巨重人機リムブレイン

たつき 様作


【あらすじ引用】

ロブレイン事件、それはAIを狂わせ、あらゆる機械の一斉暴走を招いた事故。

その災害に巻き込まれた少年 オリハタ・ノゾム。

ノゾムを助けてくれたのは人間と異世界の技術の融合から生まれた巨大ロボット ギガンティックリム。


そんなノゾムが高校生になり、ギガンティックリムの工場への社会科見学から悪の組織の陰謀に巻き込まれることに。


これは人を助けることに憧れる少年と心が壊されて生体兵士にされてしまった少女との……


愛と勇気の物語である!


【物語は】

主人公が母と買い物に出かけた先である災害に巻き込まれたことから、話しは展開されていく。その災害で主人公は大きな腕に助けられることとなる。その有志が忘れられない主人公は、数年後いよいよ念願のロボットを見に行くことなった。そんな彼の夢は、自分もそのロボットに乗って多くの人を助けるというものであった。


【物語の魅力】

ロボットが好きなのだなという事が凄く伝わってくる。何故なら、設定がしっかりしているからである。ロボットは、色んな形で身近に存在するものではあるが、形は様々であり用途も様々。自身が思い描いているものを読者に伝えるのは難しい。しかしそれを丁寧に、読者に伝えようとしているのがわかる。

主人公は、社会科見学先で事件に巻き込まれるが、難を逃れられたのは偶然の積み重ねであった。


この物語特有の魅力。かなり珍しいタイプだなと感じた。それはどのような部分かというと、主人公が否定をしない人であることにより、物語が真っ直ぐ進んでいくという事だ。例えば、憎しみの感情を真っ直ぐ受け入れ、否定することもなければ綺麗ごとを言うわけでもなく、ただ真っ直ぐ受け入れるというところ。相手に価値観を押し付けることもないので、物語が意外な方向にいくというハラハラ感はない。だからと言って、面白味がないというわけではない。何故かとても話の先が気になるのだ。そのままどこへ向かうのか。どんな結論を下すのか。


【主人公の魅力】

ありのままを受け入れ、分からないことを分からないと言える人物という印象。これは簡単そうで簡単ではない。人には少なからずも自分の正義というものが存在し、主観であれば”悪い”と思ったことを正そうとしたりする。それは価値観の押し付けでもある。しかしこの人物は、まるで柔らかいクッションのように受け止めるのだ。その後、問題が起きてもそれに対し、否定や正義を翳すこともなく、相手の気持ちを理解し行動していく。


通常、正義とは法に近いものが一般的なので、気持ちよりも”こうあるべき”というのが前面に押し出されてくる。例えばサスペンスやミステリーで言うと”犯罪者が不憫”でならないラストを迎える様なものである。その物語の被害者が、どんなに悪であっても加害者が裁かれるのは当然と言ったストーリーなどだ。これは、犯罪者を擁護しているわけではない。あくまでも、ストーリーの傾向の話である。そういう傾向の物語に慣れていると、この物語はとても斬新だと思えるだろう。不思議な魅力を持った物語だ。


【独特の物語】

上記に補足。この物語は、寄り道をしない物語である。この表現が適切かは、わからないが。例えば苦しんでいる友人がいて、その友人と会う為に余計な部分が挿入されることが無い。会うまでに何度も訪ねたり、説得シーンなど。そういう回りくどさがないので、とてもスムーズに進んでいく。恐らく、作者さん自体が、何事も真っ直ぐ受け入れるタイプの方なのではないかと想像した。


【物語の見どころ】

ロボットへのこだわりと、自分が思い描いたシステムの再現部分がとても丁寧なこと。そして主人公が稀に見る”ありのままを受け止める”という珍しいタイプであること。この物語の良さは、この主人公のタイプがどれほど稀か理解できる人ほど伝わると思われる。かといって、平坦なわけではない。事件が発生し、それを食い止めるために精一杯戦い、爽快感もある。何を目的に何処へ向かおうとしているのかも分かりやすい。何より、作品愛を感じる物語である。


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