第83話 夜が明けて

初夜③④はR18の為ムーンライトノベルズに掲載しております。

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レオンスと初めてを終えてから数時間。カーテンの隙間には明るくなり始めた空が見え始めていた。


「もう、無理です…」


もう何度交わったか分からない。

限界だと伝えてもレオンスがやめてくれることはなく、すっかり抱き潰された私は枯れた声で呟いた。

流石にこちらの限界を理解してくれたのかレオンスはゆっくりと身体を起こして、私から離れていく。

床に落ちていた脚衣を身に纏うとこちらに戻ってきた。


「す、すまない…。大丈夫か?」


ようやく理性を取り戻したのか心配そうな表情で見下ろされるが全くもって大丈夫じゃない。

様々な物でどろどろになった身体が気持ち悪いし、破瓜の証と吐き出された精でぐちゃぐちゃになったシーツも感触が悪い。

なにより抱き潰されたせいで全身が痛みで悲鳴を上げている。


「好きなだけもらってくださいって言いましたけど限度があるでしょう」

「すまない」


こんな初体験になるとは思わなかった。

今すぐ寝たいところだけど身体のベタつき方が気になる。


「とりあえず湯浴みに行ってきます」

「アリア、今はベッドから出ない方が良いと思うぞ」

「え……きゃっ!」


ベッドから出た途端に足腰の力が抜けて床にへたり込んでしまう。

な、なんで?

動揺しているとレオンスがやって来て「だから出ない方が良いと言ったのに…」とガウンを肩から掛けてくれた。そのままお姫様抱っこで持ち上げてくる。


「あ、あの、なにが起こったのですか…?」


レオンスから私の状況を理解しているだろうと尋ねると目を逸らされた。

小さな声で「私が抱き潰したせいだ」と言われる。

抱かれ続けるとこんなことになるの?

閨教育では習っていない。

ただウラリーの言っていた通り、今日はベッドから出られないと思うし、確実に夕方まで寝るだろう。


「湯浴みに行きたいのなら私が連れて行ってやる」

「ひ、一人で大丈夫ですよ」

「歩けないだろ。身体も洗ってやる」


昨晩のうちに隅々まで見られた。今更恥じらっても仕方ないと分かっているけど理性が残った状態で見られるのはやっぱり恥ずかしいのだ。


「う、ウラリーを呼べば…」

「この光景を見られたいのか?」

「うっ…」

「いいから大人しくしていろ」


私が立てなくなる原因を作ったのはレオンスくせに。

嬉々として私を浴室まで連れて行く彼の頰を引っ張ると不思議そうな表情を向けられる。

にこりと微笑んで「湯浴みの最中に変なことをしたら凍らせますからね」と釘を刺しておく。

一瞬頰を引き攣らせるあたりやらしいことをする気満々だったのだろう。

さっきまで散々していたのに。


浴室まで辿り着くとレオンスは大人しく身体を洗ってくれた。

途中で身体の至るところに付けられた独占欲の証に恥ずかしくなったり、中から溢れ出した白濁液のせいで悶えたりしたけど。

何故か浴槽に一緒に入る羽目になった。恥ずかしくて嫌だったけど強請られては断れないのが私だ。

なにもしない約束を取り付けた後、彼の足の間に座り込む。


「そういえば…」


後ろから抱き締めてくるレオンスに「なんですか?」と首を傾げた。


「結婚したら教えてくれると約束した事があっただろ」

「ああ…」


約一週間前、薔薇園であることを言う約束をしたことを思い出した。

首に回された腕を撫でながら「大したことじゃないですよ」と返事をする。顎を掴まれて振り向かされるとねっとりとしたキスをされてしまう。


「教えると約束しただろ」


拗ねたような顔を浮かべるレオンスにくすりと笑った。彼の腕にもたれ掛かって見上げる。


「私と二人きりの時は皇帝で居ないでください」

「は?」


訳が分からないと困惑した表情を浮かべるレオンスの方に振り向くと真っ直ぐ彼を見つめた。


「二人きりの時くらいは素で居て欲しいのです」

「どういう事だ?」

「一人称『私』じゃなくて『俺』にしてください」


レオンスは皇帝としての体裁を保つ為に一人称を変えたと言っていた。

二人きりの時くらいは皇帝として過ごして欲しくない。もっと気楽に接して欲しいのだ。

私の言葉にレオンスは大きく目を見開いた。


「しかし私は皇帝で…」

「私にとっては旦那様でもあります」


嫌がられたらそこまでだ。

返事を待っているとなにか言われるが小さな声だったせいで聞こえない。もう一回お願いしますと伝えるとレオンスは困ったような表情を見せた。


「アリアと二人きりの時は皇帝らしく居なくて良いのか?それで幻滅したりしないか?」

「しませんよ。どんなレオでも受け入れます」


結婚するまでの三ヶ月間で色んな顔を見てきたが幻滅しなかった。

どんな一面を見ても嫌いにならないと思う。

抱き着いてくるレオンスは「そうか…」と嬉しそうな声を漏らした。


「それならアリアも敬語をやめてくれ」

「え?」

「夫婦とは対等であるものだろ。敬語をやめてくれ」


見上げてくるレオンスは甘えた声でお願いしてくる。

いくら皇妃であっても皇帝相手に気軽に接することは出来ない。

ただ二人きりの時は、夫婦の時間を過ごす時くらいは彼の望むようにしてあげたいと思う。


「二人きりの時だけよ」

「分かっている」


くすりと微笑み合って口付けを交わした。

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