後書き

 俺の手紙としては長くも、小説としては短い話はこれで終わる。

 華蝶なら、これを書き上げたら書いた事を満足として世の中から消してしまうのだろうけれど、凡人の俺は『櫻月華蝶』と言う存在があった事を忘れ去られたくなくて、書いた手記を発表するに踏み切った。

 凡愚な俺を、彼の世で「馬鹿だなぁ、風彦は」と嗤っていてくれ、華蝶。

 今直ぐにお前の後を追えない俺を罵ってくれても構わない。寧ろ、華蝶の馬鹿野郎と言いたいのは俺だ。

 華蝶、俺を最期まで困らせて振り回してくれた奴。どうか、俺が逝くまで其方で待っていてくれ。

 そうして、俺は華蝶を凡人の域に落として涜すのだろう。

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雪月花の時、最も君を想う 江戸崎えご @edozaki_ego

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