二十三日目
二十三日目
釣り竿が完成したよ。
昨日に引き続き釣り竿作りにいそしんでいるわけなのだけれど、今日は昼前にオークママといっしょにゴミを捨てに行ったんだ。
オークさんたちは狩った獲物は革や骨まで利用しているんだけれど、それでも多少のゴミは出る。
そういうのは穴を掘って埋めていたんだけれど、そこでいいものを見つけた。
道具としても使い道がないくらい小さな骨だ。
割れたものだったり小骨だったり、よく見てみると小さい骨がいっぱい埋まっていた。
それを見て(中学の社会の授業だったかな?)縄文人とかは動物の骨で釣り針を作っていたという話を思い出したんだ。
……中学のころはちゃんと学校行ってたんだよ。
乾燥した骨はすぐ割れる代わりに硬くて尖りやすかった。
削るのはそこらの石ころの方で十分だったよ。
割ったり削ったりしながらフック型にして、糸を巻き付ける出っ張りを作ってみた。
大きさは人差し指の先くらいかな。釣り針にしては大きいような気もするけれど、私の器用さじゃこれで精一杯だったよ。
作業時間はひとつ作るのに一時間くらいかかったかな。
まあ、初めてだったから次はもう少し早く作れると思う。
骨製釣り針を結びつけたら、一応釣り竿に見えるようになったよ。
というわけで、さっそく近くの水場で釣りをしてみた。
……釣り針を投げ込んでからエサが必要だと気付くまで三十分くらいかかったけれどね。
石の下とかを探せば得たいの知れない虫なんかがすぐに見つかった。
私、虫とか触るの無理だったんだけれど、半月以上サバイバル生活を送っていたせいか普通に手づかみで捕まえられたし、針にもぶっ刺せたよ。
偉いでしょう。
毒とかないといいんだけれど、まあどうせ私ハラワタとか食べれないから関係ないかな。
あとになってから浮き(字これであってるのかな)とかも必要だったことを思い出したけれど、結果的になくても問題なかった。
理由のひとつは、結んだりなんやりしていたら糸の長さが四十センチくらい(物差しがないから体感だけれど)になってしまったから、竿が水面に付くくらい下げないといけなかったということ。
ふたつ目は、わりとすぐに魚がかかったこと。
最後に、私自身が池に落ちたことのみっつかな。
ふふふ、魚の力は強そうだとは思っていたけれど、まさかあれほどとは思わなかったよ。
自作釣り竿がちゃんと機能したことや、また魚が食べられることへの期待を感じる暇もなかった。
踏ん張ることもできずにあっさり転落して、せっかく完成した釣り竿も持っていかれてしまった。
おまけにずぶ濡れになったから一日オークママと同じ腰蓑と胸まきだけの裸みたいな格好過ごす羽目になったよ。
ただまあ、作り方は確立できたんだ。まだまだ改良は必要だろうけれど、半日もあれば同じものを作れる。
異世界生活二十三日目。明日こそは魚を釣ってみせる。
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