強制ログアウト! 〜ロリ巨乳だって便利アイテムを使いたい!〜

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 スキル【即死回避】が発動しました!


 スキル【究極背水】が発動しました!


 スキル【自爆強化】が発動しました!


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 迸る黒い光――全身を襲う痛み――そして爽快感!



 ――ドガガガガッ!!



 凄まじい音を立てて、私が放った【ディストラクション】は【イージスの盾】を粉々に破壊し、そのままたろうまるや、呆然としていたルークたちや、――クラウスさんを巻き込んでいった。


「あぁぁぁぁぁっ!!」


「なんだこりゃぁぁぁぁっ!?!?」


「「がぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?!?」」


「ぐぉぉぉぉぉっ!?!?」



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【究極背水】

 HP1の時に与える物理、魔法のダメージが2倍になり、さらに何も装備をしてない時にはさらに2倍になる。

 習得条件:HP1の状態で30分間攻撃を受けずにダンジョンを探索する。


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 なぜ【イージスの盾】を破壊できたのか。鍵はこの【究極背水】。

 HPが1の時にダメージが2倍、そして、何も装備していないとさらに2倍になるのだ。


 だから私は咄嗟に【完全脱衣】を発動して何も装備していない状態にした。これで【自爆強化】とあわせて、【ディストラクション】の威力は8倍! 私のHPは530だから、530×8で、4240のダメージがあったということ。そうやって【イージスの盾】を正面から突破してやった。


 体感でも明らかに範囲と威力が上がっている。光がおさまると、地面には大きなクレーターのようなものができてしまった。



「うぅぅ……はぁ……はぁ……これ、癖になりそう……えへへ」


 私は先程の自爆よりもいくらか強めの快感に包まれながら、クレーターの中でうつ伏せになって倒れていた。――のまま。


「あ、装備なおさないと……」


 やっとの思いで手を動かして、【完全脱衣(フルパージ)】で解除された装備をつけなおす。解除された装備はどうやら消えるのではなく、ストレージに格納されるらしい。ひとまず安心した。


「ふぅ……ふぅ……これ、もっと威力が強くなったらどうなっちゃうんだろう?」


 私は這いずるようにしてクレーターの外に出た。一説によると、女の子は男の子よりも何倍も敏感なんだよ? このままだと気絶しちゃうよ……。



 ――ピコンッ



 あ、システムメッセージだ。



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 たろうまるさんとの決闘に勝利しました!



 スキル【殺戮者】を習得しました!


【殺戮者】

 敵を倒す度に自分のHPを一定数値回復する。

 習得条件:魔法で一度に10人以上のプレイヤーを撃破する。



 魔法【看破】を習得しました!


【看破】

 触れた相手のステータスを一部だけ覗ける。

 属性︰無

 消費MP:10

 習得条件:決闘で格上の相手に勝利する。


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 あ、私勝ったんだね……! しかもスキルと魔法まで習得してる!

 私はゆっくりと立ち上がって周囲を見渡す。――どうやらみんな私の自爆で死んじゃったらしい。ところどころに装備品らしきものが点在している。やった! これ貰い放題!?


 私は嬉々としてルークたちが落とした装備を拾い集め、ストレージに格納していった。中にはクラウスさんの装備もあったので、それもそのまま回収。装備だけではなく消耗品も手に入った。ほとんどが装備できないアイテムだったから、ルークたちの分は後で街で売り払ってお金にしよっと。


「あれ、これはなんだろう?」


 私は、ところどころに落ちていた赤く光る石のようなものを拾った。宝石? 売れるのかな? これも拾っとこっと。


 宝石を拾い集めると、ストレージに収めてウィンドウを操作し、宝石の使い道を確かめてみることにした。



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『跳躍の飛石』

 使うと、行ったことのある街へ一瞬で移動できる。ただしダンジョンでは使用不可。


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 あっ、ワープアイテムだこれ! 普通に使いやすそう! これは売らずに持っておこっと。

『飛石』と『秘石』をかけたんだね! センスあるぅ!

 と、私がくすくす笑っていると、またしてもピコンッとウィンドウにメッセージが表示された。今度はプレイヤーからのようだ。多分クラウスさんだなぁ。



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 差出人:クラウス


 タイトル:死んだわwww


 本文:また死んじまったwww 俺の装備がその辺に――


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 最後までは読まなかった。わかったわかったから! 装備はちゃんと回収してあるよ! またクラウスさんを待つのは嫌だよ! 私はクラウスさんのメッセージにこう返信を返した。



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 差出人:ココア


 タイトル:わかりました。


 本文:ワープして帰りますから、街の噴水広場の辺りで待っていてください。


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 ちょっと素っ気ない感じになってないかな? まあいいや、とりあえず試してみよう。この『跳躍の飛石』の力を!


 私はアイテム欄の『跳躍の飛石』をタップすると、『使用する』を選択する。――すると、突然私の体は赤い光に包まれ――



 ◇ ◆ ◇



「あははははっ! いやぁ、お嬢ちゃんはほんとに愉快だなぁ!」


「そ、そうですかね?」


 私とクラウスさんは今、街のカフェでくつろいでいる。

 2回のデスペナルティー(2回とも私のせいで死亡)によって、ほぼ一文無しになってしまったクラウスさんだったけど、私がルークたちの装備を売り払うと、それを補って余りあるお金が手に入ったので、私たちはそれを山分けして豪遊している。


 羨ましい? 羨ましいでしょー? えへへ。


「あぁ、ルークの野郎にはだいぶ借りがあったが、これで返せたな」


 クラウスさんの目の前には高級そうなパンケーキが置かれている。彼はそれを上品な手つきでナイフとフォークで切り分けて口に運ぶ。美味しそう。


 対する私の目の前には、いかにも美味しそうな特大パフェが! 美味しそう、というか実際美味しい! VRの世界でもこうやって味を楽しめるんだから、ほんとに素晴らしいと思う。


「でも明日はもっと効率上げたいですね」


「そうだな。もう1人くらい誰かスカウトするか」


 クラウスさんは攻撃力足りないし私はボス戦でしか使えないし。正直今日はかなり効率が悪かった。もうまでの残り時間も少ないし、今日はこのまま街で過ごそうかな……。


 と、ぼんやりと考えていた私の身体を突如として異変が襲った! あれ? さっきまで全然平気だったのに!


 具体的に言うと、避けがたい生理現象が!


「すみません、私少しお手洗いに行ってきます」


「えっ、あぁ、てかおいお嬢ちゃん。ここ夢の中だぞ?」


「ん?」



 私はクラウスさんの言ってる意味がよくわからずに首を傾げた。はやくおトイレ行かせてー!


「ゲーム内の現象としてトイレに行きたくなることはない。……つまりそれは。……それはこのゲーム内で用を足しても全く解決しないぞ?」


「あ……」


 なるほど、つまり……




「ログアウトしまーす!」


「あぁ、強制ログアウトはメニューバーの一番下の赤いボタンだ」


「ありがとうございます! クラウスさんまた明日!」


「あぁ、また明日」


 手を振るクラウスさんが名残惜しいけれど、そうも言ってられないほど緊急事態なので、私は言われたとおりにウィンドウを操作して……


 強制ログアウト。


 そしてすぐさま這うようにして自宅のお手洗いに行き、事なきを得たのだった。

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