第152話 エストラド大火山
次の日、耐熱装備に各々着替えて、エストラド大火山に向かうことになった。そうそう、結局、一緒に洞窟内に入るリーフとレオンとティリオンも熱いと可哀想ということで、追加で作った宝石を、チョーカーにしてつけることにした。
「……正直、肉球は火傷覚悟だったんですが、デイジー様の宝石のおかげで助かりました」
ここはエストラド大火山の内部。所々溶岩流が流れる、灼熱の火山洞窟内である。
そして、リーフが、その環境下で無事な自分の脚を感慨深げに眺めていた。
「全く。ポーションで治るとはいえ、じゅうじゅうと自分の肉球を溶岩板焼きしながら歩かずに済みました」
レオンも嬉しそうに足取り軽く進んでいく。
「ピィィィィィ〜♪」
ティリオンも機嫌良さそうに洞窟内を飛ぶ。
……ギリギリ出発前に気がついてよかったわ。
最初、すっかり忘れていたのは、内緒よ!(ぼそっ)
ここの洞窟は、内周に沿うように細い道が続いていて、時々旧採掘用の広いフロアに出る。そしてまた細い道が続く……、というのを繰り返す構造だ。
採取目的の『フレイムリザード』と『フレイムウルフ』は、広いフロアの部分でウロウロしている。体全体が炎に包まれているので、体当たりなどをされると厄介である。
そして、『フレイムワイバーン』は、自由に飛び回っていて、遠距離攻撃で口から火の玉を吐く、ワイバーンの亜種だ。体自体は燃えていないが、細い道で戦闘になったら要注意、っていう感じである。
なんて説明をマルクから受けていたら、早速フリーダムに飛ぶフレイムワイバーンが一匹こちらに飛んできた。
「行け、氷晶の弓!」
ティリオンに乗ったアリエルが先制でワイバーンの眉間に矢を撃ち込む。すると、追加ダメージで矢の周りに氷が拡がってピキピキと音を立てる。
追い討ちをかけるように、私も加勢する。
「
炎を吐き出そうと開けた口の中に一つ、矢の刺さっている眉間にもう一つ撃ち込んだ。
「おっと、落ちていかないでね〜!」
脳内をやられて、落ちていこうとするフレイムワイバーンの羽を掴んで、アリエルがキャッチする。そして、素材回収担当のレティアに放り投げた。
「まずは一匹。アリエルおつかれさん!」
満足気にレティアはマジックバッグにフレイムワイバーンをしまう。
そうして、洞窟内を下る道を進む間に、アリエルと私で十分な数のフレイムワイバーンを確保したのだった。
そして、第一のフロア。フレイムリザードがウロウロしている。
フレイムリザードは大型で動きが遅い。そこをすかさず、敏捷性の良いレティアが駆けて行き、一匹氷晶の剣で首を打ち落とした。
続いて、私たちに気づいて、他のフレイムリザードもわらわらとやってきた。
「そーおれっ!」
リィンが氷晶のハンマーで頭をぺしゃんこにし、マルクが氷地獄の槍斧で薙いで行く。アリエルは矢で攻撃し、私はアゾットロッドでメンバーの火傷の回復を優先する。
うん、フレイムリザードの鱗はマルクの鎧に必要なだけだから、もう十分ね!
そして、フレイムリザードがいなくなったフロアで水を飲んだり小休憩を取ったりした後、私達はまた細い道を下り始める。
最下層を見下ろすと、炎に包まれたオオカミたちが、私達の歩いている細い道からフロアへ繋がる部分でウロウロしていて、下手に手を出すと狭いところでの混戦になりかねない状況だった。
「あれは、私が一撃入れて気を引いて、フロアの内部におびき寄せるわ。その隙に、みんなで入ってきてちょうだい」
ティリオンで飛べるアリエルが作戦を提案してくれたので、みんなで頷いて合意した。
まずは六匹いるフレイムウルフに一矢ずつ射ることで、注意をアリエルに向かせ、挑発しながらフロア内部へ誘導する。その間に、残りのメンバーがなだれ込み、一匹ずつ背後から狩っていく。
「よっし終了!」
ひと通り狩り終えて、みんなで一息つく。
「じゃあ後は、溶岩鉱を集めればいいね」
ここからはリィンと私の出番。他のみんなはそれぞれ水分を補給したり、のんびりし出す。
リィンと土の妖精さん達が、ツルハシで壁から溶岩鉱を削り出してくれる。
「うん、十分品質がいいわ」
削りだされた溶岩鉱を【鑑定】で確認して、私は満足して頷く。
必要量より余裕を持って採取して、私達は元来た道を戻り、港町まで帰るのだった。
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