弔いの後のインタルウド

 不思議な物で。

 肉を失った骨に、私は涙を流さないらしい。

 この世に誰かを思い起させるのは肉体だけなのかもしれない。


 私は目の前で砕かれる骨を淡々と拾った。

 色の違う箸でそいつを掴んで、容器に移し入れた。


 飯が喉を通らないなんてことはなかった。

 朝腫らした眼は冷水で元通り。

 舌に乗っかる寿司はいつも通り美味かった。


 皆々忘れた時が二度目の死だと云う。

 けどまあ、忘れようったってそうはいかないだろう。

 二十手前まで世話になっておいて、忘れるか。

 ……いや、何れ忘れるかもしれないが。

 この世に絶対は無い。

 この世に、生者が何れ死す以外の絶対は無いのだ。

 絶対に。


 引き摺るのは思い出だけで良い。

 付き従う感情は時に流してもらおう。

 そうして残った記憶を酒の肴にしよう。

 きっとそれがいい。

 酒好きの爺の事だ、それぐらいの方が良いに決まってる。

 ……どうせ彼の岸でも、此岸を肴に焼酎を酌み交わしているに違いないのだから。

 だから私は笑っている。













 本音を言えばまだ少し寂しい








 晴と褻の隙間で私は目を閉じた









 さよならは未だ口を出ないままでいる

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