「追放系一般盾使いは仲間達と旅に出る」

まちゃかり 様作

【タイトル】

追放系一般盾使いは仲間達と旅にでる〜勇者パーティー追放されちゃったのだけど何かの手違いが発生して王女と旅することになった件


【あらすじ引用】

「最近盾が最強と言われてるから是非とも俺のパーティーに来てくれ!」


 と言われパーティーの一員として旅をすることになったが、みんな敵に突撃して盾の出る幕が無いとか、勇者が強すぎるとかで俺は活躍することが出来なかった+攻撃力が低いことで俺は全く必要とされていなかった。


 そして勇者は優秀な仲間を取ってきて、そのかわりに俺を追放する。これはもう仕方ないだろう。これに対する復讐心なんてない。


 そんなこともありもう旅はいいかなと俺は思いはじめていたのだが、それがなんだかんだあって王女と旅に出ることになってしまったんだ。


 想像してた旅景色とはずいぶんかけ離れてしまったけど俺ことハルトは、パレンラトス王朝第二王女よつばと旅に出かけます!


【物語は】

追放されるところから始まる。この時点では、主人公が勇者のパーティーに誘われた時の様子については、あらすじだけの情報となる。主人公の心の中では追放された理由に納得してしまい、諦めて最初の街を目指す。生まれ故郷をから旅立つときに祝って貰ったことなどもあり、路頭に迷う主人公。さてどうしたものかというところに、ある人物と遭遇することとなる。恐らくここが主人公の運命を決める瞬間であり、分岐点なのかもしれない。


【登場人物の魅力】

主人公は冷静に状況判断できるが、金の力に流されるという一面もある。冷静に自分自身や相手を分析しているものの、時には人の言葉に一喜一憂したりと平凡だ。周りが個性的な為、その平凡さが逆に魅力となって引き立つ。この物語では、心理描写が多い為、彼の考えていることが手に取るように分るので、とても面白い。他の登場人物たちが、さりげなく主人公の傷口に塩を塗るという場面もある。そこがまた面白く、笑ってしまう。軽く追い打ちをかけるのだ。

一緒に旅することになった王女は肝が据わっており、いざとなると主人公を助けてくれる優しい部分もある。王女視点で分かることは、主人公を立てる一面も持っているという事。バランスのよい二人だと思う。何故この二人が主要人物であり、こういう設定の人物なのかは回を追うごとに、ゆっくりとわかっていく。


【物語の魅力】

この物語は、一度は歓迎されたものの”役に立たない”と言われ追放されてしまった主人公が、王女と無謀な旅に出るという展開だ。外には敵がおり、主人公は”守り”職であっても攻撃に長けているわけではない。一方、王女は魔法使いだが、強靭な魔法を使えるわけではないのである。強くない二人が、何らかの目的の為に旅をする。

この物語のメッセージは、”例え直ぐに結果が出なくても、頑張っていることを認めて欲しい”という事なのではないだろうかと感じた。彼らは、何度もピンチに遭遇する。もちろん凹むこともある。しかし、そこで諦めてはいない。いきなり強くなったりすることはなく、一歩づつ目的地を目指す。話しはコミカルに進んでいくものの、主人公は苦悩もするのだ。後悔をする場面もある。主人公が平凡であることに、意味がある物語だと言えるのではないだろうか?


【物語の見どころ】

三人目のパーティーが加わると見えてくるものがある。初めは”役に立たない”と追い出された主人公が、自分自身と向き合い、仕方がないと諦める。

しかし王女と旅を続ける中で、”プライド”もあり、”良いところを見せたい”と願う普通の少年であることが分かる。自分の足りないところを素直に認めたからと言って、諦めきっているわけではないことが分かってくるのだ。理想の自分と起きた出来事により、悔し涙を見せることもある。失敗しても、彼は努力を続ける。

追放された勇者のパーティーの中では、活躍することが出来なかった。しかし、『すぐに結果が出なくても、いずれは活躍したい』という気持ちがあったのではないだろうか。そう思える場面があり、彼の心の奥底にあるものを感じた時、切なさに涙が出る。コミカルに描かれた中に、主人公の想いを感じた時、この物語の真の良さに気づく。


ぜひあなたも、お手に取られてみませんか?

もし、あなたが主人公のように直ぐに結果を出すことの出来ない努力家であるならば、より一層共感できる部分を感じるはずです。お奨め作品です。

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