもじもじしながらこう口にした。


「……こ、これがよか……!」


「おぉ……! じゃあこれください!」



 ◇ ◆ ◇



「どげん? 似合うとー?」


「似合うと似合うとー!」


「えへへっ」


 すっかり上機嫌なミルクちゃんはその場でくるっとターンしてみせる。フリルのついたスカートがふわっと広がった。いやぁ、眼福ですなぁ……。


 装備屋さんでミルクちゃんが選んだのはなんとフリフリのメイド服で、「この子こういう可愛いのが好きなんだぁ」って思った。でも考えてみると「可愛いの持ってきてください」ってリクエストしたのは私なわけで……半分は私のせいかな。


 でも、ミルクちゃんが私のことを「ご主人様」って呼ぶことも相まって、ほんとにメイドさんみたいだ。可愛い。控えめに言って可愛い。


「よーし、じゃあ張り切って、とりあえずそこら辺の鹿さんとか牛さんから倒していって地道に経験値稼ぐぞー!」


「おーっ!」


 昨日や一昨日の感じからして、クラウスさんのログイン時間まではまだ少し時間があると思う。彼がやってきたらまたダンジョンに行けばいいけど、その前にできるだけミルクちゃんのレベルを上げておきたい。


 私たちは意気揚々と街を出た。街の外といっても、そこまで離れなければ強いモンスターは出てこない。あとは悠々と鹿さんや牛さんに経験値になってもらえば――




「――っ!?」


 突然私はなんというか、殺気のようなものを感じて振り返――るよりも前に、背中に衝撃を感じた。まるで――何かで斬りつけられたような――


「痛っ!?」


 顔をしかめた私の視界の右上で、HPバーが音もなく一割削れていた。

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