東京メイズ・ウォーカーズ! ~黎明期のメイズ受託業者達~

金時草 様作


あらすじ引用

 2012年秋、高校最後の思い出作りに親友達と3人でキャンプに出掛けた遠藤公太(コータ)は、キャンプの最中に大親友:広沢大輝の失踪という事件に遭遇してしまう。


 そして時は流れて2020年夏、世間は感染症と突如出現した「地下空間構造:メイズ」の影響で不景気の真っただ中。そんな折、失踪事件を切っ掛けに無気力な人生を過ごしていたコータは、バイトテロが原因で勤め先のブラック外食チェーンをリストラされてしまう。失業後、まずは生活費削減のため自炊準備を兼ねて近所のスーパーに向かうコータ。しかし、その帰り道に不思議な空間へ落下したコータは、ガラス玉のような不思議な石と


ーースキル【能力値変換Lv1】を習得しましたーー


 と脳内に浮かび上がるメッセージを受け取る。


 そして、迎えた親友広沢大輝の葬儀の後、形見分けとしてもらった鏡から聞こえるのは……

『コータ? その声はコータか?』

「すまん大輝、成仏してくれ!」


 異世界に飛ばされ、そこで大賢者と勇者を兼任し「魔坑」と呼ばれる存在を討伐した親友大輝。そんな親友から贈られた助っ人使い魔のハムスター「ハム太」。なんやかんやで、メイズでドロップを探す職業「管理受託業者」となったコータは、メイズが出現した世界で、普通に生きたいと願いつつ様々な事件に巻き込まれていく。


 大輝の飛ばされた世界で世界を滅亡一歩手前に追いやった「魔坑:メイズ」。それを資源の宝庫と捉える各国政府の思惑。「第四次エネルギー革命」を標榜し、開発に邁進する各国の陰謀が、コータの身に迫る(かもしれない)。「魔坑:メイズ」が引き起こす「魔物の氾濫」にコータが立ち向かう(かもしれない)。なにより、普通に生活したいコータの冒険が今始まる。


*サイト規約等の事情により一部言葉を感染症と変更しております。


【簡単なあらすじ】

ジャンル:現代ファンタジー

高校最後の思い出にと親友と3人で行った先のキャンプで、主人公の親友が行方不明となった。親友の失踪から8年後。世間は突如出現したメイズや感染症の影響などにより不況の真っただ中であった。主人公はブラック企業に勤めていたが、バイトテロのせいで失業してしまう。生活費を抑える為、近くのスーパーに寄った帰り道、主人公は不思議な空間へ落ちてしまうのだった。そこで主人公が見たものとは……?


【物語の始まりは】

主人公は大学受験を控え、親友たちとキャンプに来ていた。親友二人は惹かれ合ってはいるもののなかなか進展しない。リア充爆発しろと思いつつも、進展しない二人に肝試しを持ちかける。もちろん背中を押すためだ。二人の進展を願い、肝試しに送り出した主人公。しかし自体は急展開を迎える。なんと親友が行方不明になってしまったのだ。まるで神隠しにあったかのように。


【舞台や世界観、方向性(箇条書き)】

2020年のリアルな社会にファンタジーをかけ合わせた舞台という印象。

ブラック企業、バイトテロ、感染症による不況。そこに加えて架空の要素メイズ。もしこんな世の中になったら、大変である。


【主人公と登場人物について】

メインとなるのは、主人公と行方不明になる親友。

舞台となる2020年より8年前に親友は主人公が提案した肝試しによって行方不明となる。その8年後、彼の葬儀が行われ形見分けとして受けとった鏡により、彼とやり取りをすることとなる。彼から聞いた話は異世界の話しであったが、どうやらこちらの世界との共通点もあるようで?


【物語について】

親友失踪から8年後。新総理となる人物からこれまで世界に起きたことについて語られていく。メイズとは何か。どのようにしてできたのか、調査の結果など。現在の時代背景明かされていき、主人公の視点へと戻る。

この物語の舞台は現代の日本にファンタジー要素をかけ合わせたもののようである。社会問題や現在置かれている状況などと被るので、想像しやすい世界が土台の印象。


主人公が8年前に行方不明になった親友の葬儀で形見分けで貰った(正しくは主人公宛てではないのだが)鏡を通じ、その親友とやり取りをするところから、物語は大きく動き出す。謎の穴、メイズと呼ばれるものと似たようなものが、彼の世界にも存在したのだ。しかし、主人公がそのメイズについて知る情報はまだ少ない。しかし親友は異世界で勇者と大賢者を兼任し、「魔坑」と呼ばれる存在を討伐した人物。この世界に光を齎す希望となるのではないだろうか? 期待が高まる展開だ。


【良い点(箇条書き)】

・どんな風に現代とファンタジーを融合させているのだろうか? と思ったらとても面白く巧い融合の仕方をしている。異世界召喚をこういう風に使うのか。と感心。そもそも神隠しも異世界転移や異世界召喚と同じ考え方だよなあと改めて思った。

・法律に関して、作る側と実際に体験し良いところ悪いところを世間に公表する側、そして世論の三方向から描かれているのも面白いところであり、リアリティを持たせていると感じた。

・途中までは硬派(?)路線に感じる物語なのだが、ハム太が出始めた頃から笑いが含まれていく。

・考え方がまとも過ぎて面白いと感じる。(11話より)

・妹が世間知らずで、兄がそれを何とかしようとするが、妹が空気を読めない場面での田中さんが熱い! 感動した。

・メイズに行くことになる伏線が……(笑)

・表現の仕方がとても巧い。


【備考(補足)】15話まで拝読

【見どころ】

とにかく構成が良い。真面目な部分と笑ってしまう部分のバランスもとても良い物語。法律などはよく考えられており、何故今の時代を舞台にしたのかの説得力もある。必然性で成り立った設定だと感じた。

伏線が綺麗に回収されていく様も素晴らしい。そして世間は狭いという言葉がぴったりなほど、登場人物に繋がりが持たされているのも面白く、いろんな形で何度もピンチは訪れるものの巧い具合に切り抜けていく。主人公は真面目で一般的な人物だと思われる。常識を持ち、余裕があればサボりたい気持ちも起こる、面倒は避けたい、とても人間らしい人物。そして、彼の周りの人物はとても個性的だ。


物語は、メイズが出現しそのれに関しての法律などが語られていくところから、現在の状況が明かされていく。その為硬い話なのかと思いがちだが、リアリティを持たせた物語であり笑いも多く含まれる。ホントにこんなことが起きているのではないかという臨場感や錯覚をおこさせる物語。法律の説明などについては多少わからなくても、ついていける上、楽しめる物語である。

あなたもお手に取られてみてはいかがでしょうか? 

主人公はメイズの中でどんな成長を遂げていくのか? 世界はどうなっていくのか。是非その目で確かめてみてくださいね。おススメです。

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