ドラゴンの絆 ドラゴンの子と従者が紡ぐ物語

猫野たま様作


【あらすじ引用】

 かつて、巨大なドラゴンに祝福されし世界があった。やがて、ドラゴンの死とともに世界は混沌が蔓延する。

 そんな中、一匹のドラゴンが孵化した。その子ドラゴンは必死に生きようとする。母となる獣、付き従う従者、兄弟となる狗。少しずつ増えていく家族。

 子ドラゴンと付き従う従者、家族が紡ぐ物語である。


1 読む前の印象や予想など(表紙やあらすじなどから想像したこと)

幻想的で少し物悲しい印象も受ける表紙がとても素敵である。

ドラゴンが支配するわけではなく、祝福を与える立場だったというのが面白い(面白味を感じる設定)部分である。つまり、世界はとても平和だったのではないかと想像する。しかしそのドラゴンが亡くなってしまった為に、世界は変わってしまった。ドラゴンの齎す祝福とは一体どんなものだったのだろうか? 再びドラゴンがこの世に姿を現すことで(孵化)、周りに母となる獣、付き従う従者、兄弟となる狗などが寄り添うということは、それだけドラゴンの存在がこの世界にとって大切であるということが伝わって来る。


2 物語は(どのように始まっていくのか?)

かつてドラゴンが世界を守り豊穣を齎していたところから、ドラゴンの死に至るところから始まっていく。人とは移ろうもので、自分たちを守ってくれていたものを逆に恐れるということはよくあること。人は、自分に都合の良いものを信じ、見えないもの理解しがたいものに恐怖や偏見を持つものだ。この世界の住人は、そういった間違った思想の元、自分たちを更に不幸へとしていく。果たしてこの世界に光はあるのだろうか?


3 世界観について

不思議な世界観。主人公であるドラゴンは自分とは種族の違う獣に育てられることとなる。その中で、世界について学んでいくように感じた。そして自分が育ての親と違う生き物であることを段々理解していく。初めはドラゴンの視点だが、後に従者の視点となり全容が明かされていく。


4 良かったところ。印象に残ったところ。好きなセリフなど。

*分かり辛くはあるが、ドラゴンの視点はほのぼのする。

人間以外の視点を表現しようとすると、どうしても固有名詞が減る。それは人間の文明とは違うものなので致し方がない。その代わり、説明の為に分かりやすい言葉で補うことになる。その結果なのか、とてもほのぼのした雰囲気となる。この物語も、何かを明確にしていないため、なんであるのかはっきりわからない部分がある。例えば二本足が何であるのか? など。その為不思議な世界観とほのぼのした雰囲気になるのではないかと感じた。

*視点が変わると見えてくるもの。

ドラゴンの視点では分らなかったことが、従者視点になると明確になって来る。

その為、自分の想像と実際でも違いなどおが分かり、面白いなと思う。

*この物語では、現在のところ人間は一人しかいない。

中途出てくる場面もあるが。行動描写が多く彼らがどんな日々を送っているのか分かりやすい。

*旅立ちの日までの成長の記録。

小さなドラゴンがどんなことを経験し、成長していくのか丁寧に描かれている。


5 お奨めしたい部分

動物などが主人公の物語はあまり読んだことがないが、人間の主人公の話しとは雰囲気などが全然違う。

何処かふんわりとした雰囲気が漂っているのは、あまり会話文がないからだと感じた。

とても幻想的な印象を受ける物語である。雰囲気がほのぼのしているからと言って、内容がほのぼのしているわけではない。

常に生きるか死ぬかのサバイバルであると感じた。全体は優しいながらも、緊迫感、緊張感のある物語の好きな人にお奨めしたい作品である。


6 物語のその先を想像して

第二十話 ロンとレンまで読了。この先を想像する。彼らの仲間内では従者が指揮をとって移動しなければならない。しかしながら、彼らの仲での大人は従者と獣だけ。二体の幼きものを連れての旅は危険であるし、とても大変な.のではないかと思う。

旅の途中でまたトラブルがあるのではないかと想像した。


あなたも是非お手に取られてみてくださいね。お奨めです。

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